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「前歯が1本だけ黒ずんでいる…」“ただの着色”と放置した50代女性→3ヶ月後、歯医者を受診すると…指摘された“驚きの原因”とは

  • 2026.8.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

家族写真を拡大したとき、前歯が1本だけ暗く写っていたら、照明のせいだと思うかもしれません。鏡で見直し、「毎日のコーヒーで着色したのだろう」と考える方もいるでしょう。

歯の色は飲食物の影響でも変わります。ただし、1本だけ色調が違うときは、白くする前に原因を確認することが大切です。

Aさんに起きたこと

Aさんは50代女性の会社員です。家族旅行の写真を見て、上の前歯が1本だけ黒ずんでいることに気づきました。

「毎日コーヒーを飲むから、着色したのだろう」と考え、丁寧に磨きながら様子を見ていたそうです。

しかし、3ヶ月たっても左右の前歯の色の差は変わりません。痛みや腫れはありませんでしたが、笑ったときに目立つことが気になり、歯医者を受診しました。

歯科医師は、いつ気づいたか、痛みや腫れがあったか、以前に神経の治療や詰め物をしたかを尋ねます。さらに、「昔、この歯をぶつけたことはありませんか」と聞きました。

Aさんはしばらく考え、20代の頃に自転車で転び、口元を地面に打ったことを思い出します。当時は前歯が数日浮いたように感じたものの、痛みが引いたため受診していませんでした。

歯医者では、歯の表面や揺れ、歯茎の状態を確認します。冷たい刺激と電気による歯髄検査を、反応のある隣の歯と比べながら複数回行いました。

暗くなった前歯だけは、どちらの検査にも反応がありません。レントゲン写真では根の先に黒く見える透過像がありましたが、歯をたたいても痛みはありませんでした。

色の変化、繰り返した歯髄検査で反応がないこと、根の先の画像所見を合わせ、診断は「歯髄壊死」と「根尖性歯周炎」となりました。

昔のけがが検査の手がかりになる

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

歯を強くぶつけると、直後の痛みが治まっても、後から歯髄が壊死したり、歯髄の入る空間が硬い組織によって狭くなったりすることがあります。色も灰色や黄色などに変わる場合がありますが、外から見た色だけで原因は判断できません。

また、Aさんのように痛みがなくても、歯髄壊死や根尖性歯周炎を放置していると、知らないうちに骨の中で病変(膿の袋)が広がり、最悪の場合は歯を抜かなければならなくなるリスクもあります。

変色に気づいた時期と、歯の内部で変化が起きた時期が同じとは限りません。昔の写真を見て初めて色の違いに気づくケースもあります。何年も前の転倒やスポーツ中の衝突であっても、受診時に伝えることが大切です。

歯髄の検査も、1回の反応だけでは結論を出せないことがあり、判断には慎重さが必要です。外傷歴、痛みや腫れ、歯髄の反応、レントゲン写真などを組み合わせ、必要に応じて経過を追います。

白くする方法は原因を確認してから

コーヒーなどによる着色は、主に歯の表面へ色素が付く変化です。1本だけの変色には、過去の外傷、虫歯、詰め物や神経の治療に使った材料など、別の原因もあります。

Aさんは歯の内部を清掃して密閉する根管治療を受けました。治療後は根の先を定期的に確認し、色を整える方法は歯の状態が落ち着いてから相談することになります。

なお、神経を失った歯の変色は、市販のホワイトニング歯磨き粉や通常のホワイトニング(表面からの漂白)では改善しません。根管治療後に、歯の内側に薬剤を入れて白くする「ウォーキングブリーチ」や、被せ物(クラウン・ラミネートベニア等)による審美治療が必要となります。自己判断で市販品を使わずに、必ず歯科医師と相談して最適な治療法を選びましょう。

前歯の色が1本だけ変わったときは、いつから変化したか、過去に転倒やスポーツでぶつけたことがないか、治療歴があるかを伝えてください。昔のけがでも、原因を考える手がかりになります。痛みがないからと放置せず、色の変化に気づいたら早めに歯科医院で検査を受けましょう。


執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。

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