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父から“毎年100万円”を振り込まれ続け…→「自分の口座だから問題ない」と思いきや?10年後、50代息子が知った“思わぬ事実”

  • 2026.8.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 IFAの石坂です。

「子どもの将来のために、子ども名義の口座でコツコツお金を貯めてきた」

そんな親心から行われる口座管理ですが、実は相続が発生した際、そのお金が「子どものもの」とは認められず、遺産分割のやり直しや税務上のトラブルの原因になるケースが後を絶ちません。

今回は、実際にあった「800万円の口座」をめぐる家族の相談事例をもとに、実質的な所有権が問われる「名義預金」の落とし穴と、事前に知っておくべき回避策について分かりやすく解説します。

名義預金が相続財産と判断されるケース

50代の会社員、Aさん(仮名)からのご相談です。父親が亡くなり、相続の手続きを進める中で問題が起きました。

相続人は、母と兄弟2人の合計3人。父親の明らかな財産としては、自宅と預金約2,000万円があり、これを3人で分ける前提で話し合いを始めていました。その中で、相談者Aさん名義の口座に約800万円の残高があることが判明します。

この口座は、Aさんが学生の頃に父親が作成したもので、その後も名義はそのままに、父親が通帳と印鑑を管理しながら10年以上積み立ててきたものでした。毎年50万円〜100万円ほどが入金され、合計で約800万円になっていました。

Aさん自身は過去に1〜2回程度しか引き出したことがなく、日常的に使っていたわけではありません。そのためAさんとしては「自分名義の口座なのだから自分の財産だろう」という認識でした。

しかし、他の相続人からは「実際には父が管理・出金していたお金であり、2,000万円の遺産とは別に扱うのは不公平ではないか」という意見が出たのです。

800万円が遺産に加算…家族の話し合いと「税務調査」のダブルのリスク

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

専門家に確認したところ、このケースは実務上「名義預金」とみなされる可能性が極めて高いという見解でした。

名義預金とは、口座の名義にかかわらず、実質的な所有者(被相続人)の財産であると判断される預金のことです。名義預金かどうかの主な判断基準は以下の3点です。

  • 管理状況: 通帳、印鑑、キャッシュカードを誰が実際に管理・保管していたか?
  • 原資: そのお金を誰が出していたのか?
  • 贈与の成否: 「あげます」「もらいます」というお互いの合意があったか?(子どもが口座の存在を知らなかったり、自由に使える状態になかったりする場合は、法的に贈与が成立していないと判断されます)

もし名義預金と判断されると、相続財産は2,000万円ではなく、800万円を加算した合計2,800万円として分け方を決め直さなければなりません。この800万円の帰属をめぐり、Aさん一家の協議がまとまるまでには3か月以上の時間を要することとなりました。

さらに注意が必要なのは、税務調査での指摘リスクです。名義預金は税務調査で最も指摘されやすいポイントの一つであり、相続財産に含めずに申告してしまうと、後から追徴課税(過少申告加算税や延滞税)が課されるおそれがあります。

親心からのお金だからこそ「名義と管理実態」を一致させよう

良かれと思って子どものために準備したお金が、将来の遺産分割協議の難航や税務トラブルにつながってしまうのは避けたいものです。予期せぬトラブルを防ぐためには、生前のうちから以下の対策を徹底しておくことが重要です。

  1. 本人が自由に使える状態(管理権限の譲渡)にする:通帳や印鑑、キャッシュカードは名義人である子ども本人に渡し、名義人が自ら管理・運用・引き出しを行える状態にしておく。
  2. 「贈与が成立していた証拠」を客観的に残す:あらかじめ贈与契約書を作成する、銀行振込で記録を残すなど、お互いに「あげる・もらう」の合意があったことを証明できるようにしておく。
  3. 「名義預金」と「暦年贈与の持ち戻しルール」の違いを理解する

正しく贈与が成立していても、税制改正(2024年以降の贈与)により「死亡前7年以内」に行われた贈与は相続財産に加算(生前贈与加算)されます。一方、名義預金とみなされた場合は期間に関係なく全額が相続財産となります。

制度の違いを理解した上で家族間で共有し、必要に応じて税理士等の専門家へ相談しておくことが大切です。「子どもの名前の口座だから大丈夫」と自己判断せず、正しい手続きと実態づくりを行うことこそが、家族の絆と大切な資産を守る一番の近道です。


※本記事は名義預金および相続に関する一般的な考え方を解説したものであり、個別の税理・法務判断を提供するものではありません。贈与税の基礎控除額や生前贈与加算の運用ルールは税制改正等により変更される場合があります。実際の相続税申告や遺産分割協議については、必ず税理士や弁護士などの専門家にご相談ください。

執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

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