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「そのうち引くだろう」“歯茎の腫れ”を放置した60代女性→1ヶ月後、歯医者を受診したところ…発覚した“恐ろしい病気”に驚き

  • 2026.10.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

歯茎の一部が盛り上がっていても、痛みがなければ受診を迷うかもしれません。痛みがなければ、しばらく様子を見ようと考えるのが自然です。

ただ、腫れの原因は、痛みの強さや見た目だけでは分からないものです。

今回は、下の奥歯の外側にできた硬い盛り上がりを1ヶ月様子見した62歳女性の事例から、歯医者で何を調べるのか、どの時点で相談すればよいのかを解説します。

「そのうち引く」はずが…1ヶ月残った歯茎の盛り上がり

62歳の女性のAさんは、下の奥歯の外側に硬い盛り上がりを見つけました。指で押しても強い痛みはなく、歯茎が腫れているだけだと思っていたそうです。

「歯茎の腫れなら、そのうち引くだろう」と考え、歯医者の予約はしませんでした。食事も普段どおり取れていたため、急いで診てもらうほどではないと思っていたからです。

ところが1ヶ月が過ぎても、盛り上がりの大きさは変わりません。歯ブラシの先が同じ場所に当たる感覚も続いたため、女性はようやく歯医者を受診しました。

歯医者では歯茎を触って硬さと広がりを確かめ、画像検査で骨の状態も調べます。歯周病だけでは説明しにくいという判断で、口腔外科(口や顎の病気を扱う診療科)への紹介状が用意されました。

紹介先の口腔外科では、歯茎の組織を一部採って調べる検査を受けました。その結果、下の歯茎にできた扁平上皮がん(粘膜の表面の細胞から生じるがん)だと分かり、女性は専門の医療機関で治療方針の相談に進むことになったのです。

 痛みがなければ、歯茎の腫れは様子を見てよい?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

痛みの強さだけでは、腫れの原因は見分けられません。歯茎の盛り上がりには、歯周病による腫れ、良性の病変、がんなど複数の可能性があるからです。

歯肉がん(歯茎にできるがん)でも、歯周病と似た腫れがみられることがあります。硬いからがんだとも、押して痛くないから心配ないとも判断できません。

また、「前にも腫れたから今回も同じ」と思っても、原因まで同じとは限りません。新しく気づいたしこりや、同じ場所で続く腫れは、痛みが弱くても歯医者へ相談する理由になります。

2026年に公表された全国がん登録の分析では、2019年の口腔(口の中)の扁平上皮がん8,296例のうち、上下の歯茎が2,546例(30.7%)と報告されました。ただし、これは口の中のがんのうち歯茎にできるものの割合で合って、歯茎が腫れた人にがんが見つかる割合ではありません。

 歯医者では、歯茎の腫れをどう調べる?

診察ではまず、いつ腫れに気づいたか、その後に大きさや痛みが変わったかを確認されます。「1ヶ月前から同じ場所にあり、ほとんど変わらない」という経過も、原因を考えるうえで大切な情報です。

続いて、腫れている部分の赤みや傷、出血を見て、触れたときの硬さや広がりを確かめます。周りの歯のぐらつきや歯茎の炎症も調べますが、歯肉がんにも歯周病と似た症状があるため、見た目だけでは区別できません。

必要に応じてエックス線写真などを撮り、歯茎の下にある骨の状態も調べます。歯茎の腫れとともに、歯を支える骨にも変化が起きていないかを見るためです。ただし、画像だけでは、がんかどうかを確定できません。

診察や画像検査だけでは原因がはっきりせず、しこりや治りにくい傷が続いている場合は、口腔外科で詳しく調べてもらいます。今回の女性も、同じ場所に硬い盛り上がりが残る理由を詳しく調べるため、口腔外科へ紹介されました。

 口腔外科への紹介で、がんと決まったわけではない

紹介状を受け取ると、重い病気と決まったように感じるかもしれません。紹介状を受け取ったからがんと決まったわけではなく、紹介はあくまで専門の設備や診療体制のもとで、病変を詳しく調べるためのものです。

がんが疑われるときには、組織を一部採り、顕微鏡で細胞を調べて診断します。見た目や画像では分からない、がん細胞の有無や種類を確かめるためです。

紹介を受けたら、受診先と予約方法、検査結果を聞く予定まで確認しましょう。紹介状を受け取っただけで終わらせず、次の診察につなげてください。

硬い盛り上がりは、痛みを待たずに相談を

今回の女性が受診したきっかけは、強い痛みではなく、1ヶ月たっても同じ場所に盛り上がりが残っていたことでした。痛みが少なく、食事もできていると受診を迷いますが、それだけでは腫れの原因は分かりません。

口の中の異変については、「口内炎が2週間たっても治らなければ相談する」という目安があります。ただし、硬いしこりまで2週間待ってよい、という意味ではありません。新しく気づいたしこりや、同じ場所に続く腫れは、痛みがなくても早めに歯医者へ相談しましょう。

予約の電話では、「右下の奥歯の外側に硬い盛り上がりがあり、1ヶ月ほど変わらない」のように、気づいた時期と場所、その後の変化を伝えてください。出血や傷、しびれがあれば、そのことも伝えて受診の時期を相談しましょう。

受診までの間に、見える範囲で写真を撮っておくと、変化を説明しやすくなります。腫れが大きくなるなど、予約時とは様子が変わった場合は、予約日を待たずに連絡してください。

しこりがあるからといって、がんとは限りません。何が原因なのかを確かめるために、気になった段階で診てもらいましょう。


執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
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