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「階段では押さないでね」何度もヒヤリとしていた私。だが、先生の声かけで変わった園児の行動

  • 2026.9.1
「階段では押さないでね」何度もヒヤリとしていた私。だが、先生の声かけで変わった園児の行動

最後の数段になると、後ろが気になった

娘が年少のクラスにいたころの話です。その年、新しく入園してきた子が何人かいました。

そのうちの一人に、とても元気な子がいました。

帰りの時間になると、保護者と子どもたちが一緒に階段を下ります。

その子は、なぜか最後の数段になると勢いよく近づいてきて、私や娘の背中に手を伸ばすことがありました。

強く突き飛ばすつもりではないように見えます。

それでも、場所は階段です。後ろから手が触れるたびに、私は思わず足に力を入れていました。

娘の手をぎゅっと握りすぎたこともあります。

「ママ、ちょっと痛いよ」

「あ、ごめん。ごめんね」

慌てて手をゆるめながらも、また後ろから来るのではないかと気になってしまいます。

その子の保護者も近くにはいましたが、子ども同士がじゃれているくらいに思っているようでした。

「危ないからやめてください」と直接言おうか、何度も迷いました。ただ、まだ小さな子です。どう伝えればいいのか分からず、そのままになっていました。

ある日の帰り、階段の下に先生がいたので、思い切って声をかけました。

「先生、ちょっといいですか。あの……階段で、後ろから手を出されることが何度かあって。悪気はないと思うんですけど、ちょっと怖くて」

先生はすぐに表情を引き締めました。

「そうだったんですね。怖い思いをさせてしまって、すみません」

そして少し声を落として続けました。

「まだ、お友だちとの距離の取り方がうまくつかめていないみたいで。近くに行きたいときに、手が先に出ちゃうことがあるんです」

「そうなんですね…」

「でも、階段は危ないですからね。そこは私たちも気をつけて見ます」

その言葉を聞いて、私は少しほっとしました。

ただ「元気な子だから仕方ない」と言われたわけではありません。先生も危ないことだと分かったうえで、その子自身もまだ人との距離を覚えている途中なのだと教えてくれたのです。

誰かを叱るのではなく、みんなの決まりになった

その日から、階段を下りる前に先生が声をかけるようになりました。

「はい、ここからは走らないよ。手すりを持って、ゆっくりね」

子どもたちが一斉に動こうとすると、先生は笑いながらもう一度言います。

「そんなに急がなくても大丈夫。順番に行こう」

特定の子の名前を出すことはありませんでした。

子どもたちは三人ほどずつ並び、手すり側から順番に下りるようになりました。保護者もその後ろについていきます。

最初のころ、その子はいつものように前へ出ようとすることがありました。

すると先生が、すぐそばから声をかけます。

「おっと、ゆっくり。手すりはどこだった?」

その子は一度立ち止まり、手すりに手を伸ばしました。

「そうそう。それで大丈夫」

そんなやり取りが何度か続きました。

しばらくして、私はふと気づきました。その子が先生に言われる前から手すりを持っていたのです。

後ろから急に近づいてくることも、いつの間にかなくなっていました。

ある日、娘が階段の途中で靴を気にして立ち止まりました。

私は「ごめんね、ちょっと待ってね」と後ろを振り返りました。

すると、あの子が少し離れたところでじっと待っています。

その子の保護者も気づいたようで、少しうれしそうに笑いました。

「ちゃんと待てるようになってきましたね」

私も思わず笑ってしまいました。

「ほんとですね。前は私のほうがドキドキしてたんですけど」

「すみませんでした」

「いえ、もう大丈夫です」

それだけの短いやり取りでした。

その子とは卒園まで同じクラスでした。年長になるころには、階段ではきちんと手すりを持ち、前の子が遅れていると立ち止まって待つ姿も見かけるようになりました。

あのころの私は、「ちゃんと注意してほしい」とばかり思っていました。

もちろん、危ないことはその場で止めなければいけません。でも、ただ叱るだけではなく、「どうすればいいのか」を何度も教えていくことも必要なのだと、先生とその子の姿を見ながら知りました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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