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大雨で避難所へ行った60代女性→「入れ歯はティッシュに包めばいい」と枕元へ置くが…翌朝、待ち受けていた“想定外の事態”

  • 2026.9.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

大雨や地震への備えとして、水や薬は防災袋に入れていても、毎日使う入れ歯のケースまでは思い浮かばない方も多いでしょう。

Aさんにとって入れ歯は、食事や会話に欠かせない生活用品でした。避難所では「どこに置くか」「何で手入れするか」まで決めておかないと、普段なら起きにくい紛失や破損につながります。

白い包みが消えた朝

Aさんは60代女性で、上の総入れ歯を使っています。大雨で避難情報が出た夜、夫と近くの体育館へ移りました。

就寝前に入れ歯を外そうとして、ケースを自宅へ置いてきたことに気づきます。「ティッシュなら清潔だし、朝まで枕元へ置けば大丈夫」と考え、軽く拭いた入れ歯を包みました。

翌朝、白い包みが見当たりません。寝具の片づけが始まっていたため、Aさんは避難所の担当者へ事情を伝え、夫と毛布を1枚ずつ広げました。

入れ歯は敷物との間から見つかったものの、ティッシュは湿って一部が張りつき、入れ歯には細かな汚れも残っていました。あと少し片づけが進んでいれば、ごみと一緒に運ばれた可能性もあります。

ティッシュでは「清潔な保管」にならない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ティッシュに包むだけでは、入れ歯を衛生的に保管したことにはなりません。入れ歯に付いた食べかすや歯垢は、拭いて包むだけでは十分に落とせず、ティッシュも入れ歯用の清潔な容器ではないからです。

さらに、柔らかい紙では乾燥を防げず、踏んだり荷物が当たったりしたときの衝撃からも守れません。入れ歯は材料によって、乾燥すると変形・劣化し、割れやすくなることがあります。

外した入れ歯は、水を張ったふた付きの硬いケースへ入れるのが基本です。ケースには本人の名前を書き、「枕元の手提げ袋の中」など置き場所を決め、家族とも共有しましょう。

防災袋に「口専用の小袋」をつくる

入れ歯を使う方は、次の用品を一つの袋へまとめておくと、避難時に持ち出しやすくなります。

① 名前を書いた、ふた付きの入れ歯ケース
② 歯ブラシと入れ歯用ブラシ
③ 口腔用ウェットティッシュまたはガーゼ
④ 入れ歯洗浄剤と紙コップ
⑤ 普段使っている歯間ブラシ、デンタルフロス、液体歯磨きなど

口腔用ウェットティッシュは、断水時に歯や歯茎、舌のほか、入れ歯の汚れを拭き取る際にも使えます。一方、入れ歯洗浄剤には水が必要なため、用意していても断水中に使えるとは限りません。

普段は、特別な指示がなければ、清掃後に清潔な水を入れたケースへ保管するのが基本です。ただし避難所では使える水や洗い場が限られ、入れ歯の材質によって手入れの注意点も異なります。現地の案内や歯科支援者の説明を確認し、普段から自分の入れ歯に合う保管方法を歯医者へ聞いておきましょう。

入れ歯をなくした、割れた、痛くて使えない、食べにくいといった場合は、一人で我慢せず避難所の担当者へ伝えてください。地域の歯科医師や歯科衛生士、日本災害歯科支援チーム(JDAT)などにつないでもらえる場合があります。

入れ歯にも決まった避難場所をつくる

Aさんは帰宅後、名前を書いたケースと口のケア用品を小袋へまとめ、防災袋へ入れました。半年ごとに中身を確かめ、夫とも「避難するときは入れ歯とケースを確認する」と決めたそうです。

災害時の口の備えは、歯ブラシ1本で終わりではありません。入れ歯を清潔に保ち、乾燥や衝撃から守り、見失わないためのケースまで用意しておくことが、避難先での食事を支える備えになります。


※プライバシー保護のため、実際の事例をもとに一部の設定や状況を改変・再構成しています

執筆・監修:鷹巣 多紀

大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note:https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw
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