1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 「また膀胱炎だろう…」“排尿時の痛み”を繰り返す70代女性→ある日、別のクリニックへ行くと…医師から告げられた“意外な病名”

「また膀胱炎だろう…」“排尿時の痛み”を繰り返す70代女性→ある日、別のクリニックへ行くと…医師から告げられた“意外な病名”

  • 2026.9.15
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

今回は、長年「膀胱炎」だと思われていた症状が、実は「ハンナ型間質性膀胱炎」という病気だったMさんのエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

「何年も繰り返す膀胱炎」だと思っていた

70代の女性、Mさんはある時期から、膀胱の痛みと頻尿(尿が近くなる症状)を感じるようになりました。

近くの内科を受診したところ膀胱炎と診断され、抗生物質を処方されたそうです。服用後は一時的に症状が落ち着いたものの、しばらくするとまた似たような痛みや頻尿がぶり返す、ということを繰り返すようになりました。

心配になったMさんは泌尿器科のクリニックも受診されましたが、治療を続けてもすっきりと良くなることはなかったといいます。「薬を飲んでいる間は少し楽になるのに、やめるとまた同じ痛みが戻ってくる」と、当時のことを話してくださいました。

そのうち症状は徐々に悪化し、夜間に痛みで3〜4回も目が覚めてしまうようになりました。「いつもの膀胱炎がひどくなっただけだろう」と考え、しばらくはそのまま治療を続けておられたそうです。

「もしかしたら」——見つかった膀胱の異変

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

生活に支障が出るほど症状がつらくなり、別のクリニックを受診したところ、担当医が「もしかしたら」と言葉を止め、膀胱鏡(内視鏡で膀胱の内部を直接観察する検査)を行うことになりました。検査の結果、膀胱の粘膜に何箇所か赤く見える部分が見つかり、Mさんは総合病院を紹介されることになったのです。

紹介先の病院で診断されたのが、「ハンナ型間質性膀胱炎」という病気でした。

間質性膀胱炎は、細菌感染が原因で起こる一般的な膀胱炎とは異なり、膀胱の壁そのものに変化が生じることで頻尿や膀胱の痛みが慢性的に続く病気です。

中でもハンナ型と呼ばれるタイプは、膀胱の粘膜に「ハンナ病変」という特徴的な変化がみられるのが特徴とされています。重症の場合は難病にも指定されています。尿がたまると痛くなり、出すと楽になることから頻尿となります。細菌感染が原因ではないため、抗生物質を使っても根本的な改善にはつながりにくいと考えられています。Mさんが何年も膀胱炎の治療を続けても良くならなかった背景には、こうした事情があったのかもしれません。

このように、頻尿や膀胱の痛みという同じような症状であっても、その裏に隠れている病気はひとつとは限りません。似た症状が長く続く、あるいは治療をしても改善しないという場合には、一般的な膀胱炎以外の可能性も含めて調べる必要があります。

膀胱水圧拡張術を受け、痛みが引いた

Mさんは総合病院で「膀胱水圧拡張術(膀胱の中に水を送り込んで内側から圧力をかける治療法、通常はハンナ病変の焼灼術や切除術も同時に行う)」を受けられました。治療後、あれほどつらかった痛みと頻尿が嘘のように和らいだといいます。「もっと早く原因がわかっていたら」と振り返っておられました。

ただし、ハンナ型間質性膀胱炎は治療によって症状が落ち着いても、再び痛みが出てくることがある病気でもあります。そのためMさんは現在も、定期的に膀胱内へ薬液を注入する治療を続けながら、症状の再燃を防いでおられます。

「いつもの膀胱炎」で片付けず、良くならない時は受診を

頻尿や排尿時の痛みは女性にとって身近な症状であるだけに、「いつもの膀胱炎だろう」と自己判断してしまいがちです。ですが、抗生物質による治療を続けても症状が改善しない場合や、痛みで夜眠れないほど症状が強い場合には、ハンナ型間質性膀胱炎のような別の病気が隠れている可能性もあります。

気になる症状が長く続くときは、一度泌尿器科を受診し、必要に応じて詳しい検査を受けてみてください。長引く痛みの向こうに、まだ気づいていない答えがあるかもしれません。


執筆・監修:小内友紀子
公益財団法人ときわ会 常磐病院 泌尿器科 診療副部長、東京女子医科大学病院 泌尿器科 講師、医師、医学博士 女性泌尿器科医師として、普段は女性によくある尿もれから、男性の前立腺癌をはじめとする泌尿器科領域の癌診療まで診療しております。 【資格】医師 / 医学博士 / 泌尿器科専門医・指導医 / 透析医学会専門医・指導医 / 排尿機能学会専門医

の記事をもっとみる

注目コンテンツ