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「もういい。話わかる人を呼んで」証拠なしでテレビの値引きを求め続けた客。だが、店長が変えなかった条件

  • 2026.10.3
「もういい。話わかる人を呼んで」証拠なしでテレビの値引きを求め続けた客。だが、店長が変えなかった条件

値札をたたく指

家電の店でテレビを売る仕事をして、もう長い。土曜の午後、売り場でいちばん大きなテレビの前に、50代くらいの男性のお客様が立っていた。

私は隣で、画質や音、配線についてひととおり説明した。

話を聞き終えると、お客様は値札を指でとんとんとたたいた。

「これ、もう少し安くならないの?」

私は、表示価格からの値引きはできないことを伝えた。

すると、お客様は少し眉を寄せた。

「よその店は、もっと安かったけど」

「他店のお値段が確認できるものがあれば、同じ価格まで合わせられます」

「そんなもの持ち歩いてないよ」

お客様は腕を組み、その場から動かなかった。

私は値札の横にある案内を示しながら、もう一度、対応できる条件を説明した。

その間にも、お客様は何度か値引きを求めてきた。

私たちの後ろでは、ご夫婦が同じテレビを見ながら接客を待っていた。

ほかの販売員は皆ふさがっている。時計を見ると、最初に声をおかけしてから20分近くたっていた。

すると、お客様の声が急に大きくなった。

「今日買うって言ってるんだから、何とかしろよ」

少し間を置いて、さらに言った。

「もういい。話わかる人を呼んで」

私は後ろのご夫婦に軽く頭を下げ、インカムで店長を呼んだ。

店長が伝えたのは同じ条件

売り場の奥から、40代くらいの女性の店長がやってきた。

店長はまず、お客様の話を遮らずに聞いた。それから値札の横の案内を確認し、落ち着いた声で答えた。

「お待たせして申し訳ありません。ただ、こちらの商品だけ特別にお値引きすることはできないんです」

お客様はすぐに言い返した。

「だから、今日買うって言ってるんだよ」

店長は表情を変えず、続けた。

「はい。他店のお値段が確認できれば価格を合わせます。ただ、その確認がない場合は、皆さま同じ条件でお願いしています」

「客を大事にしない店だな」

そう言ったお客様の視線が、ふと私たちの後ろへ向いた。

待っていたご夫婦の奥様が、店長の話を聞きながら静かにうなずいていた。

お客様はしばらく何も言わず、もう一度値札を見た。そして組んでいた腕をほどいた。

「……じゃあ、他で買う」

そのまま出口のほうへ歩いていった。店長は背中に向かって頭を下げ、それから私を見た。

「長かったね。対応ありがとう」

私は待っていたご夫婦に向き直り、長くお待たせしたことを謝った。

すると、ご主人が笑って首を振った。

「いや、大丈夫。じゃあ、さっき説明してもらってたテレビ、うちも見せてもらえる?」

私は改めてテレビの前に立ち、お二人への説明を始めた。やがて購入が決まり、配送の日取りを確認することになった。

値引きの話が30分続いても、店としてできることは変わらない。その線引きを店長が同じ言葉で伝えてくれたことに、私はほっとした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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