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「“カフェ”に集う芸術家ー印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで」が三菱一号館美術館で開催中

  • 2026.7.23

「今推しの展覧会」

フリーキュレーターのSEIJIです!

最近は、美術館の展覧会に様々な工夫やサプライズを感じます。そんな美術館の現在をコラムにしてお届けする「今推しの展覧会」。今回、私をググッと惹き付けたのは、バルセロナの至宝として知られるラモン・カザスの絵画作品が観られるこちらの展覧会。

アンリ・ド・トゥールーズ―ロートレック《エグランティーヌ嬢一座》1896年 リトグラフ 三菱一号館美術館

35年ぶりにスペインから来日するマドンナと名だたる巨匠の総勢約130点の作品を一望できる祭典「“カフェ”に集う芸術家ー印象派からゴッホ、ロートレック、ピカソまで」が三菱一号館美術館で開催中!

19世紀後半のフランス・パリでは、エドゥアール・マネや後に印象派と呼ばれることになる名だたる芸術家たちがカフェに集い芸術論を交わしていました。

その光景は、それまでのアカデミーが主催するサロン(官展)からの脱却を象徴するものであり、芸術が群衆に溶け込む新しい時代の始まりでもあったのです。

三菱一号館美術館で開催中の展覧会は、世界に名だたる芸術家であるエドゥアール・マネ、フィンセント・ファン・ゴッホ、アンリ・ド・トゥールーズ―ロートレック、パブロ・ピカソをはじめとした名作の数々が集結。

そして、スペインのバルセロナが誇る至宝の絵画作品、ラモン・カザスの《マドレーヌ》が35年ぶりに来日する総勢約130点の華麗なる祭典となっています。

エドゥアール・マネ《バラ色のくつ(ベルト・モリゾ)》1872年 油彩、カンヴァス ひろしま美術館
フィンセント・ファン・ゴッホ《モンマルトルの風車》1886年 油彩、カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館

この展覧会はここに注目!

見過ごされていた19世紀フランス美術最大のテーマ!? 教科書では教えてくれないアートシーンとは!

「華やかなりしパリ」として、モードやアートなど様々な分野でエポックメイキングの時代となった19世紀後半のフランス・パリ。

異質な芸術の分野が繋がった総合芸術の実験場でもあったキャバレー〈シャ・ノワール(黒猫)〉では、画家アンリ・リヴィエールによる洗練された影絵芝居が人気となり、その平面的なシルエットや色彩は、のちのピエール・ボナールやフェリックス・ヴァロットンらのナビ派の活動にも影響を与えたようです。

また、日本でもよく知られているアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックは〈ムーラン・ルージュ〉や〈カフェ・コンセール〉の常連となり、ダンサーや歌手たちを描いたポスターが一世を風靡。

アンリ・ド・トゥールーズ―ロートレック《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》1891年 リトグラフ 三菱一号館美術館
フェリックス・ヴァロットン《大騒ぎ、あるいはカフェの情景》1892年 木版 三菱一号館美術館

異質なものが混じり合う総合芸術のもとで生まれた摩擦や新たな発想は、後世に影響を及ぼす豊かな芸術の創造に不可欠な要素だったのです。

同展では、こうした「教科書では教えてくれない」重要なアートシーンに光をあて、19世紀の“カフェ”が芸術にもたらしたものを再考しています。大変興味深いですね!

オーギュスト・ルノワール《パリ、トリニテ広場》1875年頃 油彩、カンヴァス ひろしま美術館

パブロ・ピカソが青の時代へと向かうターニングポイントを日本で初めて紹介!

フランス・モンマルトルの“カフェ”が生んだ大きなうねりは、スペイン・カタルーニャ出身の画家ラモン・カザスやサンティアゴ・ルシニョルたちによって、かの有名地であるスペイン・バルセロナにもたらされました。

ラモン・カザスらはバルセロナとパリを行き来し、ついにはバルセロナの地に自分たちの“カフェ”〈クアトラ・ガッツ(四匹の猫)〉を開店。

“カフェ”での体験をもとに自分の道を見定めたパブロ・ピカソはパリへ向かい、モンマルトルの画家たちから大きな影響を受けることに。

そして、社会の周縁に生きる人びとへのまなざしは、やがて青の時代と呼ばれる時期の芸術を生み出しました。パリとバルセロナにおける“カフェ”とパブロ・ピカソの繋がり、そしてその影響を、日本で初めて紹介しています!

サンティアゴ・ルシニョル《カフェ・デ・ザンコエラン》1889-1890年 油彩、カンヴァス ムンサラット美術館 Museu de Montserrat. Donated by J. Sala Ardiz.

スペインのマドンナ、ラモン・カザス作《マドレーヌ》に注目!

バルセロナに誕生した〈クアトラ・ガッツ〉は、カフェでありながら19世紀末のスペインを代表する芸術家集団の名前でもありました。

その筆頭画家ラモン・カザスはグラフィック・デザイナーの側面も持ち、カタルーニャの芸術運動「ムダルニズマ」を広めたことでも知られています。

スペインのムンサラット美術館が所蔵するラモン・カザス作《マドレーヌ》は、19世紀芸術の中心地だったモンマルトルの“カフェ”文化を伝える重要な作品のひとつ。

バルセロナから約1時間半の山奥、カトリックの聖地ムンサラット修道院が擁する美術館から、同館の誇るマドンナがなんと35年ぶりに来日するんです。これは見逃せません!

ラモン・カザス《マドレーヌ》1892年 油彩、カンヴァス ムンサラット美術館 Museu de Montserrat. Donated by J. Sala Ardiz.

“カフェ“で生まれた芸術の広がりを存分に楽しめる今回の展覧会。ゆったりした気分で心ゆくまでじっくり鑑賞したいものです!

「いいアートとの出会いは、きっとあなたの心を豊かにしてくれるでしょう」by SEIJI。

展覧会の期間は2026年9月23日(水・祝)まで。展覧会の詳細は下記のURLからご覧ください。

https://mimt.jp/ex_sp/cafe/

プロフィール/SEIJI(小太刀正史)

フリーキュレーター。MeDEL個人事務所主催。学芸員の目線から美術館の情報を発信する活動を始める。自身もオブジェ作家として活動歴あり。

OBJECT東京展入選 From A The art日本オブジェ部門佳作 日本文化デザイン会議ETDA展参加など。

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