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「遅すぎんぞ!どうなってんや!」運転手を怒鳴りつけた男。だが、運転手が冷静な一言でいなした結果

  • 2026.8.6
「遅すぎんぞ!どうなってんや!」運転手を怒鳴りつけた男。だが、運転手が冷静な一言でいなした結果

帰宅ラッシュの車内に響いた怒声

金曜の夕方、仕事を終えて乗り込んだバスは、帰宅を急ぐ人でぎゅうぎゅうに混み合っていた。

私は運よく後方の席に座れて、窓の外を流れる街並みをぼんやり眺めていた。

信号のたびに止まり、車体はのろのろとしか進まない。それでも、疲れた体を預けられるだけありがたかった。

途中の停留所から乗ってきた男性が、私の隣にどかりと腰を下ろした。

四十代くらいだろうか、席につくなり大きなため息をつき、貧乏ゆすりを始める。落ち着かない様子で、何度も腕時計に目をやっていた。

次の瞬間、男はいきなり立ち上がった。つり革につかまる乗客の間をかき分け、運転席のほうへずんずんと進んでいく。

そして、運転手の背中に向かって声を張り上げた。

「遅すぎんぞ!どうなってんや!」

車内の空気が、一瞬で凍りついた。おしゃべりも、スマホをいじる指先も、みんなぴたりと止まる。

誰もが息をひそめ、目の前のやり取りに気づかないふりを決め込んでいた。

「こっちは急いどるんや。なんでこんなにトロトロ走るんや」

男の声はますます大きくなる。運転手はハンドルを握ったまま、前をまっすぐ見据えて運転を続けていた。

運転手が返した冷静な一言

信号が赤に変わり、バスがゆっくりと停まった。その間を突くように、男はさらに詰め寄る。

「聞いとるんか!?」

運転手は、慌てるでも言い返すでもなく、落ち着いた声で答えた。

「安全運転のためですので、ご了承ください」

短く、それでいてきっぱりとした一言だった。感情のかけらもない、けれど揺るぎのない声。男は出鼻をくじかれたように、口を半分開けたまま黙り込んだ。

「……ちっ。だったらもっと上手く回せや」

それでも捨て台詞のように文句を吐き続けるが、運転手は二度と取り合わなかった。

ただ淡々と、青信号を確認してアクセルを踏む。男の言葉は次第に勢いを失い、ぶつぶつとした独り言に変わっていった。

やがてバスが次の停留所に停まると、男はばつが悪そうに舌打ちをひとつ残し、逃げるようにステップを降りていった。

ドアが閉まる。その瞬間、張り詰めていた車内の空気が、ふっとほどけた。

誰からともなく、小さく息を吐く音が漏れる。前のほうに立っていた年配の女性が、運転席に向かって軽く会釈をした。

運転手はバックミラー越しにちいさくうなずき、何事もなかったように運転を続ける。

声を荒らげた者が去り、静けさを守り抜いた者だけが残った車内。

窓の外はいつの間にか日が落ちて、街の灯りがぽつぽつと灯り始めていた。私は、あの落ち着いた背中を、しばらく眺めていた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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