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「少し喉が腫れて痛む…」“ただの風邪”と放置した30代男性→翌晩、耐えがたい激痛に襲われ…病院で告げられた“恐ろしい病名”

  • 2026.9.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

周術期管理や救急・全身管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「少し喉が腫れて痛むが、いつもの風邪だろう。市販の風邪薬を飲んで寝れば、そのうち治るさ」。仕事や家事に追われ、自分のことを後回しにしがちなMさん(30代男性)。

しかし、痛みは一晩で激変し、水やつばを飲み込むことすら耐えがたいほどの激痛に変わりました。さらに顎の筋肉がこわばり、口が数センチしか開かなくなったのです。病院で告げられた病名は、喉の奥に膿の袋ができる「扁桃周囲膿瘍」。
事なきを得たものの、「あの時、ただの風邪だと油断せず、すぐに病院に行けばよかった…」と深い後悔を口にしています。

今回は、見逃してはいけない「喉の激痛のSOS」について解説します。

扁桃周囲膿瘍は喉の奥に広がる「膿の蓄積」

なぜ、喉の痛みが口の開きにくさや息苦しさを招くのでしょうか。

細菌がのどの深部へと侵入し、膿の袋を形成するメカニズムは、以下のように急速に進行します。

【喉の奥に膿が溜まるフロー】

  • バリアの突破:急性扁桃炎がこじれ、細菌が喉のバリアである「扁桃被膜」を越えて広がります。
  • 隙間で繁殖:膜の奥にある咽頭収縮筋との隙間に細菌が侵入し、大量の膿が溜まった「膿瘍(膿の袋)」を作ります。
  • 周囲筋肉への影響:溜まった膿が周囲の筋肉に波及し、炎症によって顎の筋肉が硬直して口が開かなくなります。
  • 物理的な圧迫:喉の奥を塞ぐほど膿の袋が大きく膨らみ、空気の通り道である「気道」を圧迫し始めます。

「ただの喉風邪」と「緊急を要する膿瘍」に潜む注意すべき境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「仕事が休めないから、うがい薬や市販薬で様子を見よう」「いつもの扁桃炎だし、数日耐えれば治るはずだ」。毎日を一生懸命に生きる皆さんが、のどの痛みを風邪と捉えてやり過ごそうとするのは、人間としてごく自然な心理です。

しかし、今回のケースを通してお伝えしたい「注意すべき境界線」があります。のどの痛みを風邪薬だけで何とかしようとすることは、危険な場合があります。
実は、一度のどの奥に「膿の袋(膿瘍)」が完成してしまうと、その袋の内部には血管が通っていません。そのため、点滴や内服で体内に取り込んだはずの抗菌薬が、膿の袋の内部に存在する細菌の巣まで十分に届きにくくなってしまうのです。薬が届きにくい以上、炎症は治まりにくくなります。

この病気は、比較的若い成人に多く発症する特徴があります。体力もあるため、そのうち治るだろうと様子をみてしまうケースもありますが、この状態を放置すると、膿はのどに留まらず、首の深いすき間を通り、最終的には胸の奥(縦隔)にまで流れ込むことがあります。これにより、全身に影響を及ぼす「縦隔炎」や「敗血症」を合併する恐れがあります。

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

ただの扁桃炎や風邪と、のどの奥で膿の袋が膨らみつつある危険な状態を見分けるため、以下の3つの初期サインをご自身でご確認ください。

1. のどちんこ(口蓋垂)が明らかに「左右どちらかに曲がっている」

片側の扁桃の周りに膿の袋が形成されることで、のどちんこが正常な真ん中の位置から、腫れと反対側へと強く押し流されて歪みます。

2. 指が縦に2本以上「口に入らなくなっている(開口障害)」

のどの痛みの影響だけでなく、炎症が顎を動かす筋肉にまで達している証拠です。食事や水分補給も著しく困難になります。

3.熱いポテトを口に含んだような「こもった声(含み声)」になる

のどの奥が膿の袋とむくみによって狭くなり、声が外に響かなくなっている状態です。「hot potato voice(熱いポテトを口に入れているような声)」と表現されることがあります。さらに、つばが飲み込めない場合は早急な対応が必要です。

のどの違和感を見過ごして大事に至るその前に

「まさかのどの痛みが、それほど深刻な病気のサインだったなんて」と思われるでしょう。

もしかして、と気になった方は、まずは「明るい洗面台の前で鏡を持ち、口を大きく開けてのどちんこがまっすぐ下を向いているか確認する」という簡単なチェックから始めてみましょう。もしのどちんこが偏って曲がっている、あるいは口が開きにくいと感じたときは、それ以上我慢せずに今すぐ耳鼻咽喉科を受診してください。

もしただの喉風邪であれば、医師からそう告げられ、安心して快方に向かうのを待つことができます。大事に至る前に、ぜひお気軽に受診してください。


※本記事内の事例は、プライバシー保護および解説の便宜上、一部の設定を改変・再構成しております。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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