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「早くしろよ、なんでこんな待たせる」待ちきれない客。だが、店長が数字で示した途端、大声の客が黙った瞬間

  • 2026.8.1
「早くしろよ、なんでこんな待たせる」待ちきれない客。だが、店長が数字で示した途端、大声の客が黙った瞬間

土曜の昼、レジの前で

学生のころ、ファストフード店でアルバイトをしていました。

土日の昼はとにかく混みます。その日も、入口の外まで列が伸びていました。

私はレジに立って、注文を受け続けていました。

厨房も手が回らず、商品ができ上がるまでの時間が、少しずつ延びていきます。

三組目の会計を終えたときでした。

「早くしろよ、なんでこんな待たせる」

カウンターの前に立った男性のお客様が、トレーの置き場を手で叩きながら言いました。

「申し訳ございません。ただいま混み合っておりまして」

「そんなのはこっちの都合じゃないだろ」

「順番にご用意しておりますので、もう少々お待ちください」

「店長を呼べ」

その声は、店の奥まで届いていました。

並んでいたお客様たちが、話すのをやめます。

子ども連れの家族が、そろって目を伏せたのが見えました。

私は次の注文を受けるしかありません。指先が震えて、レジのボタンを押し間違えそうになりました。

店長が引いた線

厨房の奥から店長が出てきました。走ってはいません。

「お待たせしております。店長でございます」

「何分待たせるんだ。ふざけてるのか」

店長はまず深く頭を下げ、それからまっすぐ顔を上げました。

「ただいま、平均で10分ほどお待ちいただいております。お急ぎでしたら、この場でご返金いたします。ただ、順番は変えられません」

責める調子ではありませんでした。声を張ってもいません。

道を尋ねられて答えるのと、同じ調子でした。

男性のお客様が、口を開きかけます。

「……返金って」

「はい。レシートをお預かりできれば、すぐにお返しできます」

そこから、言葉が続きませんでした。

ポケットへ伸びかけた手が、途中で止まります。そのまま、下ろされました。

男性は、そこで初めて後ろを振り返りました。

列の全員が、同じ10分を待っていたのです。

「……いや、いい。待つよ」

それきり、声は上がりませんでした。

店長はもう一度頭を下げて、厨房へ戻ります。

すぐに商品が出はじめ、止まっていた列が動き出しました。

次に呼んだお客様は、トレーを受け取りながら小声で言いました。

「大丈夫?」

「はい。ありがとうございます」

その一言で、指の力が抜けたのを覚えています。

閉店後のレジ締めで、店長が一度だけこちらを見て、うなずきました。

謝るだけが仕事ではない。

スタッフの前に立って守るのも店長の仕事なのだと、そのとき知りました。

翌週の土曜も、店は同じように混みました。

私はもう、手を震わせずにレジへ立っていました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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