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“月27万円”の年金で暮らす70代夫婦→「老人ホームの費用も何とかなる」と思いきや…料金表を細かく見て“表情が一変したワケ”

  • 2026.10.14
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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの小泉です。

老後の暮らしを考えたとき、「夫婦の年金があれば、老人ホームの費用も何とかなる」と思っていませんか? 毎月の収入と施設の料金表を見比べ、支払えそうだと安心する方もいるかもしれません。

しかし、表示された月額料金だけで、入居後の生活費をすべて賄えるとは限りません。72歳の夫と70歳の妻も、年金月27万円と預貯金1,200万円があれば大丈夫と考えていました。ところが、料金表を細かく確認した妻が、思わぬ現実に気づきます。いったい何が見えてきたのでしょうか。

夫婦の年金を合わせれば、老人ホームの費用くらい払えるだろう

そう考えていたのは、72歳の夫と70歳の妻でした。2人の公的年金は月額27万円。預貯金は1,200万円あります。「月20万円くらいなら、年金から払っても7万円残る」

施設探しを始めた夫は、そう話していました。

ところが、ある有料老人ホームの料金表を妻が細かく確認したところ、表情が一変します。

「待って。20万円だけ払えばいいわけじゃないの?」

夫婦が見落としていたのは、「月額利用料」と「施設で生活するために必要な費用の総額」は同じとは限らないという点でした。

「月額20万円」に何が含まれているのか

有料老人ホームでは、家賃、管理費、食費などの料金が設定されています。一方、介護保険サービスの扱いは、施設の類型によって異なります。

たとえば、介護保険法上の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた介護付き有料老人ホームでは、施設が提供する介護サービスについて介護保険の対象となる仕組みがあります。

また、住宅型有料老人ホームなどでは、入居者が外部の介護サービスを利用し、その自己負担額を別途支払う形が基本です。

つまり、「老人ホームなら月額料金とは別に必ず介護費用がかかる」とも、「月額料金だけですべて賄える」とも一概にはいえません。

施設の料金表と重要事項説明書を確認することが重要です。

実際、厚生労働省の有料老人ホームの表示事項でも、月払い方式や前払い方式など複数の料金方式が示され、利用料の内訳や介護サービスの費用負担を明確にすることが求められています。

「高額介護サービス費があるから安心」でもない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

もう一つ、夫婦が気になったのが介護保険の自己負担です。

介護保険サービスを利用した場合、利用者負担は原則1割で、一定以上の所得がある場合は2割または3割です。

さらに、介護保険サービスの自己負担額には、所得区分などに応じた月額上限があります。例えば、住民税課税世帯では、所得区分により月額4万4,400円、9万3,000円、14万100円などの上限が設けられています。一方、住民税非課税世帯などには、別の上限額が適用されます。

ただし、高額介護サービス費の上限が、老人ホームの利用料全体に適用されるわけではありません。介護保険サービスの自己負担が対象であり、家賃、食費、管理費、日用品費、医療費などは、原則として別途負担を考える必要があります。

夫婦の年金だけで考えてはいけない理由

夫婦は帰宅後、もう一度家計を計算しました。

施設に毎月支払う費用だけではなく、

  • 介護保険サービスの自己負担
  • 医療費や薬代
  • 日用品費や理美容費など
  • 入居時に必要な前払金やその他の費用
  • 施設に入らない配偶者の生活費

まで確認する必要があります。

特に重要なのが、夫婦のどちらか一方だけが入居するケースです。

夫が施設に入り、妻が自宅に残るなら、「夫婦の年金27万円-施設費」という計算だけでは不十分。妻自身の食費や光熱費、住居費、医療費なども必要になります。

「年金で老人ホーム代を払えるか」ではなく、入居後の家計全体を何年間維持できるか。夫婦が料金表を前にして最後に確認したのは、この点でした。

なお、特別養護老人ホームなどの介護保険施設では、所得や預貯金など一定の要件を満たす人を対象に、食費・居住費を軽減する「補足給付」があります。これは一般の有料老人ホームの入居費用全般を軽減する制度ではありません。

2026年8月からは、補足給付の所得区分の基準の一部も見直されています。利用できるかどうかは、本人や配偶者の所得・資産状況などによって異なるため、自治体などで確認することが大切です。

「月額20万円だから大丈夫」ではなく、その金額に何が含まれているのか、別途いくら必要なのか。そして、夫婦のどちらか一方だけが入居した場合にも家計を維持できるのか。老人ホームを検討するときは、この3点まで確認して初めて、老後資金の本当の姿が見えてくるのです。


執筆・監修:小泉@社労士ライター
20年以上の社労士経験を通じて、多くの相談者から「こんな制度があるとは知らなかった」「もっと早く相談しておけばよかった」という声を聞いてきた経験から、専門知識を、必要とする人に、正しく、わかりやすく届けることを大切にしている。社会保険・労働保険、公的年金をはじめ、暮らしや仕事に関わる制度について、専門家としての正確性と、生活者目線のわかりやすさを両立した情報を執筆・発信。保有資格は、社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士など。


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