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9,200万円のタワマン、「ワークラウンジ完備」に惹かれた30代夫婦が夏休みに直面した“想定外の事態”【一級建築士は見た】

  • 2026.8.22
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「夏休みに入った途端、ラウンジの席が取れなくなったんです。在宅の日は、あそこが仕事場だったのに」

そう話すのは、2年前、都心近くの大規模タワーマンション(築4年・3LDK・80㎡、約9,200万円)の24階に住まいを買ったGさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。今年から週の半分が在宅ワークになり、1階のワークラウンジ(Wi-Fiと電源のある自由席の共用スペース)が仕事場でした。

夏休みは子どもが家にいるぶん、集中したい作業の日は、なおさらラウンジが頼りでした。内覧では「ワークラウンジ完備で在宅ワークにも便利」と説明を受け、共用施設が利用細則という決まりで運用されることも聞いていました。ただ、季節で混み方が変わるとまでは考えていませんでした。

ラウンジなどの共用施設は、特定の誰かのものではなく、入居者全員で持ち合う資産です。だから使い方には決まりがあります。ラウンジは「先着の自由席・予約不可・年齢制限なし」の運用で、ふだんは何の不便もありませんでした。

夏休み、ラウンジは子どもたちの「涼しい勉強部屋」になる

夏休みが始まると、風景が変わりました。涼しくて、Wi-Fiがあって、友達と集まれる。ラウンジは子どもたちにとって格好の勉強部屋でもあったのです。年齢制限のない先着自由席ですから、子どもたちが使うのは正当な権利で、誰も悪くありません。

問題は、季節で使われ方が変わることを、先着だけの運用が想定していなかったこと。Gさんは午前の席が取れず、資料づくりは寝室の隅の小机でこなす日々に。

Gさん夫婦はどう対応したのか

まず利用細則を読み直し、予約の仕組みがないことを確認。席をめぐって個人間で注意し合うのではなく、管理組合の意見箱へ「夏休み期間の予約制」を提案しました。理事会は夏休み限定の試行として、一部の席を2時間単位の予約席に切り替え、エントランスの掲示とアプリで受け付ける運用を開始。残りは従来どおりの自由席です。

Gさんは集中したい日の席を前日に予約し、取れない日は朝一番の自由席へ。夏の後半には、宿題をする子どもも在宅ワーカーも、それぞれの形で席を使えるようになったといいます。

共用施設は「ルールごと」買っている

共用のワークスペースは、在宅ワークの効率を上げる空間として人気の設備です。一方で、共用施設の使い心地は、豪華さよりも「運用のルール」で決まります。以下を確かめてみてください。

・内覧では設備だけでなく、利用細則(先着か予約制か・時間帯・過ごし方のルール)まで確認する
・混雑の不満は個人間ではなく、管理組合の意見箱や理事会へ――細則は総会で変えられる決まりです
・季節によって使われ方は変わる――混む時期の代替案(時間帯の前倒しなど)も持っておく
・子どもの利用も正当な権利――締め出すのではなく、予約席と自由席の両立のような形を提案する

運用を変える道筋さえ知っていれば、ワークラウンジは夏休みも、大人と子どもの両方の味方であり続けるでしょう。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している


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