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「何度も座席を蹴られてしまって、眠れないんです」飛行機の座席で足を載せる客。乗務員がそっと収めてくれた

  • 2026.8.3

疲れきった帰りの便で

楽しかった旅行も、いよいよ最終日。

私と友人は、真夜中に飛び立つ帰りの便へ乗り込みました。着くのは翌朝という長旅です。

一日じゅう遊び歩いた足は、もう棒のようでした。

機内でやりたいことは、ただひとつ。眠ることだけでした。私は座席に深く身を沈め、離陸を待つ間もなく、そっとまぶたを閉じました。

ほどなく客室の照明が落とされ、あたりは寝息の混じる静けさに変わります。

私も、心地よい疲れに引かれるように、眠りへと落ちていきました。

眠りを破る振動

どれくらい経ったでしょう。

とんっ、と背もたれに軽い振動が走り、私は浅い眠りから引き戻されました。

気のせいかと思ったのも束の間、また同じ衝撃が伝わってきます。

二度、三度と続く振動に、とうとう私は眠っていられなくなったのです。

そっと後ろを振り返ると、席の人が背もたれの上へ足を伸ばそうとしていました。

その足が動くたびに、私の背中へこつこつと当たっていたのです。

狭い機内で足がつらいのは、お互いさまでしょう。

それでも、他人の座席へ足を載せるのは、やはり度を越しています。

胸のなかに、もやもやとした思いが広がりました。

とはいえ、相手は眠っているのか、目を閉じたまま。肩を叩いて起こしてまで、面と向かって言う気にはなれませんでした。

角を立てずに

どうしたものかと迷ったすえ、私はそばを通った客室乗務員を、そっと呼び止めることにしました。

ほかの乗客を起こさないよう、声を落として打ち明けます。

「後ろの方に、何度も座席を蹴られてしまって、眠れないんです」

乗務員はやわらかく微笑むと、心得たように後ろの席へ向かいました。

相手を責めるでもなく、そっと耳もとで何かを告げると、伸びていた足はすっと下ろされたのです。

「ご協力ありがとうございます。どうぞごゆっくりお休みください」

戻ってきた乗務員は、私にそう声をかけてくれました。ひとことも角を立てないまま、あっという間に場を収めてくれたのです。

正直に言えば、自分で注意する勇気はありませんでした。それでも、頼れる人にきちんと頼ったからこそ、丸くおさまったのです。私は残りの時間を、心おきなく眠って過ごせました。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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