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「これはまずい」お盆の高速道路で突然警告灯が点いた50代男性、家族旅行が一転した“異変”

  • 2026.8.18
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

旅行当日は荷物の積み込みや出発準備で忙しく、車の点検は後回しになりがちです。しかし、その数分を惜しんだことで、せっかくの旅行が途中で終わってしまうケースもあります。今回は、私が自動車整備工場に勤務していた際にレッカー搬送されてきたお客様の実例をご紹介します。

高速道路で突然の警告灯。楽しい旅行が一転

私が自動車整備工場に勤務していた頃、レッカーで搬送されてきたお客様の中に、お盆に家族旅行へ向かっていたOさん(50代・男性)がいました。受付でお話を伺うと、疲れた表情でこう話されました。

「旅行は始まったばかりだったんです。高速道路を走っていたら、急にバッテリーの警告灯が点いてしまって」

最初は、「近くのサービスエリアまで行けば大丈夫だろう」と考えたそうですが、しばらくするとエアコンの風がぬるくなり始めます。さらに水温計の針も徐々に上昇。

「これはまずいと思って、安全な場所へ車を停めました」

その後はエンジンの調子も悪くなり、自走できなくなったためロードサービスを依頼し、そのまま当店へ搬送されました。

「せっかく家族みんなで楽しみにしていた旅行だったのに」

そう肩を落とされる姿が印象に残っています。

原因は補機ベルトの切断だった

点検の結果、原因は補機ベルトの切断でした。補機ベルトとは、エンジンの回転を利用してオルタネーター(発電機)やウォーターポンプ、エアコンコンプレッサーなどを動かす重要な部品です。Oさんのお車は、ウォーターポンプも補機ベルトで駆動するタイプでした。

そのため、ベルトが切れた瞬間に

・オルタネーターが停止して発電できない
・ウォーターポンプが止まり冷却水が循環しない

という2つのトラブルが同時に発生していました。発電が止まれば、車はバッテリーの電気だけで走る状態になります。さらに冷却水が循環しなくなるため、水温は急激に上昇し、走行を続ければオーバーヒートにつながる危険もあります。幸いOさんは異変に気付いて早めに停車したため、エンジン本体への重大な損傷は避けることができました。取り外したベルトを確認すると、表面には大きな亀裂が入り、ゴムも硬くなっていました。長年使用されたことで劣化が進み、限界を迎えていたのです。

「異音がしないから大丈夫」は危険な思い込み

「でも、キュルキュル音は全然していなかったんです」

Oさんは不思議そうに話されました。実は、補機ベルトは必ず異音が出てから切れるわけではありません。ゴム製品である以上、年数の経過とともに少しずつ硬化し、小さな亀裂が増えていきます。特に夏場はエアコンを長時間使用する機会が多く、コンプレッサーを回す負荷が補機ベルトに加わります。

さらに長距離移動ではエンジンを長時間回し続けるため、傷んだベルトには普段以上の負担がかかります。「昨日までは普通に走っていた」そんな車でも、高速道路で突然ベルトが切れてしまうことは決して珍しくありません。今回は補機ベルトの交換に加え、テンショナーの交換、冷却系統の点検、バッテリーの充電と点検を実施しました。オーバーヒートが深刻化する前に停車したことが、不幸中の幸いだったといえるでしょう。

旅行前にはエンジンオイルやタイヤばかりに目が向きがちですが、補機ベルトも忘れてはいけない点検項目です。ボンネットを開けると、車種によってはベルトの状態を目視で確認できます。亀裂やほつれ、ゴムの硬化が見られる場合は交換時期が近づいている可能性があります。ただし、見えにくい位置に取り付けられている車種も多く、ベルトの張り具合や摩耗の進行状況の確認には、専門的な点検が必要になることもあります。そのため、長距離ドライブや旅行を予定している場合は、出発前に整備工場やディーラーで点検を受けておくと安心です。

補機ベルトは比較的安価な消耗品ですが、切れてしまえば発電や冷却機能が同時に失われ、レッカー搬送や旅行の中断につながることもあります。場合によってはオーバーヒートによって高額な修理へ発展する可能性もあるため、「まだ使えそうだから」と先延ばしにするのはおすすめできません。店舗によって異なりますが、点検作業自体は10分ほどで終わることもあります。そのわずかな時間が、大切な家族旅行を予定どおり楽しめるかどうかを左右することも少なくないのです。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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