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元清純派アイドルが「道ならぬ恋」を繰り返すまで。笑顔の裏で磨いた女優の二面性

  • 2026.8.9
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2026年2月、第6回全国大学対校男女混合駅伝競走大会で大会アンバサダーをつとめた堀未央奈(C)SANKEI

愛する人に、平然とウソをつく。穏やかな笑顔を見せながら、その裏では「道ならぬ恋」を続けている。

元乃木坂46の堀未央奈は、そんな二つの顔を持つ女性を繰り返し演じてきた。アイドル時代を知る人ほど驚かされるのは、清純なイメージを裏切る役への振り切り方だ。しかも、過去のイメージを完全に消しているわけではない。親しみやすい笑顔も、柔らかな声も残したまま、その奥にある欲望や秘密をにじませる。

堀にとって“不倫モノ”は、単なるイメージチェンジではない。アイドル時代に培った透明感を、俳優としての怖さへと反転させる舞台になっている。

乃木坂46卒業後に演じた「する側」

堀は2013年、乃木坂46の2期生として加入。同年発売の7枚目シングル『バレッタ』では、加入から間もない時期にセンターへ抜てきされた。グループの新しい顔として注目され、アイドルとして活動する一方、映画やドラマにも出演。2021年に乃木坂46を卒業すると、俳優として本格的に歩み始めた。

その転換期に挑んだのが、2021年放送のTBS系ドラマ『サレタガワのブルー』だ。

堀が演じたのは、主人公・田川暢の妻である藍子。家庭では優しく愛らしい妻として振る舞いながら、職場の上司との不倫を続けている。作品の題名が示す通り、物語の中心にあるのは不倫を「された側」の痛みだ。そのため、藍子の笑顔や何げない言葉は、真実が明らかになるほど残酷に見えてくる。

藍子は、最初から分かりやすい悪人として登場するわけではない。むしろ、かわいらしく、愛されることに慣れた人物だからこそ、身勝手な行動との落差が際立つ。

そこで生きたのが、堀の持つアイドル出身者らしい華やかさだった。相手の警戒心を解くような笑顔が、そのまま裏切りを隠す仮面になる。清純に見えること自体が、役の怖さへと変わっていた。

“不倫モノ”で際立つ二つの顔

その後も堀は、道ならぬ関係や男女の欲望を扱う作品に出演。2025年放送の日本テレビ系ドラマ『完全不倫 ― 隠す美学、暴く覚悟 ―』でも、不倫を隠す者と暴こうとする者の駆け引きが渦巻く物語の一角を担った。

『サレタガワのブルー』から約4年。不倫を題材にした作品へ再び登場したことは、堀が単に「元アイドル」という意外性だけで起用されているわけではないことを感じさせる。

“不倫モノ”に必要なのは、激しい感情を露出させる演技だけではない。日常を壊さないために平静を装い、愛する相手の前で秘密を隠し通す。その表と裏の切り替えが、物語の緊張感を生む。

堀の演技には、秘密を抱えた人物でも、どこか無邪気に見えてしまう瞬間がある。罪悪感に押しつぶされるのではなく、自分の欲望を優先しながら、それでも愛されようとする。その危うさは、清純なイメージと対極にあるようで、実は深くつながっている。信じたくなる顔を持っているからこそ、うそが分かった瞬間の衝撃も大きくなるのだ。

清純さを捨てずに裏返す

アイドルから俳優へ転身する際、過去のイメージを壊そうとする人は少なくない。しかし堀の場合、清純さを捨て去るのではなく、役の中で裏返してみせた。

『サレタガワのブルー』の藍子が強烈だったのも、かつての堀を知る視聴者にとって「この人が裏切るはずはない」と思わせる雰囲気があったからだろう。

愛らしさと欲深さ。無邪気さと計算高さ。信じたくなる笑顔と、その奥に隠された秘密。

相反する要素を同じ人物の中に共存させることで、堀は“不倫モノ”の女性を単純な悪役では終わらせない。腹立たしさを感じながらも、次に何をするのか目が離せない人物へ変えていく。

乃木坂46でセンターを務めた少女は、いまや「道ならぬ恋」が似合う俳優の一人になった。それは清純派からの脱却というより、清純に見える自分の強さを知ったうえでの豹変なのかもしれない。


※記事は執筆時点の情報です

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