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医師から『くも膜下出血』を宣告された40代男性→数日前から、身体に起きていた“異変”に「あの時すぐに病院へ行っていれば…」

  • 2026.8.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさん、こんにちは。集中治療や手術期の全身管理に日々立ち向かう麻酔科専門医の松岡雄治です。

「数日前、強烈な頭痛に襲われたけれど、市販の鎮痛薬を飲んで静養したら収まったから問題ないだろう」

そう考えて職場復帰を果たし、医療機関を受診しなかった40代会社員のAさん。しかし数日後、再び想像を絶する激痛に襲われて意識を失い、救急搬送される事態となりました。診断は「くも膜下出血」。

緊急の開頭手術を受けたものの、重度の麻痺や高次脳機能障害という過酷な後遺症が残りました。家族と語らう穏やかな時間は奪われ、「あの時すぐに病院へ行っていれば」と後悔の念を抱えています。

今回はAさんの事例をもとに、頭痛が消えた裏に潜む「警告出血」の危険性について詳しく解説します。

「治った」のではなく「血が止まっただけ」という怖さ

なぜ痛みが引いたはずなのに、くも膜下出血につながったのでしょうか。

それは、警告出血による一時的な痛みの消失が表しているのが「治癒」ではなく、不幸中の幸いで、今回の出血は微量で収まったからにすぎないからです。

【警告出血(マイナーリーク)から大破裂へのフロー】

  1. 微小な破裂(マイナーリーク):脳動脈瘤の壁が限界に達し、ごく微量の出血がくも膜下腔に広がります。これが突然の激痛を引き起こします。
  2. 一時的な止血と痛みの消失:出血が少量で自然に止まると、頭痛もスッと引いていきます。
  3. 血管壁からの大出血:しかし血管壁の裂け目は塞がっていないため、数日〜数週間以内に同じ場所から大量出血(再出血)を起こします。そして、脳組織を傷つけます。

「いつもの偏頭痛」と危険な「突然の痛み」の境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「痛みが治まったのだから、今回は痛みが強かったけど、いつもの偏頭痛によるものだろう」「仕事が忙しいから、市販の痛み止めでやり過ごしたい」。そう考えるのは、人間としてごく自然な心理です。休めない日々の中で、痛みが引いたことに安怠し、わざわざ病院へ行くのをためらってしまうお気持ちも、責められるものではありません。

しかし、くも膜下出血の総死亡率は25〜53%と非常に高い病気です。そして、研究によって割合には差がありますが、20%前後の患者に「マイナーリーク(警告出血)」と呼ばれる少量の出血が、本格的な大破裂の前に起きているということをぜひ知っておいてください。

ここで重要なのは「ロキソプロフェンなどの市販の解熱鎮痛薬で治ったように見える頭痛」と「危険な頭痛」の境界線です。

いつもの肩こりや頭痛は「徐々に」痛くなりますが、マイナーリークの痛みは「ある瞬間に突然」痛みに達します。バットで殴られたような、という表現のとおりです。鎮痛薬を飲んで痛みが引いたとしても、それは薬が効いたのではなく、たまたま出血が一時的に止まっただけかもしれません。

重症化を防ぐために、確認すべき3つのサイン

血管壁からの大出血が起きる前に、ご自身の頭痛の始まり方を振り返ってみてください。以下のサインがある場合、脳の血管がすで傷ついていて、くも膜下出血を引き起こす可能性があります。

1. 「何時何分」と言えるほど突然、ある時点で激痛が走った

今まで経験したことがないような痛みが、ある一瞬を境に突然ピークに達した危険なサイン(雷鳴頭痛)です。

2. 頭痛とともに悪心や嘔吐、めまいがあった

微量の出血により脳圧が上がり、脳へのダメージが起きているサインです。

3. 物が二重に見える、まぶたが下がる

膨らんだ動脈瘤が、目の動きを司る神経(動眼神経)を直接圧迫している警告サインです。

激しい頭痛が一瞬で起きたら痛みが引いても迷わず救急通報・受診を

くも膜下出血の本格的な大破裂が起きる前には、脳動脈瘤から微量の出血が生じる「警告出血(マイナーリーク)」が観察されるケースがあります。一時的に出血が留まり頭痛が収まることも多いため、「薬で治った」「いつもの偏頭痛」と誤認して放置してしまう落とし穴が存在します。

「何時何分」と具体的に言えるほど突然発生した頭痛や、嘔吐・めまい、視野の異常を伴う症状は、脳が発している極めて重大な警告信号です。

一度痛みが引いたとしても危険が去ったわけではありません。「突然ガツンと痛む」違和感を覚えた際は躊躇せず、直ちに119番通報で救急車を呼ぶか、至急脳神経外科を受診して必要な検査を受け、大切な命と日常を守りましょう。


※本記事は周術期・急性期医療の視点に基づく解説・監修を行っています。くも膜下出血の正確な精密検査や専門的治療については脳神経外科を受診してください。

監修者・執筆:松岡 雄治

総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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