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“浮気夫”も“モラハラ夫”も妙にリアル。問題だらけの男を演じ分ける【実力派イケメン俳優】

  • 2026.8.10
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2013年9月、「The Best of Beauty 2013」授賞式に出席した塚本高史(C)SANKEI

刑務所にいる女性へ恋をする。単身赴任先で浮気し、家庭を崩壊寸前まで追い込む。さらには、結婚した途端に妻を支配し始める。もちろん、すべてドラマの中での話だ。だが、これほど異なる“アウトな男”を続けて演じながら、それぞれに別の顔を与えられる俳優はそう多くない。

その一人が塚本高史である。

2002年放送のTBS系ドラマ『木更津キャッツアイ』などで注目を集め、軽快な役からシリアスな人物まで演じてきた塚本。近年、あらためて目を引くのが、家庭や恋愛で問題を起こす男性役だ。

ただし、塚本が演じるのは、ひと言で片づけられる悪人ではない。恋に突っ走る男、誘惑に流される夫、日常の中で妻を追い詰める夫。その“アウト”には、作品ごとに異なる温度がある。

刑務所の壁を越えて進む恋

2017年放送のTBS系ドラマ『監獄のお姫さま』で、塚本が演じたのは長谷川信彦。小泉今日子演じる馬場カヨに思いを寄せ、彼女が服役している間も恋を進めようとする人物だ。

ここで描かれたのは、浮気やモラハラとは違う“禁断”だった。

相手は刑務所の中。普通なら恋愛そのものが止まってしまいそうな状況なのに、長谷川は簡単には引き下がらない。塀という物理的な障害さえ、恋を諦める理由にはならないのである。

設定だけを見れば重くなりそうだが、塚本の芝居にはどこか可笑しみがある。真剣なのに少しずれていて、一途なのに暑苦しい。その絶妙なバランスによって、獄中愛という突飛な展開が宮藤官九郎脚本らしい笑いへ変わっていく。常識的な境界線を越えて恋愛へ踏み込む役柄は、その後の“問題夫”につながる前触れのようにも見える。

一度の浮気が、二つの家庭を壊していく

続く2018年放送のテレビ朝日系ドラマ『ホリデイラブ』では、仲里依紗演じる高森杏寿の夫・純平を演じた。

純平は単身赴任先で井筒里奈(松本まりか)と関係を持ってしまう。夫の浮気が発覚したことで、杏寿が守ってきた家庭は大きく揺らぎ始める。

ここで塚本が見せたのは、欲望のまま突き進む悪役の顔ではない。家族を大切に思う気持ちはありながら、目の前の誘惑に流され、取り返しのつかない選択をする夫の弱さだった。

浮気をした以上、純平に非があることは動かない。それでも、ただ憎むだけでは終われない迷いや後悔がにじむからこそ、見る側はいら立たされる。

「家族が大切なら、なぜ浮気したのか」

そんな当然の疑問に、純平はきれいな答えを返せない。頭では分かっていても、感情や状況に流される。そのどうしようもない人間臭さを、塚本は全身で演じていた。

結婚を境に豹変する別種の“アウト”

2025年放送のテレビ東京系ドラマ『夫よ、死んでくれないか』で演じたのは、磯山さやか演じる友里香の夫・哲也だ。

哲也は、結婚を機に態度を変えたモラハラ夫。浮気のような派手な裏切りではなく、言葉や態度によって妻を追い詰め、夫婦の日常そのものを息苦しいものへ変えていく。

『ホリデイラブ』の純平が誘惑に負ける“弱い夫”だったとすれば、哲也は自分の振る舞いで妻を支配する夫である。

同じ問題夫でも、怖さはまったく違う。純平には罪悪感や動揺が見える。一方の哲也が生むのは、家庭の中にじわじわと広がる圧迫感だ。塚本は哲也をの感情を激しく爆発させるだけではなく、相手を軽んじる空気を積み重ねることで、モラハラの不快さを浮かび上がらせている。

“アウト”の違いが俳優の幅になる

獄中の女性へ一直線に思いを寄せる長谷川。浮気によって家庭を壊しかける純平。結婚後に妻を追い詰める哲也。

並べてみると、塚本が演じてきた男性たちは、そろって恋愛や結婚の安全地帯からはみ出している。

それでも、同じ“困った男”には見えない。

塚本は、彼が持つ親しみやすさを残しながら、ずれた一途さ、意志の弱さ、支配的な冷たさを使い分けてきた。だからこそ、視聴者は「こんな夫は嫌だ」と思いながらも、その人物から目を離せなくなる。問題夫が似合うというより、問題を起こすまでの人間らしい隙を見せるのがうまいのだろう。

禁断の恋から浮気、そしてモラハラへ。“アウト”の種類が変わるたび、塚本高史という俳優の新しい顔も浮かび上がっている。


※記事は執筆時点の情報です

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