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「生理痛がひどい…」“市販薬”を飲んで放置→数時間後、激しい嘔吐で救急搬送…20代女性を待ち受けていた“恐ろしい病名”とは?

  • 2026.8.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

はじめまして日々さまざまな病気を抱えていらっしゃる患者さまの周術期をお守りする麻酔科専門医の松岡です。

「生理痛がひどく、熱っぽくて体が重い。ただの風邪かな」。そう思いながら、仕事の忙しさからタンポンを長時間交換しないまま働き続け、市販の風邪薬を飲んで眠りについた20代女性(Aさん)。

不調を感じてから数時間後、彼女は激しい嘔吐と意識障害を起こして救急搬送されました。診断は、急激に多臓器の機能低下を引き起こす「毒素性ショック症候群(TSS)」。適切な治療により一命は取り留めたものの、体調が急変した体験は大きな不安を残すこととなりました。

なぜ、このような事態に陥ってしまったのでしょうか。その仕組みと防ぐための注意点を解説します。

体内で起きる毒素の暴走

生理用品の不適切な使用が重症化を招く背景には、体内における細菌と毒素の反応があります。
プロセスは以下の通りです。

【TSSが発生するプロセス】

  1. 細菌の増殖:長時間の放置により、皮膚や腟内に常在する「黄色ブドウ球菌」が増殖しやすい環境が整います。
  2. 毒素の血中流入:増殖した細菌が産生した毒素が、粘膜のわずかな傷などを通じて血液中に流入します。
  3. 全身症状の発症:毒素に対して免疫システムが過剰に反応し、急激な血圧低下や多臓器機能不全(肝臓や腎臓などの機能低下)を引き起こします。

適切な使用ルールとタイムリミット

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「会議が長引いてトイレに行けない」「疲れているから長時間交換せずに休みたい」。日々の仕事や育児、学業に追われる中で、生理用品の交換が後回しになってしまうのは無理もないことです。

しかし、知っておいていただきたい重要なルールがあります。黄色ブドウ球菌自体は誰の体にも存在するありふれた細菌ですが、「長時間の密閉」と「経血という栄養源」が揃うと、体内に影響を及ぼす毒素を産生し始めます。

製品パッケージにある「8時間を超える連続使用は避ける」という注意事項は、感染や重症化のリスクを未然に防ぐための重要なタイムリミットです。なお、日常の小さな切り傷や火傷などを不衛生な状態で密閉・放置した場合にも、同様のリスクが生じることがあります。

注意すべき3つの初期サイン

一般的な風邪や生理痛とTSSを識別するために、確認しておきたい3つの初期症状です。

1. 突然の「39度以上の高熱」と「立ちくらみ」

徐々に熱が上がるのではなく、急激に高熱が出ます。同時に血圧が急低下し、立っていられないほどのめまいや失神を伴うこともあります。

2. 手のひらや足の裏に「真っ赤な発疹」が出る

インフルエンザなどとは異なり、全身や手のひら、足の裏などに、まるでひどい日焼けをしたような赤く平坦な発疹(紅斑)が広範囲に現れます。

3.「嘔吐や下痢、筋肉痛」を伴う

毒素が消化管や筋肉に深刻なダメージを与え始めているおそれがあります。ただの胃腸炎と間違えやすい危険なサインかもしれません。

安全にご使用いただくために

「生理用品のことで医療機関に行くのは気が引ける」と我慢してしまう方もいらっしゃいますが、体調に違和感がある場合は無理をしないことが大切です。

予防のためには、以下の基本を徹底しましょう。

  • 使用前には必ず手を洗う
  • 説明書に従い、8時間以上の連続使用を避けてこまめに交換する

万が一、タンポン使用中に高熱や発疹などの症状が現れた場合は、直ちに使用を中止し、速やかに医療機関(救急外来など)を受診してください。正しい知識を持ち、適切に使用することでリスクは十分に回避できます。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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