1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「そんな…」30年に買った“300gの金”を買取に出した70代女性、690万円で売れて喜ぶが…数ヶ月後に判明した“思わぬ事実”に絶句

「そんな…」30年に買った“300gの金”を買取に出した70代女性、690万円で売れて喜ぶが…数ヶ月後に判明した“思わぬ事実”に絶句

  • 2026.10.16
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、30年ほど前に買った金を売却した70代女性・Aさん(仮名)の体験談です。

「売ったお金は貯金に回そう。暮らしは何も変わらないはず」

そう考えていたAさんでしたが、翌年の夏、病院の窓口で思わぬ変化に気づきます。金を売ったあとに知っておきたい、医療費と保険料の仕組みをご紹介します。

30年前に買った金を690万円で売却

76歳のAさんは、都内で一人暮らしをしています。収入は年150万円の年金だけです。

30年ほど前、Aさんは100gの金の延べ棒を3本、合わせて300g購入しました。代金は45万円で、当時の領収書は通帳と一緒に保管していました。

金の値上がりを知ったAさんは、昨年の12月、買取店ですべて売却しました。受け取った額は690万円でした。

「使う予定はありません。貯金に回すだけです」

今年の春には確定申告を済ませ、所得税も納めました。Aさんは、これで手続きは終わったと思っていました。

夏、病院の窓口で「3割です」と言われ…

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

今年の8月、Aさんは、膝の治療で通う整形外科を受診しました。

ところが、会計の金額はこれまでの3倍でした。

「今月から、3割のご負担になっています」

受付でそう言われ、Aさんは目を疑いました。これまでは1割負担だったからです。ひと月の医療費が2万円なら、窓口で払う額は2,000円から6,000円になります。

7月に届いた保険料の通知も見直しました。前の年度は年1万4,000円ほどだった保険料が、約35万円になっていました。

驚いたAさんは、区役所の後期高齢者医療の窓口に相談しました。

金の利益が、年金と合わせて計算されていた

担当者によると、個人が金を売って得た利益は、原則として「譲渡所得」になり、年金などほかの所得と合わせて計算されます。

金を持っていた期間が5年を超えるため、計算は次のとおりです。

(690万円−45万円−特別控除50万円)×1/2=297万5,000円

年金150万円は、公的年金等控除110万円を差し引くと、所得は40万円です。合わせると、昨年の所得は337万5,000円になりました。

後期高齢者医療の窓口負担は、住民税の課税所得が145万円以上あると、原則3割です。Aさんの課税所得は、この基準を大きく上回っていました。

一人暮らしの場合、収入が383万円未満なら、3割の対象から外れる仕組みもあります。ただし、ここでいう収入は、経費などを差し引く前の金額です。金を売った690万円がそのまま含まれ、年金と合わせて840万円になるため、Aさんは対象になりませんでした。

「そんな…。貯金に回すだけのお金でも、所得として数えられるのですね。」

負担割合は毎年8月1日を基準に決まり、翌年の7月まで続きます。保険料も、前の年の所得をもとに4月から1年分が決まります。

なお、影響は原則としてこの1年限りです。今年ほかに大きな所得がなければ、来年の8月からは1割に戻る見込みです。

売る前に、翌年の負担まで確かめる

Aさんは、金を売って損をしたわけではありません。ただ、通院を続けている人にとっては、手元に残るお金が変わります。

金を売る前に、次の点を確認しておきましょう。

・買ったときの金額が分かる資料があるか(ない場合は、売った金額の5%を取得費として計算できます)
・売った翌年の窓口負担や保険料がどう変わるか
・入院や手術の予定がある時期と重ならないか

保険料は、お住まいの都道府県によって異なります。市区町村の窓口で事前に相談しておくと安心です。

金を売るときは、税金だけでなく、翌年の医療費や保険料まで含めて手取りを考えることが大切です。


執筆・監修:中川 佳人

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ