1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 歯医者を受診した40代男性→「加熱式だから大丈夫」問診票のたばこ欄を空白で出すが…医師から告げられた“事実”に「え?!」

歯医者を受診した40代男性→「加熱式だから大丈夫」問診票のたばこ欄を空白で出すが…医師から告げられた“事実”に「え?!」

  • 2026.9.16
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

「紙巻きはほとんどやめた。加熱式だから喫煙者とは書かなくてもよいだろう」。そう考える方もいるかもしれません。

加熱式だけなら歯周病にならないのでしょうか。加熱式だけを使う方も、歯周病になる可能性はあります。影響は分かっていない点が多く、併用や過去の喫煙歴も見逃せません。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

出血も痛みもないのに「歯周炎」と診断

40代男性のAさんは約20年間、紙巻きたばこを吸ってきました。1年ほど前から平日は加熱式へ替えましたが、休日は紙巻きを5本ほど吸います。

本人は「紙巻きを減らした」と考えていました。歯茎から血が出ることも痛むこともなかったため、2年ぶりの受診で問診票のたばこ欄を空欄にしました。

ところが、歯と歯茎の間を測ると奥歯に5~6mmの歯周ポケットがあり、歯垢と歯石も付着していました。エックス線画像では歯を支える骨の減少が確認され、口の中の所見と合わせて歯周炎と診断されます。

「え?!歯茎からの出血もないのに、歯周病なのですか」とAさんは驚きました。歯科医師からたばこの種類を改めて聞かれ、平日は加熱式を1日10本前後、休日は紙巻き、以前は紙巻きを1日1箱近く吸っていたと伝えました。

加熱式なら歯周病にならない、とはいえない

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

紙巻きたばこの喫煙は、歯周病の発症や進行に関わるリスク因子です。ニコチンなどの影響で歯茎の血流や体の防御反応が変化し、喫煙していない方より歯茎の出血が目立ちにくい傾向にあります。「血が出ないから歯茎は健康」とは限りません。

加熱式たばこにもニコチンが含まれますが、歯や口への長期的な影響を調べた研究はまだ限られているのが現状です。そのため、加熱式だけなら歯周病にならない、紙巻きより口への負担が小さい、とも断定できないのです。

この調査では、紙巻きたばこを中心に加熱式も使う人は、紙巻きだけの人より、重い歯周病と判定された割合が高いという結果でした。一方、加熱式を中心に使う人は8人だけで、違いを判断できる人数ではありませんでした。

ただし、調査は自己申告による小規模研究で、残念ながら加熱式だけの人と非喫煙者が比べられていません。「併用」と「切り替え」は分けて考える必要がありますが、加熱式なら問題が起きないと証明した研究ではないのです。

歯石を除去し、数週間後に再検査

Aさんには、歯周病の原因となる歯垢を減らす磨き方を伝え、歯茎の上と内側に付いた歯石を数回に分けて除去する歯周基本治療を行いました。たばこだけを原因と決めつけず、磨き残し、受診間隔、糖尿病などの全身状態も確認します。

数週間後の再検査では出血した場所が減りましたが、一部の奥歯には深いポケットが残りました。そこで同じ治療を続け、歯周組織が落ち着いた後も間隔を決めて管理する方針になりました。禁煙については、加熱式への置き換えで済ませず、医師にも相談しています。

問診票には、①今使う種類、②1日・1週間の量、③使い始めた時期、④過去の紙巻きの本数と年数、⑤やめた・再開した時期を書きます。欄が小さければ「加熱式は毎日、紙巻きは週末」と記し、診察時に補足してください。

加熱式だけでも、たばこ欄は空欄にしない

Aさんは「切り替えた」つもりでしたが、実際は紙巻きと加熱式の併用でした。歯周炎は喫煙だけで起きる病気ではありませんが、現在と過去の使用状況は、検査結果や治療後の経過を考える材料になります。

加熱式だけを使う方も、たばこ欄を空欄にせず、種類と量を伝えましょう。痛みや出血がなくても歯周病が進んでいる場合があるため、自己判断ではなく検査で歯茎と骨の状態を確かめることが大切です。


執筆・監修:鷹巣 多紀

大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw X: https://x.com/kikimama0405 

の記事をもっとみる

注目コンテンツ