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「バスでも駅でも、あなたを見たよ」ジムで顔を合わせる程度の知人。奇妙な言い分に退会を決意

  • 2026.7.30

ジムで会うだけの人

二年ほど前のことです。当時通っていたジムで、ロッカールームでだけ顔を合わせる女性がいました。

年のころは、四十代くらいだったでしょうか。

挨拶を交わす程度の、ごく浅い間柄でした。連絡先も知らず、立ち止まって世間話をしたことさえ、一度もありませんでした。

その人が、あるときから、私の行動を口にするようになったのです。

「この前、駅前のカフェにいたね。パスタ食べてたでしょう」

教えた覚えのないことを、なぜか知っている。最初のうちは、たまたま見かけたのだろうと、軽く考えていました。

一日に三度

けれど、だんだんと、偶然では片づけられなくなっていきました。行かなかった日には「来なかったね」と言われ、ふらりと寄ったスーパーの時間まで、正確に当てられるのです。

そのどれもが、私が誰にも話していない、一日の細かな断片でした。

いちばん怖かったのは、ある一日のことです。その日は朝から夕方までのあいだに、三度も、別々の場所で彼女と言葉を交わすことになりました。

「バスでも駅でも、あなたを見たよ」

三度目に会ったとき、笑顔でそう告げられたのです。バスの中も、駅のホームも、たしかに私がその日に通った場所でした。一日に三度、同じ人に見つけられている。その事実に、背筋が凍りつきました。

私はどこにいても、あの人の視界のどこかに入っている。そう思うと、外を歩くことそのものが怖くなりました。

理由は分からないまま

面と向かって問いただすことは、どうしてもできませんでした。

相手はいつも笑っていて、悪気などかけらもない、穏やかな顔をしているのです。

下手に責めれば、こちらのほうがおかしいと言われそうな気さえしました。結局、私はそのジムを辞めました。

時間帯をずらすだけでは足りず、通う場所ごと手放したのです。

それきり、あの人と会うことはなくなりました。けれど、すっきりと片がついたわけではありません。

あの人が、いったいどこから私を見ていたのか。なぜ一日に三度も、私の居場所を知り尽くしていたのか。今もなお、その答えを、私は持っていません。

ふとした瞬間に、あの笑顔がよみがえります。そのたびに、誰かに見られていたあの感覚が、静かに背中へ戻ってくるのです。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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