1. トップ
  2. 暮らし
  3. 「まさかこんな物が…」レールの隙間に挟まって6千人に影響。現役鉄道員も驚いた“意外すぎる”運転見合わせの原因

「まさかこんな物が…」レールの隙間に挟まって6千人に影響。現役鉄道員も驚いた“意外すぎる”運転見合わせの原因

  • 2026.8.18
undefined

皆さま、こんにちは。現役鉄道会社社員の福本明文です。

先日、岡山県の瀬戸大橋線でカメが分岐器に挟まりポイントを転換できなくなったため、列車が遅れるという事象が発生しました。鉄道の運行を妨げる動物といえば、シカやイノシシ、クマなどを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は身近な小動物が原因となるトラブルも少なくありません。

今回は、現場の鉄道員を悩ませる動物が原因の鉄道トラブルの実態と、各社が取り組む工夫の裏側に迫ります。

運転見合わせの原因はカメ!?

2026年7月、岡山県にあるJR瀬戸大橋線の早島駅において、列車の進路を切り替える分岐器が転換できなくなり、列車が一時運行を見合わせるというトラブルが発生しました。システムのエラーか部品の故障かと思われましたが、現場に急行した係員が詳しく調べたところ、なんとレールの隙間にカメが挟まっていたのが原因だと判明したのです。

係員が慎重にカメを取り除いたことで分岐器は正常に動くようになり、無事に列車の運行が再開されました。ニュースでも少しユーモラスな珍事件として取り上げられましたが、実はこうした動物が原因のトラブルは、現場の人間にとっては決して珍しいものではありません。

野生動物から逃げ出したペットまで

動物が原因のトラブルとして最も多く発生し、全国の鉄道会社が頭を悩ませているのが、シカやイノシシによる線路内への侵入や列車との接触事故です。また、野生動物に限らず、筆者自身の駅での勤務経験の中では、飼い主のもとから逃げ出した大型犬が線路内を走り回り、安全確保のために広範囲で運転を見合わせたケースもありました。

飼い犬のようなペットであれば、飼い主の方がしっかりと管理をすれば未然に防げる面もありますが、相手が野生動物となるとそう簡単にはいきません。近年では深い山間部に限らず、市街地から少し離れただけのエリアでも野生動物の活動が非常に活発化しており、いかにして彼らを線路内に侵入させないか、各社で様々な対策が練られています。

忌避音から「熊キャッチャー」まで各社の対策

シカやイノシシの侵入対策として現在広く導入されているのが、線路沿いで動物が嫌がる特定の周波数の音や、天敵の鳴き声といった忌避音を流す装置です。

また、侵入を防ぐだけでなく、万が一接触してしまった際の対策も進んでいます。過去にJR東海では、車両の先頭下部にクッションのような衝撃緩和装置を取り付け、接触したシカを線路外へ安全に押しのけて車両への巻き込みを防ぐ試行を行いました。

さらに、クマの出没が社会問題化している北海道では、JR北海道が「熊キャッチャー」と呼ばれる特殊な装備を持つ工事車両を開発して配備しています。これは、列車と衝突してしまった大型のクマの死骸を人力に頼らずクレーン状のアームで迅速かつ安全に回収するための重機で、事故発生後の速やかなダイヤ復旧に大きく貢献しています。

カメの挟まりは「珍事件」ではない

さて、冒頭でご紹介したカメの挟まり事件ですが、決して珍事件ではなく、意外にも各地で発生しています。例えば、奈良県などを走るJR和歌山線では線路際の池から陸に上がったカメがそのまま線路を歩いて分岐器に挟まるという事象が毎年のように発生していました。硬い甲羅を持つカメが挟まると、頑丈な金属製の分岐器すら動かなくなってしまうのです。

そこで同線を管轄するJR西日本はカメ落下用のU字溝を設置しました。線路を歩いてきたカメがこの溝に落ちることで、分岐器に挟まる前に線路の下を通って外へ脱出できるという画期的な仕組みです。これによりトラブルが激減し、カメの命も救う素晴らしい取り組みとして環境省の賞を受賞するなど、大きな話題となりました。

対策しながら後は祈るばかり

これから夏から秋にかけての季節は、冬眠の準備やエサを求めて野生動物たちが活発に活動する時期にあたります。私たち鉄道会社の社員としては、各社が知恵を絞った対策が少しでも功を奏し、動物たちの命が守られるとともに、お客様の乗った鉄道への影響が最小限に留まることを、日々祈るばかりです。


参考:
在来線の鹿対策(衝撃緩和装置)の試行実績について(JR東海)
カメ救出大作戦!!~電車の遅れも防ぎマンネン~(環境省)


ライター:福本明文
大学卒業後、鉄道会社に総合職として入社し、同業界に15年以上従事。鉄道部門だけでなく、タクシーやバス、小売りといった関連事業にも幅広く携わる。現在はWebライターとしても、広報を担当した経験を活かし、コラム記事の執筆からSNSへのコンテンツ提供まで多岐にわたって活動中。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ