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お盆で実家の片付け→亡き父の郵便物から“300万円”の督促状が。「相続放棄すればいい」はずが…司法書士に告げられた“思わぬ事実”

  • 2026.8.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、亡くなったお父さまの郵便物から督促状を見つけた60代のAさんの体験談です。

「相続放棄すればいい」と考えましたが、相続の手続きで最初に来る期限が迫っていました。相続放棄を検討するときに知っておきたい期限と、注意すべき点をご紹介します。

父に300万円の借金があった

お盆に実家を片づけていたAさん(60代)は、父の郵便物の束に見慣れない封筒を見つけました。

消費者金融からの督促状でした。残高は300万円ほど。父からも母からも、借金があるとは聞いていません。

父が亡くなったのは半年前。Aさんは相続人です。

「借金は相続放棄すればいいと聞いたことがある。あとで手続きしよう」

Aさんは、相続放棄すれば問題ないと考えていました。

相続放棄には「3か月」の期限がある

司法書士に相談したAさんは、相続手続きに期限があることを知ります。

相続が始まったとき、相続人は3つのうちいずれかを選べます。権利も義務もすべて受け継ぐ「単純承認」。一切受け継がない「相続放棄」。相続で得た財産の限度で債務を受け継ぐ「限定承認」です。

放棄と限定承認をするには、家庭裁判所への申述が必要です。そして申述は、民法により「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」にしなければならないと定められています。

父が亡くなって半年。Aさんの場合、この3か月をすでに過ぎている可能性がありました。

ただし、3か月を過ぎていても、相続放棄が一切できなくなるとは限りません。相続財産がないと信じており、そう考えたことに相当な理由があった場合など、事情によっては相続放棄が認められた例もあります。

相続放棄ができるかどうかは、個別の事情によって判断されます。3か月を過ぎている場合でも自分で判断せず、気づいた時点で早めに司法書士や弁護士へ相談することが大切です。

相続放棄を考えるなら財産に手をつけない

司法書士はもうひとつ、注意を伝えました。

相続財産に手をつけると、単純承認をしたものとみなされ、放棄ができなくなる場合があるのです。

父名義の預金を解約して使ったり、遺品を売却したりする行為が該当する可能性があります。

Aさんは、父の預金には手をつけていませんでした。葬儀費用も母が自分の口座から支払っていたため、相続放棄を検討する余地が残っていました。

財産や借金の全体像がすぐにはわからず、3か月以内に判断できないこともあります。その場合は、家庭裁判所に申し立てることで、相続を承認するか放棄するかを決める期間を延長してもらえる場合があります。

調査に時間がかかりそうなときは、3か月が過ぎるのを待たず、早めに専門家へ相談することが大切です。

相続放棄を決める前に確認すること

相続放棄の申述先は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。費用は申述人1人につき収入印紙800円と、連絡用の郵便切手が必要です。

ただし、相続放棄は借金だけを手放す制度ではありません。預貯金や不動産など、プラスの財産も受け取れなくなります。借金が見つかってもすぐに放棄を決めず、財産と負債の両方を確認することが大切です。

また、相続放棄によって、ほかの親族が新たに相続人となる場合があります。子、父母などの直系尊属、兄弟姉妹の順に相続する権利が移るため、自分が放棄した場合、次に誰が相続人になるのかも確認しておきましょう。

亡くなった方の財産や借金を調べるには、郵便物や通帳、契約書などが手がかりになります。ただし、保証債務など、手元の書類だけでは分からないものが残っている可能性もあるため注意してください。

相続放棄には原則3か月という期限があります。借金が見つかったときや財産の全体像が分からないときは、期限を過ぎる前に司法書士や弁護士へ相談しましょう。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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