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笑顔のCMからドラマのヒロインへ。ピュアなヒロインが90年代のテレビに残した存在感

  • 2026.9.14
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坂井真紀-2008年11月撮影(C)SANKEI

CMで見せる笑顔、連続ドラマで演じる恋、そして歌手としての活動。90年代の坂井真紀には、いくつもの入口があった。エステのCMで人気を集め、ドラマでは若いヒロインを演じた。明るく可愛らしい印象と、役の中で見せるさまざまな顔。その両方を知ると、当時の坂井の活躍が、ひとつのCMだけには収まらなかったことが見えてくる。

失恋した女性が拳を構える

1990年、坂井は4代目リハウスガールとしてCMに登場した。そして1992年に話題を呼んだのが、失恋した女性を演じたエステのCMだ。ボクシングのポーズを取り、きれいになると心に決める。傷ついた気持ちと、そこから立ち上がる勢いが、小さな仕草に同居していた。

ただ美しい姿を見せるだけでなく、恋に破れた女性が次へ進もうとする。その物語を引き受けたのが坂井だった。可愛らしさの中にある負けん気は、あの拳の構えと結びついている。坂井の魅力を思い出すとき、笑顔と一緒に浮かぶ場面だ。

同じ1992年にはフジテレビの深夜ドラマ『90日間トテナム・パブ』に主演し、俳優としてデビュー。CMで名前を知った人が、ドラマでは主人公として彼女を見る。広告と芝居の両方に活動の場があったことが、この時期の坂井を物語っている。

家族を驚かせる娘から、愛に悩むヒロインへ

1993年の『ダブル・キッチン』では、山口智子が演じる都の義妹・るみ役。嫁と姑の衝突を軸にした、にぎやかな家族の一員だった。翌年のお正月スペシャルでは、家族旅行先のハワイで交際相手を紹介し、翌日に結婚すると宣言。父親が倒れてしまうほどの騒動を持ち込む。嫁姑のやり合いの傍らで、若い娘も自分の恋を進めている。その自由さが、坂井の役の面白いところだ。

一方、1994年の主演作『私の運命』で向き合ったのは、恋人を失うかもしれないという現実だった。坂井が演じた千秋は、建設会社に勤める会社員。東幹久が演じる次郎との結婚を控えていたが、次郎のがんによって、二人の将来は大きく揺さぶられる。

結婚するのか、別れるのか。相手を愛する気持ちがあっても、それだけでは決められないことが次々と迫る。相手の病だけでなく、治療をめぐる医師たちや家族の思惑まで絡み合う。大石静脚本、全21話の物語の中心に坂井がいた。

千秋の視点は、複雑な人間模様をたどる入口でもあった。るみが結婚を決めて家族を慌てさせるのに対し、千秋には、その結婚を選ぶこと自体の重さがある。明るい娘役も、先の見えない愛に悩む主人公も担う。CMの笑顔で知られた坂井は、連続ドラマの中で、恋をする女性の異なる姿を演じていた。

歌声でもコントでも出会えた

時間を少し戻すと、坂井は1993年に『太陽が教えてくれる』でCDデビューし、その後も歌手として活動を続けた。俳優として親しんできた人には、少し意外な一面かもしれない。ドラマでは役柄を通して出会っていた坂井の歌声にも触れられた。CMやドラマで彼女を見かけた90年代は、レコード店でもその名前に出会える時代だった。

2000年代に入ると、その存在をさらに身近にしたのが『ココリコミラクルタイプ』だ。2001年から2007年まで、松下由樹やココリコらとレギュラー出演し、視聴者の体験談をもとにしたコントで、さまざまな人物を演じた。連続ドラマでひとりの役をじっくり演じる一方、こちらでは次々と違うキャラクターになって笑いを生む。恋愛ドラマのヒロインとして坂井を見ていた人も、コントを通じて、その思い切りのよさやコミカルな芝居に親しんだのではないだろうか。

あの頃と変わらぬ笑顔

歌やコントにも活動を広げながら、坂井は俳優として役を重ねてきた。近年は『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』で岸本ひとみを演じ、2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』には、なか役で出演している。

いまの坂井を知る人が90年代の作品を見れば、恋に奮い立ち、愛に悩む若い日の姿が新鮮に映るかもしれない。当時から見てきた人には、CMで気になったあの人が、ドラマでも、歌でも、コントでも楽しませてくれた記憶があるだろう。そんな記憶の先に、いまも新しい役を演じる坂井がいる。懐かしさだけで終わらず、次はどんな姿に出会えるのかと思わせてくれるところに、彼女を見続ける楽しさがある。


※記事は執筆時点の情報です

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