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医師から『膀胱がん』と宣告された60代女性→ある日から、身体に起きていた“恐ろしい異変”に「不安でいっぱいになった」

  • 2026.8.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「血が混じっている……」——トイレでふと気づいた血尿に、心臓がドキッとした経験はありませんか。痛みがなければ様子を見てしまいがちですが、血尿は体からの大切なサインであることがあります。膀胱がんも、その原因のひとつです。

今回は、血尿をきっかけに膀胱がんが見つかったものの、膀胱を残したまま治療を終えることができた女性のエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

血尿をきっかけに見つかった膀胱の腫瘍

68歳のIさんは、ある日トイレで血尿に気づき、驚いて泌尿器科を受診しました。痛みなどの症状は特になく、「疲れが出ただけかもしれない」とも思ったそうですが、念のため詳しく調べてもらうことにしたといいます。

超音波検査を受けたところ、膀胱の中に何か気になるものがあると言われ、続けて膀胱鏡検査(内視鏡を尿道から入れて膀胱の中を直接観察する検査)を受けることになりました。検査の結果、膀胱の中に1センチほどの腫瘍が見つかりました。

「腫瘍」という言葉を聞いたIさんは、「膀胱を全部取らなければいけないのでは」と不安でいっぱいになったそうです。ですが、主治医からの説明は意外なものでした。「今の段階では、膀胱全部を取る必要はなさそうです」。

膀胱がんは深さによって治療が変わる

膀胱がんは、膀胱の内側を覆う粘膜にできるがんで、血尿がもっとも多くみられる症状のひとつです。痛みを伴わない血尿が、健診や他の検査をきっかけに見つかることも少なくありません。

膀胱がんの治療方針は、がんが膀胱の壁のどのくらい深くまで入り込んでいるかによって大きく変わります。粘膜の表面近くにとどまっている早期のがんであれば、尿道から内視鏡を入れて腫瘍を削り取る、経尿道的膀胱腫瘍切除術(けいにょうどうてきぼうこうしゅようせつじょじゅつ)という方法で治療できることが多く、膀胱そのものを残すことができます。膀胱は尿をためておくための大切な臓器のため、残せるかどうかは、その後の生活の質にも大きく関わってきます。

一方で、がんが膀胱の筋肉の層まで深く入り込んでいる筋層浸潤がんの場合には、膀胱をすべて摘出する手術が必要になることがあります。この場合、尿の通り道を新しく作る手術も同時に行われるため、体への負担は大きくなります。飲み薬や注射だけで完治させることは難しく、がんの深さを正確に見極めたうえで、その段階に応じた治療法を選ぶことが重要になります。

Iさんの場合は、検査の結果、腫瘍が浅い層にとどまっていることや、リンパ節や他の臓器への転移がないことが確認されたため、膀胱を残す経尿道的膀胱腫瘍切除術で治療を進めることになりました。

6日間の入院で無事に治療を終えて

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

経尿道的膀胱腫瘍切除術は、お腹を切ることなく尿道から器具を入れて行う手術のため、体への負担が比較的少ないのが特徴です。Iさんの入院期間は6日ほどで、術後の痛みもほとんど感じなかったそうです。

手術で切除した組織を調べる病理検査の結果、やはりがんであることが確認されましたが、深さは想定通り浅い範囲にとどまっていました。膀胱を摘出する必要はなく、今後は定期的な膀胱鏡検査で再発がないかを確認していく経過観察となりました。膀胱がんは同じ膀胱の中の別の場所に再発しやすいという特徴があるため、この経過観察を根気よく続けていくことも治療の一部といえます。「大きな手術になるかと覚悟していたので、思ったより早く日常生活に戻れてほっとしています」とIさんは話してくださいました。

痛みのない血尿こそ、放置しないで

血尿は、痛みがないとつい様子を見てしまいがちですが、膀胱がんをはじめとする病気のサインであることがあります。早い段階で見つかれば、膀胱を残したまま治療できる可能性も十分にあります。膀胱がんは、内視鏡治療のみで済むケースもあれば、より大きな手術が必要になるケースもあり、その違いはがんの深さによるものです。——気になる血尿があれば、「様子を見ればいいか」で終わらせず、早めに泌尿器科を受診してみてください。

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