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「なんだか調子が悪い」ぐったりと横になる80代母→「熱中症かも」娘が病院へ連れていくと…検査で判明した“意外な原因”とは?

  • 2026.8.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「最近暑いから、熱中症かしら」——高齢のご家族の体調が悪そうなとき、まずそう考える方は多いのではないでしょうか。もちろん熱中症への注意は大切ですが、似たような症状の裏に、実は別の病気が隠れていることもあります。今回ご紹介する腎盂腎炎(じんうじんえん)も、そのひとつです。

今回は、熱中症かと思って様子を見ていたおばあちゃんが、実は腎盂腎炎だったというエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

ぐったりしたおばあちゃん、原因は熱中症ではなかった

いつも元気に過ごしていた82歳女性のKさん。

ところが数日前から「なんだか調子が悪い」と言っていたことが気になり、娘のLさんが様子を見に行くと、Kさんはぐったりとして横になっており、触れると熱もあるようでした。

「この時期だし、熱中症かもしれない」——娘のLさんはそう考え、水分を取らせたり体を冷やしたりして安静にさせましたが、なかなか回復する様子がありません。むしろぐったりとした状態が続いたため、Lさんは救急車を呼び、Kさんは救急外来を受診することになりました。

検査の結果、診断されたのは熱中症ではなく腎盂腎炎でした。医師からは「もしかすると、菌が血液に入り込む敗血症を起こしているかもしれません」と告げられ、Lさんをはじめご家族は大きな不安を抱えることになりました。

膀胱炎の菌が腎臓まで広がる病気

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

腎盂腎炎は、大腸菌などの細菌が尿道から膀胱に入り込み、そこからさらに腎臓の方まで広がって炎症を起こす病気です。膀胱の中だけで炎症がとどまる膀胱炎とは異なり、腎臓にまで細菌感染が及ぶため、高熱や強い倦怠感、背中や脇腹の痛みなど、全身に症状が出やすいのが特徴です。

高齢の方の場合、痛みなどの典型的な症状がはっきり出ず、「なんとなく元気がない」「食欲がない」といった、一見わかりにくい体調不良として現れることも少なくありません。そのため、暑い季節には熱中症と見分けがつきにくく、対応が遅れてしまうこともあります。

治療が遅れると、細菌が血液の中に入り込んでしまう敗血症を起こすことがあります。敗血症は、体中に炎症反応が広がり、血圧の低下や意識の低下など、命に関わる状態につながることもある重い合併症です。特に高齢の方は、もともとの体力や免疫の働きが弱っていることが多く、重症化しやすい傾向があるといわれています。腎盂腎炎が疑われる場合には、早めに医療機関を受診し、適切な診断を受けて、抗生剤による治療を始めることが何よりも大切になります。

点滴治療とリハビリを経て元気に退院

Kさんは、抗生剤の点滴による治療を受けることになりました。数日間の点滴治療で熱は徐々に下がっていき、お見舞いに行ったLさんが顔を見たときには、以前のように会話ができるほど元気な様子を取り戻していたそうです。適切な治療を早期に始められたことが、大きく回復につながったと考えられます。

熱は下がったものの、寝込んでいた期間に体力が落ちていたため、その後はリハビリを兼ねて2週間ほど入院を続けることになりました。退院する頃には歩く様子もしっかりしており、Kさんは無事に自宅での生活に戻ることができました。Lさんは「もっと早く病院に連れて行けばよかった」と振り返りつつも、「大事に至らずに済んで本当によかった」と胸をなでおろしていました。

「熱中症かな」で済ませず、早めの受診を

高齢のご家族の体調不良を「歳のせい」や「熱中症だろう」と決めつけて受診を後回しにしてしまうと、対応が遅れてしまうことがあります。原因が熱中症・感染症のいずれであっても、自力で水分が摂れない、ぐったりしているといった状態は速やかな受診(必要に応じて救急要請)が必要です。
腎盂腎炎は、早めに治療を始めれば点滴でしっかり回復が見込める病気ですが、放置すると敗血症のように命に関わる状態になることもあります。——ぐったりしている、いつもと様子が違うと感じたときは、様子を見るよりもまず受診を、その判断がご家族を守ることにつながります。

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