1. トップ
  2. エピソード
  3. 「声、変じゃないかな」コンプレックスだった自分の声。だが、レジでかけられた一言に救われた瞬間

「声、変じゃないかな」コンプレックスだった自分の声。だが、レジでかけられた一言に救われた瞬間

  • 2026.8.13

ずっと好きになれなかった自分の声

スーパーでレジの仕事を始めて、しばらく経った頃のことです。

「いらっしゃいませ」

「レジ袋はご利用になりますか」

毎日何度も繰り返している言葉ですが、私は昔から自分の声があまり好きではありませんでした。

(声、変じゃないかな)

録音された声を聞くと、普段自分に聞こえている声とは違って、どこか平坦に感じます。

学生時代、人前で発表するときにも自分の声が教室に響くのが気になり、必要以上に小さな声になってしまうことがありました。

大人になってからも、その苦手意識はあまり変わりません。

レジでは聞き返されないよう、できるだけはっきり話すことだけを意識していました。

そんなある日の夕方、私はいつものように会計をしていました。

やって来たのは、買い物かごに惣菜や飲み物を入れた女性のお客様です。

商品を一つずつ読み取り、最後に私はいつもの調子で声をかけました。

「お会計、以上になります」

会計の最後に言われたこと

支払いを終え、レシートを渡したときでした。

お客様がレシートを受け取りながら、ふと私に言ったのです。

「あなたの声、聞き取りやすくていいね」

あまりにも突然だったので、一瞬何を言われたのかわかりませんでした。

「え…ありがとうございます」

そう返すと、お客様は少し笑って続けました。

「落ち着いていて、聞いていて安心する声だなと思って」

そして「ありがとう」と言って、そのまま店を出ていきました。

私はすぐに次のお客様の会計へ移りましたが、その言葉だけはなぜか頭から離れませんでした。

これまで自分では欠点のように思っていた声を、誰かがまったく違う受け取り方をしていたからです。

その日の仕事を終え、帰宅してからも思い出しました。

「聞き取りやすくていいね」

自分ではずっと好きになれなかった声です。

けれど、仕事では毎日その声を使って、お客様に案内をしています。

もし誰かにとって聞き取りやすく、安心できる声になっているのなら、それほど悪いものでもないのかもしれない。

そう思うと、それまで気にしていたことが少しだけ小さく感じられました。

たった数秒の、何気ないやり取りです。

お客様はきっと、深い意味もなく口にしたのだと思います。

それでも、自分では気づけなかった良いところを誰かに教えてもらえることもあるのだと知りました。

今でも自分の声を特別好きになったわけではありません。

ただ、以前のように「嫌な声だ」と決めつけることはなくなりました。

あの日レジでかけてもらった何気ない一言は、今でも接客中、ときどき思い出します。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ