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医師から『子宮頸がん』を宣告された40代女性→数年前から身体に起きていた“ちょっとした違和感”に「あの時に受診していれば…」

  • 2026.8.22
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさん、こんにちは。進行した子宮がん手術の麻酔や全身管理に数多く向き合う麻酔科専門医の松岡雄治です。

「最近、生理の時期以外にも少量の血が混じるけれど、いわゆる更年期の前兆かしら。ホルモンの乱れによるものに違いない」痛みもなく仕事で慌ただしい日々を送る中、婦人科での内診への抵抗感も手伝って違和感をやり過ごしていた40代女性のAさん。

しかし数年後、出血が止まらなくなって受診した病院で言い渡されたのは「進行期の子宮頸がん」でした。子宮や卵巣の全摘出という大きな手術を余儀なくされ、現在は術後の排尿障害や足の強いむくみといったリンパ浮腫の後遺症に苦しんでいます。

「あの時に受診していれば」と後悔の思いを抱えておられます。 今回はAさんの事例をもとに、不正出血の裏に潜む子宮頸がんのリスクについて詳しく解説します。

「痛みのない出血」の裏で進行する異変

なぜ「ただの少量の出血」という油断が、子宮を失う事態を招いたのでしょうか。
子宮頸がんは、自覚症状が全くないまま、ウイルスが長年かけて静かに細胞を変異させていくことで進行する病態です。

【HPVが子宮頸がんを進行させるフロー】

  1. ウイルスの持続感染:性交渉などを通じてヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸部(子宮の出口)の粘膜に感染し、長期間居座ります。
  2. 細胞のDNA変異(前がん病変):ウイルスが5〜10年以上の長い年月をかけて細胞のDNAを変異させ、異常な細胞(異形成)を増殖させます。この段階では痛みも出血もありません。
  3. 組織の脆弱化と不正出血:ときに20年ほどかけてがん化が進行すると組織が脆くなり、何もない時や性交時などのわずかな物理的刺激で「痛みのない少量の出血」が起こるようになります。

「更年期のせい」という思い込みと「同じパートナー」の罠

「40代になれば生理が不規則になるのは当たり前」「内診台に上がるのは恥ずかしいし、できれば婦人科は避けたい」。そう考えるのは自然なことです。さらに、仕事や子育てに忙殺される日々の中で、不調の原因を自分なりに考えてやり過ごしたくなるお気持ちは痛いほどわかります。

しかし、本ケースでお伝えしたい「要注意ポイント」があります。40代以降の女性が陥りがちな「さまざまな不調を更年期のせいにしてしまう」という認知バイアスです。これは、子宮頸がんなどの悪性疾患の発見を遅らせる最大の障壁となるのです。

また、陥りがちな罠は、「ずっと同じ夫(パートナー)だからHPVには感染していないはず」という誤解です。HPVはごくありふれたウイルスであり、極端な場合、過去のたった一度の感染が何年、何十年も静かに潜伏した後に目を覚まし、がん化を引き起こすことがあります。つまり、現在のパートナーの状況にかかわらず、今も静かに進行している可能性があるのです。

HPVは、性的接触のある女性の実に50%が生涯に一度は感染すると言われています。決して珍しいことではないのです。また、HPVは、他にも膣がんなどのがんや、尖圭コンジローマなど、多くの病気の発生に関わっていることも知られています。

重症化を防ぐために、確認すべき3つのサイン

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

進行がんになる前に、ご自身の「出血」の状態を振り返ってみてください。以下のサインがある場合、ただの生理不順ではなく、子宮頸部からのSOSサインの可能性があります。

1. 生理以外のタイミングで少量の出血(不正出血)がある

がん化して脆くなった組織から、血が滲み出ている危険なサインです。

2. 性交渉の後に血が混じる(接触出血)

物理的な刺激によって、脆くなった子宮頸部の病変部から直接出血している状態です。

3. 茶褐色やピンク色のおりもの(帯下)が増えた

古い血液が混ざったり、がん組織から異常な分泌物が出たりしている、絶対に見逃してはいけないSOSサインです。

自己判断で更年期と決めつけず早めに婦人科へ相談を

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染によって長期間かけて進行し、初期段階では無症状のまま組織を蝕んでいきます。

不正出血や性交渉後の出血、おりものの変化といった兆候を「更年期の生理不順」や「いつもの不調」と思い込んで放置してしまうことが、発見の遅れにつながる最大の原因です。なお、更年期世代の不正出血は「子宮体がん」の可能性もあるため、いずれにしても自己判断は禁物です。長年パートナーが変わっていない場合でも、過去の感染が潜伏している可能性があるため油断はできません。

子宮頸がんは、定期的な「子宮頸がん検診」での早期発見に加え、感染そのものを防ぐ「HPVワクチン」接種という二つの予防策が非常に有効です。検診で前がん病変のうちに発見できれば、子宮を残した治療が可能です。

「更年期だから」と自己判断せず、少しでも出血に違和感を覚えたら早めに婦人科を受診し、大切な体を守っていきましょう。


※本記事は周術期・急性期医療の視点に基づく解説・監修を行っています。子宮頸がんの精密検査や診療については、お近くの婦人科・産婦人科を受診してください。

監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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