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『シェルター』でもやっぱり…ジェイソン・ステイサムの失敗から学ぶ、穏やかなセカンドライフの秘訣

  • 2026.8.29

屈強な肉体を持つ現役最強のアクション俳優の一人、ジェイソン・ステイサム。どんな強敵をもねじ伏せてきたこの男だが、これまでの作品でなかなか叶えられないことがある――それは“引退後の静かな生活”だ。数々の作品で穏やかな第2の人生を送ろうとしたものの、結局はトラブルを巻き起こしてきたステイサム。8月28日より公開された『シェルター』も、身を隠したはずが、政府に命をねらわれるハメに…という“ステイサム隠居失敗ムービー”の系譜の1作。どうすれば隠居は成功するのか?ここではステイサムが身をもって体現してきた失敗から、教訓を学んでいきたい!

【写真を見る】ステイサム映画のお決まり“隠居失敗”を振り返る!(『WILD CARD ワイルドカード』)

静かに暮らしたいなら、刺激的な場所は避けるべし!

【写真を見る】ステイサム映画のお決まり“隠居失敗”を振り返る!(『WILD CARD ワイルドカード』) [c]Lionsgate/courtesy Everett Collection
【写真を見る】ステイサム映画のお決まり“隠居失敗”を振り返る!(『WILD CARD ワイルドカード』) [c]Lionsgate/courtesy Everett Collection

まずはセカンドライフのお手本として最も参考にしたくない1作『WILD CARD ワイルドカード』(15)から見ていこう。ステイサムが演じたのは、元特殊部隊の兵士ニック・ワイルド。引退後、ラスベガスで用心棒として細々と暮らしていた元エリート兵だが、暴行を受けた元恋人の復讐に加担したことからマフィアのボスの怒りを買ってしまう。

ニックは酒場でカップルに絡むような情けないアル中男。そのうえギャンブル狂でもあり、50万ドルもの大金を手にしても「これでは一生暮らしていけない」と一世一代の勝負に。結局負けるまで賭け続けてしまう完全なる依存症。そのくせ正義感は強く、自ら危険に巻き込まれていく破滅的な性格の持ち主だ。

ラスベガスでのセカンドライフは夢があるが、リスクもでかい!(『WILD CARD ワイルドカード』) [c]Lionsgate/courtesy Everett Collection
ラスベガスでのセカンドライフは夢があるが、リスクもでかい!(『WILD CARD ワイルドカード』) [c]Lionsgate/courtesy Everett Collection

護衛を依頼してきた若き富豪との出会いを通じ、少しずつ自分の問題と向き合っていくニックだが、そもそも静かに暮らしたいのなら、ラスベガスのような欲望や危険と隣り合わせの場所は御法度。だがそこはステイサム、無意識に危険に引き寄せられてしまうのだろう。

過去の問題はあらかじめ精算しておけ!

落武者ヘアのステイサムの世捨て人っぷりが堪能できる『ハミングバード』 [c]Lionsgate/Courtesy Everett Collection
落武者ヘアのステイサムの世捨て人っぷりが堪能できる『ハミングバード』 [c]Lionsgate/Courtesy Everett Collection

数々の作品のなかでも最も落ちぶれた姿を堪能できるのが、2013年の『ハミングバード』。本作で演じるジョゼフ・スミスは、アフガニスタンの任務中に仲間を殺された報復として民間人を殺した過去から逃れる世捨て人。ある時、ホームレス仲間の少女イザベル(ビクトリア・ビューイック)がギャングに誘拐されたことを機に、復讐の鬼と化していく。

軍法会議から逃亡し、妻子からも離れてロンドンで酒とドラッグに溺れる惨めな路上生活を送っていたジョゼフは、ホームレス狩りから逃げ込んだ高級アパートが夏の間、住民不在であることを知り、人生を立て直そうと一念発起。中華料理屋で真面目に働いていたのも束の間、荒くれ者を追い払ったことで目立ってしまい、裏社会に足を踏み入れてしまう。

再起を目指すが裏社会に目をつけられてしまう(『ハミングバード』) [c]Lionsgate/Courtesy Everett Collection
再起を目指すが裏社会に目をつけられてしまう(『ハミングバード』) [c]Lionsgate/Courtesy Everett Collection

炊き出しをする修道女とのひと時のロマンスなど幸せを掴むチャンスはあるものの、あれよあれよと暴力の世界に引き戻されてしまうジョセフ。過去の罪としっかりと向き合わないことには、穏やかなセカンドライフなど夢のまた夢だ。

過去を捨てたいなら、人間関係も切り捨てろ!

かつての師の尻拭いをすることに…(『キラー・エリート』) [c]Open Road Films/courtesy Everett Collection
かつての師の尻拭いをすることに…(『キラー・エリート』) [c]Open Road Films/courtesy Everett Collection

また過去の関係によって、裏社会に引っ張り出されるという点では、『キラー・エリート』(11)も忘れてはいけない1作。仕事中に嫌気が差し、殺し屋稼業から足を洗った主人公が、かつての師匠が誘拐されたことをきっかけに、元SAS(特殊部隊)の兵士たちと戦うことになるという実話ベースの作品だ。

仕事を辞め、悠々自適な農場暮らしを送っていたダニー。しかし、人質となった恩師ハンター(ロバート・デ・ニーロ)が失敗した仕事の尻拭いをするため、恋人との日々を手放すことに。現在を取るなら、過去の仕事の人間との縁は、心を鬼にして切っておくべきなのかもしれない。

ご近所トラブルには、拳に頼らす温厚に対応!

あまりのただならぬオーラによって、すぐに目をつけられてしまう(『バトルフロント』) [c]Open Road Films/courtesy Everett Collection
あまりのただならぬオーラによって、すぐに目をつけられてしまう(『バトルフロント』) [c]Open Road Films/courtesy Everett Collection

盟友シルヴェスター・スタローンが自身のために書いた脚本の主演を託された1作が『バトルフロント』(13)。亡き妻の故郷である田舎町に娘と共に引っ越してきた元麻薬捜査官フィルが、町を牛耳る麻薬売人ゲイター(ジェームズ・フランコ)に目をつけられ、愛する娘を守るため決着をつけるという、ステイサム映画にしては渋めの作品だ。

騒動のきっかけは、学校でいじめっ子ボーイに絡まれた娘のマディ(イザベラ・ヴィドヴィッチ)が、親父直伝の護身術で撃退しただけ。このことで学校から呼びだされたフィルが、いじめっ子のモンスターペアレントに絡まれた際に、その父親を制してしまったことがスイッチとなり、家が悪党たちに襲撃され、しまいには娘が誘拐され…と、どんどんと事態がエスカレートしていく。

田舎の不良たちに絡まれてしまい…(『バトルフロント』) [c]Open Road Films/courtesy Everett Collection
田舎の不良たちに絡まれてしまい…(『バトルフロント』) [c]Open Road Films/courtesy Everett Collection

噂がすぐ広がる小さい町ではなるべく波風を立てずに過ごすのがベター。いくら相手が悪かろうと、ステイサムみたいな物騒な強面が子どもの喧嘩に介入するなんてもってのほかだ。

人殺しダメ!ゼッタイ!復讐はほどほどに…

元特殊工作員が建設作業員にジョブチェンジした(『ワーキングマン』) [c] Amazon MGM Studios / Courtesy Everett Collection
元特殊工作員が建設作業員にジョブチェンジした(『ワーキングマン』) [c] Amazon MGM Studios / Courtesy Everett Collection

今年の正月に日本公開された『ワーキングマン』(25)など、最近もご多分に漏れず、一般人になった元特殊部隊員の大暴れを体現しているステイサム。『ワーキングマン』でもタッグを組んだデヴィッド・エアー監督作『ビーキーパー』(24)もまた、元特殊工作員の男が、平穏な暮らしを捨てて恩人の復讐に立ち上がる、“ステイサム印”なアクションだ。

養蜂家というに過去の匂わせによってすぐに正体がバレてしまう(『ビーキーパー』) [c] MGM /Courtesy Everett Collection
養蜂家というに過去の匂わせによってすぐに正体がバレてしまう(『ビーキーパー』) [c] MGM /Courtesy Everett Collection

今作で演じるのは、社会を守るため独自に有害な要素を排除する極秘プログラム「ビーキーパー」の元工作員で、現在は養蜂家として暮らすアダム・クレイ。納屋を貸してくれた親切な隣人を死に追いやった特殊詐欺グループを撲滅すべく、詐欺を行うコールセンターをビルごと爆破し、関係者を血祭りに上げるなど「やりすぎでは…」と引いてしまうほどの暴力の限りを尽くしていく。

ステイサムが社会の害を皆殺しにしていく『ビーキーパー』 [c] MGM /Courtesy Everett Collection
ステイサムが社会の害を皆殺しにしていく『ビーキーパー』 [c] MGM /Courtesy Everett Collection

堅気の人間ではないと証明しているかのような殺しっぷりに加え、過去を匂わせた職業のせいですぐに正体がバレてしまい、逆に現役“ビーキーパー”を仕向けられてしまうアダム。恩人のためとはいえ、お仕置きはほどほどにしておこう。

いいことがあっても、油断は厳禁!

家族を失った少女を守りながら、迫り来る敵を撃退していく(『シェルター』) [c]2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.
家族を失った少女を守りながら、迫り来る敵を撃退していく(『シェルター』) [c]2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.

そして今回の『シェルター』でももちろん、“隠居失敗”というステイサムのお家芸が描かれる。スコットランド沖の孤島にそびえ立つ灯台で1匹の愛犬と共に外界と隔絶した隠遁生活を送るマイケル・メイソン。ある日、伯父と共に物資を届けてくれる少女ジェシー(ボディ・レイ・ブレスナック)のボートが嵐で沈んでしまい、なんとかジェシーを救出。そこから孤独な2人の共同生活がスタートする…という、“少女×ステイサム”のほっこりな交流を交えたアクションだ。

カメラに映ったことから静かな暮らしが崩れ去っていく(『シェルター』) [c]2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.
カメラに映ったことから静かな暮らしが崩れ去っていく(『シェルター』) [c]2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.

イギリス政府の元諜報員だった過去を持ち、当時のMI6長官マナフォート(ビル・ナイ)の命令に背いた因縁によって“抹殺リスト”なる物騒なものに登録されていたマイケルは、諜報員時代のスキルや人脈などを駆使し、ジェシーを守りながらマナフォートが放つ追手と対峙していく。

諜報員時代のスキルで次々と敵を倒していく(『シェルター』) [c]2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.
諜報員時代のスキルで次々と敵を倒していく(『シェルター』) [c]2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.

もしもの時のために住処にブービートラップを張り巡らすなど、用意周到で抜け目ないマイケルだが、ジェシーのための薬を調達しに本土へ足を運んだ際、ふと見かけた子ども服屋の店先でカメラに映り込み存在がバレてしまう。徐々に心が通い始めたジェシーとの関係がうれしいのはわかるが、どんな時でも油断大敵だ。

『シェルター』は8月28日(金)より公開 [c]2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.
『シェルター』は8月28日(金)より公開 [c]2026 Fire Hawk Productions Limited. All Rights Reserved.

なかなか幸せなセカンドライフを送れないステイサムだが、その悲願が叶ってしまえば、すなわち映画の見どころがない(?)ということ。身を削りながら観客を楽しませてくれるステイサムの活躍を、最新作『シェルター』でも堪能してほしい。

文/武藤龍太郎

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