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「値上げは痛いけど、いなくなるほうが困る」築8年・200戸マンションで管理費が“月2,000円”上がったワケ

  • 2026.8.18
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産管理会社で10年以上の現場経験があり、マンション管理士の資格を持つライターのS.Kです。人手不足や賃金の上昇は、外食や宅配などさまざまなサービスの現場に影響を及ぼしています。

快適な住まいの維持を担うマンション管理の現場も、例外ではありません。今回は、コンシェルジュのいるマンションで、人件費の上昇が毎月の家計負担に影響を及ぼしたご家族の事例を紹介します。

朝8時から夜8時の受付と、委託費の値上げの申し入れ

築8年・総戸数200戸のマンションに住むWさん(41歳・会社員)は、妻と小学生の子ども2人の4人家族です。住まいを選ぶ際、エントランスのカウンターにコンシェルジュが常駐している点が大きな魅力の一つでした。

受付には朝8時から夜8時まで人がいて、来客の取り次ぎや、ゲストルームの予約受け付けをしてくれます。学校から帰ってくる子どもたちにも声をかけてくれて、共働きのWさん宅には心強い存在でした。

去年、管理会社から管理組合へ、管理委託費(管理業務を任せる費用)の値上げが申し入れられました。コンシェルジュや管理員として働く人たちの賃金が上がっており、いまの委託費では必要な人数を確保できないという事情です。

全戸アンケートを経て、管理費は月2,000円の引き上げへ

理事会がほかの管理会社からも見積もりを取ると、費用がより高くなるか、人をそろえられないという回答でした。そこで理事会は、受付時間を短縮して費用を抑える案も検討したうえで、サービスを継続したいかを確認する全戸アンケートを実施しました。

ある日の夕食後、Wさん夫婦は食卓でアンケート用紙を前に話し合いました。

「値上げは痛いけど、あの方がいなくなるほうが困るよね」

妻の言葉にWさんもうなずき、夫婦は継続を希望する欄に丸を付けます。アンケートの結果は、継続を望む回答が多数でした。理事会は住民の意向を踏まえ、管理費を1戸あたり月2,000円引き上げる議案を通常総会に上程し、議案は賛成多数で可決されました。

Wさん宅の負担は、年間で24,000円増える計算です。

人が関わるサービスの費用を確かめて選ぶ

受付でいつも迎えてくれる安心は、そこに立って働く人がいてはじめて成り立っています。その人たちの賃金が上がれば、サービスの費用に反映されるのも自然な流れです。

どう負担するかを決めるのは、居住者自身になります。国が管理委託契約書のひな形として示すマンション標準管理委託契約書も、令和5年に改訂されました。

背景には担い手の確保や働き方改革といった環境の変化が挙げられており、人手の問題はWさんのマンションに限った事情ではありません。購入を検討するときは、コンシェルジュや管理員など人が関わるサービスに、いくらかかっているかを確認してみてください。

費用の内訳は管理組合の収支報告書や総会の議事録に記載されているため、購入検討時に仲介会社や売主を通じて確認できるか相談しすることをおすすめします。コンシェルジュのいる暮らしを選ぶなら、働く人の賃金とともに費用も上がりうる前提で、資金計画を立てておきましょう。

参考:「マンション標準管理委託契約書」及び「マンション標準管理委託契約書コメント」の改訂(国土交通省)



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


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