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「玄関の脇に、少しだけ置かせて」お世話になっているからと断りきれず貸したガレージ。だが、エスカレートする荷物に伝えた本音

  • 2026.8.13
「玄関の脇に、少しだけ置かせて」お世話になっているからと断りきれず貸したガレージ。だが、エスカレートする荷物に伝えた本音

「少しだけなら」と、母は断れなかった

子どものころ、私は母とふたりで吉祥寺の古い家に住んでいました。

母は仕事で帰りが遅くなることが多く、そんな私を気にかけてくれていたのが、隣で骨董店を営む男性でした。

「お母さんが帰ってくるまで、ここにいればいいよ」

学校から帰ると、私はときどき店の奥で母を待たせてもらっていました。

棚には湯呑みや皿、古い木箱がぎっしり並んでいましたが、男性は嫌な顔ひとつせず、私にお茶まで出してくれました。

母もそのことをとてもありがたく思っていて、迎えに来るたびに「いつもすみません」と頭を下げていました。

そんなある日、男性が母に声をかけました。

「玄関の脇に、少しだけ荷物を置かせてもらえないかな」

店に入りきらなくなった木箱を、一時的に置きたいとのことでした。

母は少し迷ったようでしたが、最後には「いつも娘がお世話になっていますから」と了承しました。

最初に置かれたのは、木箱がひとつだけでした。

ところが、その横にもうひとつ箱が増え、数日後には包まれた皿や小さな壺まで並ぶようになりました。

それでも、玄関までの通り道は残っていました。母も「そのうち片づけるだろう」と思っていたのだと思います。

しばらくすると、男性は今度はガレージを指さしました。

「雨に濡れると困るものがあってね。端のほうに少しだけ置かせてもらえないかな」

母はまた断りきれませんでした。

「感謝していることと、これは別です」

ガレージの隅に置かれた荷物も、少しずつ増えていきました。

最初は車の邪魔にならない場所だけでしたが、やがて箱が二列になり、その上にも荷物が積まれるようになりました。

車はまだ入れられましたが、助手席側のドアを大きく開けることはできません。

買い物袋を抱えて乗り降りするときには、体を横にしなければならないほどでした。

さすがに母も、一度だけ男性に伝えました。

「ごめんなさい。これ以上増えると、車の出し入れが少し大変で……」

男性は「ああ、ごめんごめん。近いうちに整理するよ」と答えました。

けれど、荷物は減りませんでした。

むしろ数週間後には、新しい木箱まで増えていました。

ある日、買い物から帰ってきた母が車をガレージに入れようとしたときのことです。

荷物が駐車スペースにはみ出していて、いつもの位置まで車を下げることができませんでした。

母はエンジンを切ると、しばらく黙ってガレージを見ていました。

その夜、私を連れて隣の店を訪ねました。

「いつもこの子を気にかけてくださって、本当に感謝しています」

男性は、いつものように「そんなの気にしなくていいよ」と笑いました。

けれど母は、そこで話を終わらせませんでした。

「でも、感謝していることと、うちの場所を使っていただくことは別だと思うんです」

そして、玄関脇とガレージに置いてあるものを片づけてほしいと、はっきり伝えました。

男性は少し驚いた顔をしましたが、やがてガレージのほうを見て、小さく息を吐きました。

「……置かせてもらえるのに甘えて、増やしすぎたね。悪かった」

それから数日かけて、木箱や皿は隣の店へ戻されていきました。

すべて片づいたガレージに車を入れると、両側のドアを普通に開けられるようになりました。

子どもだった私はそのとき初めて、親切にしてもらった相手であっても、困っていることまで我慢し続ける必要はないのだと知りました。

母はその後も男性と顔を合わせれば、以前と変わらず挨拶をしていました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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