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「のどが渇いていないから大丈夫」は間違いだった。実は『脳梗塞』の引き金に…隠れ脱水が招く“身体の変化”とは?【医師が解説】

  • 2026.8.22
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

厳しい暑さが続く夏。熱中症対策として、こまめな水分補給を心がけている方は多いはずです。

しかし、「のどが渇いていないから大丈夫」と油断していませんか?実は、そこに命を脅かす「脳梗塞」の危険が潜んでいるかもしれません。

夏の脱水は、単に体内の水分が失われるだけでなく、血液を急激にドロドロにさせて脳梗塞を引き起こす引き金になりうるといいます。さらに、私たちが何気なくかいている「汗の質」や「水分の摂り方」が、無自覚な脱水を加速させているケースもあるのです。

なぜ、夏の脱水が脳梗塞につながるのでしょうか?そして、そのリスクを避けるための正しい対策とは?全身管理や周術期医療の専門家である麻酔科医の松岡雄治さんに、そのメカニズムと具体的な防衛策を詳しく解説していただきました。

夏の脱水が「脳梗塞」を引き起こす?体内で起きている恐ろしい変化

---夏の厳しい暑さによる脱水が、脳梗塞の引き金になると聞きました。体の中ではどのような変化が起きているのでしょうか?

松岡雄治さん:

「夏の厳しい暑さによる脱水は、血液を濃縮させ、脳梗塞を発症する『引き金』になりえます。

脳梗塞の根本的な原因は高血圧や糖尿病などの生活習慣病ですが、脱水という環境の変化が加わることで、そのリスクが顕在化しやすくなるのです。そして、そこには体内の変化が関わっています。

汗の原料は血液中の水分です。大量に汗をかくと血管内の水分が急激に失われます。この『濃縮』により血液の粘り気が増してドロドロになり、血栓ができやすい状態となります。

このとき、本来であれば脱水に対して脳の『のどの渇きを感じるセンサー』が働き、水分を補給するよう促します。

しかし、ご高齢の方などでは、加齢に伴ってこのセンサーの感受性が鈍くなるため、体内の水分が不足していても『のどが渇いた』と感じにくくなります。『のどが渇いていないから大丈夫』という主観的な判断が、無自覚な脱水(かくれ脱水)を進行させます。

また、糖尿病の方では、高血糖により血管が傷みやすく血液が固まりやすい状態にあるため、少しの脱水でも脳梗塞の危険性が高まります。こうした体内環境の変化が、夏の脳梗塞の引き金となるのです。」

「ベタベタした汗」は危険信号!のどが渇かずに脱水が進む罠

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

---「汗のベタつき」が無自覚な脱水を進行させるとお聞きしました。サラサラした汗と何が違い、なぜ脳梗塞のリスクを高めてしまうのでしょうか?

松岡雄治さん:

「ベタベタした汗を放置することは、無自覚な脱水を静かに進行させる要因の一つになりえます。

なお、脱水のリスクは汗の質だけでなく、室内環境や体調、加齢など複合的な要因によって高まります。 通常、汗は血液から水分がろ過され、塩分は体内に回収されるため『サラサラ』です。この場合、水分だけが減って血液の塩分濃度が高まるため、脳が『のどが渇いた』というサインを強く出します。

すぐに水分補給ができるため、大きな問題にはなりにくいでしょう。 しかし、汗腺の働きが落ちていると体への塩分の再吸収がうまくできず、塩分ごと流れ出て『ベタベタした汗』になります。これが以下のような脱水進行の連鎖を引き起こすことがあります。

【ベタベタ汗から無自覚な脱水に至るリスクのメカニズム】

  1. 塩分と水分の同時喪失:ベタベタした汗により、水分と一緒に塩分も流れ出てしまいます。
  2. のどの渇きを感じにくくなる:塩分も失われているため血液の塩分濃度が上がりにくく、脳の渇きセンサーがうまく働きません。
  3. 「水だけ」を飲んでしまう:渇きを感じにくい状態で水だけを補うと、血液の塩分濃度がさらに下がり、ますます渇きを感じにくくなります。
  4. 水分が尿として排出される(自発的脱水):体は血液が薄まるのを防ごうとして、せっかく飲んだ水分を体に保持できず、尿として外へ出してしまいます。

このように、『塩分喪失でのどが渇かない』状態と『水だけを飲んで水分が逃げてしまう』ことの連鎖により、脱水は無自覚に進行します。その結果、血液がドロドロになって血栓ができやすくなり、脳梗塞のリスクが高まってしまうのです。」

渇きを感じる前に飲む!夏の脳梗塞を防ぐ水分補給ルール

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

---無自覚な脱水から身を守り、脳梗塞を防ぐためには、日頃からどのような対策をとればよいでしょうか?

松岡雄治さん:

「夏の脳梗塞を防ぐために役立つ防衛策は、のどの渇きだけを判断基準にするのではなく、決まった時間で水分を補給する習慣をつけることです。渇きを感じてから飲むのでは、すでに体内の脱水は進行しているといわれています。

朝起きた時、朝食、10時、昼食、15時、夕食、入浴前後、就寝前など、コップ1杯(約200ml)の水分を1日7〜8回に分け、規則正しくこまめに飲みましょう。

特に睡眠中は水分補給ができず脱水が進みやすいため、就寝前と起床直後のコップ1杯の水は非常に重要です。もちろん喉が渇いたと感じた時には、追加で給水しましょう。

また、ベタベタした汗を大量にかいた際には、塩分も一緒に失われている状態だと考えて、水分と同時に塩分・電解質も適度に補うことが大切です。普段の予防策としては麦茶やスポーツドリンクなどを選び、脱水症状が疑われる場合や激しい運動・発汗時には経口補水液を活用するなど、状況に応じて使い分けましょう。

ただし、経口補水液は塩分やカリウム濃度が高く『感染性腸炎や熱中症等による脱水状態の食事療法』に用いるものであるため、日常的な水分補給として常用しすぎないよう注意が必要です。

ただし、心不全や腎臓病などの持病がある方は、水分や塩分の摂りすぎが心臓や腎臓の負担になることがあるため、事前に主治医と相談して適切な量を守ってください。 また、もしも片側の顔や手足に力が入らない、ろれつが回らないなど、脳梗塞の兆候を感じるような異変がある場合には、ためらわずに119番通報をください。」

「のどが渇かない脱水」を防ぎ、時間を決めた水分補給で夏を乗り切る

のどの渇きを感じてからでは遅いという夏の脱水対策。「のどが渇いていないから大丈夫」という思い込みが、無自覚な「かくれ脱水」を進行させ、脳梗塞という重大な病気を引き起こす引き金になりかねないことが、取材をとおしてわかりました。

特にベタベタした汗をかいたときは、水分と一緒に塩分も失われ、脳の渇きセンサーが鈍くなってしまうため、水だけを飲むとかえって脱水を進行させてしまいます。

これからはのどの渇きだけに頼らず、起床時や就寝前、食間など「決まった時間に規則正しく水分を摂る習慣」を取り入れ、日常予防の麦茶・スポーツドリンクと脱水時の経口補水液を上手に使い分けながら塩分を補うことが、大切な体を守ることにつながります。 万が一、体の一部に力が入らない、ろれつが回らないなどの兆候を感じたときは、ためらうことなく119番通報をすることも忘れないようにしましょう。

正しい水分補給を心がけ、この厳しい夏を健やかに乗り切りましょう。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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