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菅野美穂、及川光博、山田孝之。25年前の『恋がしたい恋がしたい恋がしたい』で出会う三人の魅力

  • 2026.9.13
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菅野美穂-2000年9月撮影(C)SANKEI

誕生日に一人で牛丼を食べている女性がいる。結婚を前に婚約者に去られた教師がいる。そこへ、恋人同士の派手なけんかが始まる。2001年7月から放送された『恋がしたい恋がしたい恋がしたい』(TBS系)は、そんな牛丼店での出会いから動き出す物語だった。

年齢も仕事も違う男女七人が、それぞれの寂しさを抱えながら恋をする。渡部篤郎演じる教師・赤井涼介や、水野美紀演じる羽田藍らとともに、この群像劇を彩ったのが菅野美穂、及川光博、山田孝之だ。三人の歩みを振り返ると、あの夏に集まった顔ぶれの面白さが、いっそうよく分かる。

菅野美穂が担う、恋に踏み出すまでの遠さ

菅野が演じた永島蜜柑は、ホテルで働く内気なハウスキーパー。誕生日を一人で過ごしていた彼女は、涼介から、彼が婚約者に渡すはずだったプレゼントをもらう。その出来事をきっかけに、涼介へ思いを寄せていく。

この頃の菅野は、すでに連続ドラマの主役を担う存在だった。1996年の『イグアナの娘』では、母との関係に傷つき、自分をイグアナだと思う少女を演じた。2000年の主演作『愛をください』では、劇中の歌手名・蓮井朱夏として実際に『ZOO ~愛をください~』をリリース。劇中の人物への関心が、ドラマの外の歌声にもつながった時期である。

そんな菅野の魅力を、本作では蜜柑の切実さに重ねて味わいたい。恋をすれば、すぐに自信が持てるわけではない。涼介への思いを藍に相談する蜜柑は、最終話では自分の気持ちを告白する。自分を好きになれない少女を担ってきた菅野が、今度は誰かを好きになり、思いを伝えようとする女性を演じる。その一歩を応援したくなるところに、蜜柑という役のいじらしさがある。

及川光博の華やかさと、恋愛小説家の矛盾

及川の役は、人気恋愛小説家・紫村一郎。冒頭のけんかも、藍と芝居をして周囲の反応を試すためのものだった。いかにも人間関係に通じていそうな男なのに、女性を本当に愛せずにいる。恋愛を書くことと、自分が恋愛をすることの間に隔たりがある人物だ。

及川は1996年に歌手デビューし、1998年の『WITH LOVE』から俳優活動を始めた。2001年には、美輪明宏主演の舞台『毛皮のマリー』にも美少年役で出演。音楽で築いた個性を携えて、映像や舞台へ表現の場を広げていた。

その華やかな存在感は、テレビにも出演する売れっ子作家という役柄によく似合う。だからこそ、一郎の恋の不自由さが面白い。人を引きつける魅力があることと、誰かと親密になれることは別なのだ。恋に奥手な蜜柑とは違う場所から、同じ「恋がしたい」という願いにたどり着く。及川をこの役に置いたことで、タイトルの言葉にもひと筋縄ではいかない味が加わっている。

17歳の山田孝之が加える、十代の恋の重さ

山田が演じたのは、恋に悩む高校生・青島渉。主婦の黄田織江や藍とかかわり、大人たちの恋愛模様の中へ入っていく。

放送当時の山田は17歳。1999年に俳優デビューし、2001年はNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』にも出演していた。2003年の『ウォーターボーイズ』で連続ドラマ初主演を果たす前の、若い時期の一作なのだ。

菅野や及川がすでに重ねていた仕事を思うと、山田の若さ自体が、この顔ぶれの中では大切な個性に見える。渉がいることで、恋にまつわる寂しさは大人だけのものではなくなる。経験が少なくても、本人にとっての悩みは軽くない。七人の物語に十代の登場人物が加わり、その役を実際に十代の山田が担っていることに、このドラマの幅がある。

三人の魅力を、あの牛丼店から

25年後の2026年、菅野は映画『90メートル』に出演し、及川はデビュー30周年のワンマンショーツアーを開催。山田も『闇金ウシジマくん』『勇者ヨシヒコ』などの主演作を重ね、2025年には映画『正体』で第48回日本アカデミー賞の優秀助演男優賞を受賞した。

この物語を見返すと、恋への一歩を踏み出す蜜柑も、華やかさの裏に矛盾を抱える一郎も、十代の渉も、それぞれの姿が際立つ。誰かを求める気持ちに、年齢や肩書だけでは分けられないものがある。誰かを求める思いの中で三人の異なる魅力が出会うこと。『恋がしたい恋がしたい恋がしたい』を名作と呼びたくなる理由は、そこにある。


※記事は執筆時点の情報です

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