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「今日も先に帰るね」自転車に乗れないことを隠し、公園を急いで出た私

  • 2026.8.23
ハウコレ

「じゃあ、一緒に練習しよ」隠していたことを知られた広場の隅で、彼女はそう言ってくれました。先に帰る理由は、その日からなくなっていきました。

マンションの駐輪場の奥には、サドルの高さを一度も変えていない私の自転車が停めてありました。

乗れないまま大人になって

子どもの頃に練習する機会をなくしたまま、私は自転車に乗れずにいました。息子の園のママ友たちは、降園後に近くの公園へ集まります。皆は自転車、私だけが歩きでした。

帰りは息子の足に合わせるとどうしても長くなります。だから、たっぷり遊ばせたあと、疲れてぐずる前にと決めた頃合いで、誰より先に公園を出るのが習慣になっていました。

「ごめん、今日も先に帰るね」

仕事帰りに駆けつけてくる彼女とは、なぜかいつもすれ違いになりました。息子の限界と、彼女の到着が、ちょうど重なってしまうのです。

「ごめん、今日も先に帰るね」

そう告げるたび、胸の内で言い訳を重ねていました。本当は残っておしゃべりしたいのに、乗れないと打ち明けて笑われるのが怖くて、歩きの帰りが長いからとも言えずにいました。

彼女がお茶に誘ってくれた日も、「ごめん」とだけ言って背を向けました。彼女の顔が曇るのに気づいていながら、乗れないという一言をどうしても出せずにいました。

人のいない広場の隅で

休日、私はサドルにまたがる練習をするため、自転車を押して公園まで行きました。おぼつかない手元を誰にも見られたくなくて、広場の隅を選びました。地面を蹴って、ふらついて、足をつく。その繰り返しの途中で、彼女が広場に入ってくるのが見えました。

「もしかして、練習中?」

ごまかす言葉を探して、やめました。「実は、自転車に乗れないの」口にしてしまえば、それだけのことでした。帰りが長くなるから先に出ていたこと、それがいつも彼女の到着と重なっていたこと、その場で全部話しました。

そして...

「じゃあ、一緒に練習しよ」

彼女はそう言ってくれました。今は彼女に付き添ってもらいながら広場での練習を続けて、自転車を押しながら並んで歩いています。乗れる距離は、少しずつ延びているところです。

(30代女性・専業主婦)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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