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「介護費用に使える」“死亡保険金 500万円”の終身保険に加入した40代男性→25年後、FPに相談して発覚した“致命的な勘違い”

  • 2026.9.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

夫が認知症になって保険の手続きが難しくなったとき、「妻が代わりに手続きすればいい」と考える人もいるかもしれません。

終身保険に300万円ほどの解約返戻金があれば、「介護費用が必要になったら使えばいい」と考えるのも自然です。しかし、本人名義の保険は、家族だからという理由だけで自由に解約できるとは限りません。

実際に、死亡保険金500万円の終身保険を約25年間持ち続けてきた68歳男性も、「妻なら代わりに手続きできる」と思っていました。ところが老後のお金について相談した際、想定とは違う仕組みを知ることになります。

「300万円あれば介護費用に使える」と思っていた

68歳のNさんが65歳の妻と老後について話すようになったきっかけは、70代前半の知人が認知症で介護施設に入ったことでした。

Nさん自身も70歳まであと2年です。知人の家族が施設探しやお金の管理に苦労していると聞き、「自分たちも数年後には同じ問題に直面するかもしれない」と考えるようになりました。

夫婦の預貯金は約1,200万円。住宅ローンはすでに完済し、2人の子どもも独立しています。今すぐ生活に困る状況ではありません。ただ、どちらかの介護が3年、5年と続けば、預貯金だけで対応できるのか不安が残ります。

そこでNさんが思い出したのが、43歳ごろに加入した終身保険でした。加入から約25年。死亡保険金は500万円で、現在の解約返戻金は約300万円です。

「預貯金1,200万円とは別に300万円あるなら、介護にお金がかかったときに使える」Nさん夫妻はそう考えていました。

現時点では、死亡保障として500万円を残すことも、生前に解約して約300万円の解約返戻金を受け取ることもできます。Nさんにとっては、老後の選択肢を広げてくれるお金という認識でした。

「妻なら手続きできる」は勘違い?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ただ、68歳になったNさんには一つ気になることがありました。

「もし70代になって認知症が進み、自分で保険会社に電話したり、書類を書いたりできなくなったらどうする?」

すると妻は、「そのときは私が代わりに手続きすればいいんじゃない?」と答えました。この保険では、死亡保険金500万円の受取人も妻です。

そのため妻は、「自分が500万円を受け取る保険なのだから、夫が動けなくなれば自分が代わりに解約できる」と考えていました。ところが後日、老後資金についてFPへ相談した際、この考え方に注意が必要だと分かります。

契約内容を確認すると、契約者はNさん、保険の対象となる人もNさん、死亡保険金500万円の受取人が妻でした。

ここでポイントになるのが、「死亡したときに500万円を受け取る人」と「生前に約300万円の解約返戻金を受け取るために解約する人」は別だということです。

生命保険の解約は、原則として契約者が行います。今回でいえば、原則として解約の手続きをするのは、契約者であるNさんです。

妻が死亡保険金500万円の受取人に指定されていても、それだけでNさんの保険を自由に解約できるわけではありません。

「受取人が私でも、この保険を解約する手続きは別なんですね。初めて知りました…」妻はここで初めて、保険金を受け取る立場と、契約を動かす立場の違いを知りました。

Nさんも「25年間入っていて300万円あるなら、必要なときにすぐ使えるお金だと思っていました」と驚きます。解約返戻金が300万円あっても、本人が手続きできなくなれば、家族がすぐ使えるとは限らないのです。

元気なうちに確認したい「代理」の仕組み

生命保険会社によっては、「保険契約者代理制度」や「保険契約者代理特約」などを用意しています。

簡単にいうと、契約者本人が意思表示できない場合などに、あらかじめ決めておいた家族などが代わりに手続きできる仕組みです。

解約や住所変更などが対象になる場合もありますが、どこまで代理できるかは保険会社や契約内容によって異なります。また、認知症と診断されたからといって、それだけで本人がすべての手続きをできなくなるわけではありません。

本人が手続きの内容を理解し、自分の意思を伝えられる状態であれば、手続きできる可能性があります。だからこそ、本人が自分で意思表示できるうちに、代理制度の有無や代理人の指定方法を確認しておくことが大切です。

状況によっては、成年後見制度などを検討するケースもあります。

FPが見るのは「いくらあるか」だけではない

Nさん夫妻には、預貯金約1,200万円、死亡保険金500万円、解約返戻金約300万円がありました。

ただし、300万円の解約返戻金があるからといって、必要なときに家族がすぐ使えるとは限りません。特に、加入から20年、30年と経過した保険は、金額だけでなく「本人が手続きできなくなったら誰が動けるのか」まで確認しておきたいところです。

契約者や受取人、代理制度の有無、解約が代理手続きの対象になるかまで確認しておくと、老後のお金の使い方も考えやすくなります。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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