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妹を傷つけていたのは、憧れを隠すための私の口癖でした

  • 2026.8.17
ハウコレ

妹が器用にこなすたび、私は同じ言葉を口にしてきました。あの日の妹の目を思い出すたび、自分が何を守ろうとしていたのかを考えています。

妹への送信欄には、打ちかけの謝罪の文面が3日前から残ったままでした。

いつからの口癖だったのか

消しては書き直すうちに、妹に投げてきた自分の言葉を数えていました。「あんたは要領がいいよね」実家で顔を合わせるたび、私はそう言ってきました。妹は、昔から物事をテキパキとこなしていました。同じ台所に立っても、先に全体を組み立ててから動くのは、いつも妹のほうでした。私はといえば、母から「あんたは不器用ね」と言われて育った側です。あの言葉は半分は称賛で、もう半分は、褒められる妹への当てつけでした。

「それ、褒めてるの?」

母の誕生日の集まりの日、母は妹の味噌汁を一口飲んで「この味、お店みたい」と褒めました。私はすかさず、いつもの言葉をかぶせました。「それ、褒めてるの?」振り向いた妹の目は、笑っていませんでした。「褒めてるに決まってるでしょ」と即答した自分の声が、言い訳のように響きました。「私だって、見えないところでどれだけ準備してるか知らないでしょ」そう言って居間へ戻る妹を、私は呼び止められませんでした。シンクの前で、自分の言葉を初めて相手の側から聞いた気がしました。

3日かけて送った1通

褒めているというのは本当です。ただ私にはそれ以外の気持ちもありました。妹の結果を要領のよさにしておけば、追いつけない自分を認めずに済みました。妹の努力を認めないようにしました。それを文章にする勇気が出ないまま、送信欄の文面を何度も書き直します。3日目に、ようやく短くまとめて送りました。「この前はごめん。今度ちゃんと話させて」返ってきたのは「わかった」の一言でした。

そして...

週末の電話で、私は子どもの頃からの話をしました。「私、ずっとあんたみたいになりたかったんだよ」続けて、「不器用な自分を認めたくなくて、あんたの努力を要領って言葉にしてた」と伝えました。妹は少し間をおいてから、「今度は私の話も聞いてね」と言いました。許されたとまでは思っていません。ただ、次に台所に並ぶときは、称賛は称賛の形のまま渡そうと決めています。

(30代女性・事務職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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