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元カノに返しそびれたキーホルダーを、かばんにつけた俺

  • 2026.7.30
ハウコレ

「返す」のたった一言が、俺には3年間言えませんでした。

翌日、共通の同期を通して彼女に届けた1通は、送信までに何度も書き直したものでした。向こうから歩いてきた元カノの視線が、俺のかばんのキーホルダーで止まりました。

3年ぶりに、彼女がそこにいた

同期の結婚式の2次会に、来ないだろうと思っていた元カノが来ていました。別れを切り出したのは俺のほうで、以来、連絡先も消したままでした。「久しぶり」と互いに言い、当たり障りのない挨拶で終わらせました。乾杯の間、彼女がどのテーブルに座ったかだけを目の端で追っていました。

気づいてほしくて、気づかれてほしくなかったキーホルダー

歓談の時間、元カノが俺のテーブルに近づいてきました。椅子の背にかけたかばんの側面には、木彫りの鹿のキーホルダーがついています。この日ずっと、その存在が気になっていました。

それは、付き合っていた頃に彼女が落としていったものです。部屋を掃除していたときに見つけましたが、翌週には別れが決まり、返す機会を失いました。高校時代の修学旅行で買ったと聞いていたので、簡単に捨てることもできませんでした。しかし、これだけを返すために連絡をする勇気もないまま、3年が過ぎていました。

「いつのだったっけ」のごまかし

「そのキーホルダー、どうしたの?」。元カノの声は落ち着いていました。全部知って聞いている声だと分かりました。「あー、これ……いつのだったっけ」。用意していた返事ではなく、口をついた言い訳でした。目を合わせずにかばんの位置をずらしたのは、彼女の顔をまっすぐ見られなかったからです。この場で「実は」と切り出す度胸が、俺にはありませんでした。

そして...

2次会が終わってからも、俺のかばんで鹿のキーホルダーは同じ位置に残っていました。返すために持ってきたのに、結局その場では何も言えませんでした。翌日、共通の同期に頼んで、彼女に連絡していいかを聞いてもらいました。許可をもらってから、メッセージを打ちました。

「あれ、別れる前に俺の部屋で見つけてた。捨てられなくて、昨日返すつもりだった。言えなくてごめん」

返しに行って、それで終わりにする。そう決めて送信ボタンを押した瞬間、かばんのフックで鹿が1度大きく揺れた気がしました。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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