1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「老後のために」NISAで“2,900万”を積み立て→定年後、お金を下ろしに銀行へ向かうが…60代男性を襲った“想定外の落とし穴”

「老後のために」NISAで“2,900万”を積み立て→定年後、お金を下ろしに銀行へ向かうが…60代男性を襲った“想定外の落とし穴”

  • 2026.8.7
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。20年にわたり金融機関の窓口で資産運用や家計管理のご相談をお受けしている、おがわ163です。

「老後資金のためにNISAでコツコツ運用してきたけれど、いざ使うとなったらどうすればよいかわからない」

そのような疑問を窓口でお聞きする機会が増えてきました。資産を育てる計画は綿密に立てていても、いざ活用する際の「出口戦略」まで想定していないケースは案外多いものです。

今回は、定年を迎えてNISA資産の取り崩しを進めようとした際、活用方法の盲点に気づいた60代男性・Bさんの事例をご紹介します。

「NISAのお金、どうやって使えばいいんですか?」

2014年のNISA制度開始と同時に積み立てを始めたBさん。毎年のNISA投資枠の半分を活用しながら、日経225インデックスファンドとS&P500インデックスファンドに半分ずつ投資を続けてきました。

コツコツと積み立てた投資元本は約1,140万円。長年の市場の成長のおかげで、2026年現在の評価額は約2,964万円にまで成長していました。

「これだけ増えたんだから、老後は安心だ」と思っていたBさん。定年退職を迎え、いよいよこの資産を使おうと窓口を訪れました。

「NISAの資産を取り崩して生活費に使いたいんですが、どうすればいいですか?」

しかし、「毎月いくら取り崩す予定ですか?売却する順番や銘柄は決めていますか?」という窓口担当者からの質問に、Bさんは思わず言葉に詰まってしまいました。

「貯めることしか考えていなかった…」

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「売却する順番…?考えたことがなかったです」とBさん。「毎月必要な分だけ売ればいいと思っていました」。

実はNISAの資産を取り崩す際には、いくつかの重要な判断が必要になります。
まずどの銘柄をいくら売るかという問題があります。Bさんのように日経225とS&P500の2銘柄を持っている場合、どちらを先に売るか、バランスを保ちながら売るかによって、その後の運用効率が大きく変わります。

次に取り崩しペースの問題があります。一度に大きく売却すると、その後の市場回復の恩恵を受けられなくなる可能性があります。毎月一定額を売却する「定額取り崩し」や、残高の一定割合を売却する「定率取り崩し」など、自分のライフスタイルに合った方法を選ぶことが大切です。最近では、多くの金融機関で「定期売却サービス」が提供されており、一度設定すれば自動で毎月取り崩すことも可能になっています。

さらに市場の下落局面での対応も考えておく必要があります。生活費が必要なタイミングで市場が大きく下落していた場合、安値で売却することになりかねません。現金や預貯金と組み合わせながら、焦って売らなくて済む「生活防衛資金」を別途確保しておくことも重要です。

「貯める計画はしっかり立てていたのに、使う計画を全く考えていなかった」とBさん。「もっと早く相談しておけばよかった」と肩を落としていました。

老後資金は「貯める」と「使う」の両方を計画しておくことが大切

では、同じ状況を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。

NISA資産を老後の生活費に充てる際は、どの銘柄をどのようなペース(定額・定率など)で取り崩していくかという計画性が欠かせません。

まずは「ねんきんネット」で自身の年金見込み額を調べ、不足する生活費を把握した上で取り崩し額を設定しましょう。市場の下落時に焦って売却することを防ぐため、数年分の生活費は現金として保持しておくリスク管理も有効です。

貯める計画だけでなく「いかに取り崩すか」の出口戦略をあらかじめ整えることが大切です。年金受給額の試算や取り崩し手順に迷った際は、ファイナンシャルプランナーや専門窓口へ早めに相談し、計画的に資産を活用していきましょう。


参考:
NISAを知る(金融庁)
ねんきんネット(日本年金機構)

執筆・監修:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ