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「左が、まったく見えないんです」お盆の朝、駅へ向かう車の鼻先を自転車の子が横切って…30代夫婦の“誤算”

  • 2026.8.23
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「お盆に訪ねてくる親を駅へ迎えに行く朝、車の鼻先を自転車の子が横切って。左が、まったく見えないんです」

そう話すのは、4年前、住宅街の一角にハウスメーカーで注文住宅(4LDK・延床約112㎡/土地約144㎡、約5,500万円)を建てたAさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。前面は幅4mほどの生活道路。駐車場から出るときの左手は、隣家のブロック塀と電柱が重なって、ほとんど見通せません。

設計のとき、担当者から「左手が見えにくいので、ミラーを付けるか、駐車の向きを工夫しましょう」と提案を受けていましたが、「慣れれば大丈夫」と見送っていました。そんな、あるお盆の朝のことでした。訪ねてくる親を駅へ迎えに行こうと、そろりと出した車の鼻先を、自転車の子がすっと横切ったのです。急ブレーキで事なきを得たものの、ハンドルを握る手が汗ばんだといいます。

「市に頼めば付けてくれる」の誤算

翌日、Aさんは市役所に電話をかけました。

「うちの前に、カーブミラーを付けてもらえませんか」

答えは意外なものでした。カーブミラー(道路反射鏡)は、見通しの悪い交差点やカーブのために市区町村が設置・管理する交通安全施設です。設置の要望は町内会・自治会経由の申請が一般的です。そして多くの自治体では、個人の駐車場から出るためのミラーは対象外。公共の道路のための施設で、わが家専用には付けられないのです。

動かせるのは、「自分の側」だけ

出入り口の見通しを決めているのは、隣家のブロック塀、電柱、そして自宅の門柱や植栽です。隣家の塀は適法に建てられた工作物で、責められるようなものではありません。電柱も、移設には費用や近隣同意などのハードルが高く、簡単には動かせません。

つまり、削れる死角は自分の側にしかないのです。しかも夏は、植栽が茂って死角が育つ季節です。

Aさん夫婦はどう対応したのか

まず、敷地内の門柱に私設のガレージミラー(数千円から)を取り付けました。公設が頼めなくても、自分の敷地なら自費で設置できます。塀の向こうの気配が、門を出る前に分かるようになりました。門まわりの植栽も低く刈り込みました。あの朝から、出庫時は一時停止と目視をワンセットにしています。

出入りの死角は、「自分の側」から削る

車の通りが少ない生活道路の静けさは、この住宅街の魅力です。一方で、静かな道ほど、歩行者や自転車は思いがけず現れます。お盆や年末年始は、送り迎えで車を出す機会も増える季節です。以下を確かめてみてください。

・公設のカーブミラーは交通安全施設――個人の駐車場の出入りのためには設置できない自治体が多いです
・敷地内なら、私設のガレージミラー(数千円から)を付けられます――位置は運転席の目線で調整を
・駐車は「バックで入れて、前進で出る」が基本――運転席から直接道路を確かめられます
・門柱や植栽は低く、薄く――夏は死角が育つ季節です。ミラーがあっても、最後は目視で

死角を削る工夫と、最後の目視。この二つがそろえば、狭い道の出入りは、毎日の落ち着いた動作になります。

参考:
道路反射鏡(カーブミラー)の設置について(町田市)
カーブミラー(道路反射鏡)の設置(調布市)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している


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