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「贈与税はかからない」母から“毎年110万円”の現金を受け取っていたが…→2年後、50代娘を待ち受けていた“330万円”の大誤算

  • 2026.9.1
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、お母さまから毎年110万円ずつ受け取っていた50代のAさんの体験談です。「基礎控除の範囲だから贈与税はかからない」と聞き、申告もしていませんでした。ところが相続税の申告で、税理士から思わぬことを告げられます。

今回は、毎年110万円以内の贈与でも、相続時に思わぬ影響が出ることを知ったAさんの体験談をご紹介します。

「110万円までなら大丈夫」と思っていた…

Aさん(50代)は、母から毎年110万円ずつ現金を受け取っていました。

2024年9月、2025年9月、2026年6月の3回。母は「贈与税は年110万円までかからないから」と言い、Aさんも申告はしていませんでした。

2026年8月、母が亡くなります。相続人はAさんと弟の2人。Aさんは預貯金を相続しました。

相続税の申告を税理士に依頼したところ、こう言われます。

「亡くなる前3年以内に受け取った分は、相続財産に足して計算します」

110万円以内なら税金はかからないと思っていたAさんは、贈与で受け取ったお金が相続税の計算に関係すると知り、絶句しました。

贈与税がかからなくても加算される

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

驚いたAさんに、税理士が説明します。

3回とも母が亡くなる前3年以内の贈与でした。110万円×3回=330万円が、相続財産に加算されることになります。

この仕組みでは、贈与税がかからなかった110万円以下の贈与も加算の対象です。贈与したときに税金がかからなくても、相続税の計算では別の扱いになるのです。

「毎年きちんと110万円に収めていたのに」とAさんは言いましたが、それは贈与税を避けるためのものであって、相続税とは別の話でした。

加算されるのは、相続や遺贈で実際に財産を取得した人が受けた贈与です。Aさんは預貯金を相続していたため、対象になりました。

今後、さかのぼる期間は長くなる

税理士は、もうひとつ注意しておきたい点を説明しました。

相続財産に加算される贈与の期間は、相続が始まった時期によって異なります。

  • 令和8年12月31日以前:相続開始前3年以内
  • 令和9年1月1日から令和12年12月31日まで:令和6年1月1日から相続開始の日まで
  • 令和13年1月1日以後:相続開始前7年以内

Aさんのお母さまが亡くなったのは2026年、つまり令和8年です。そのため、今回加算の対象になったのは、亡くなる前3年以内の贈与でした。

もしお母さまが2027年に亡くなっていた場合は、令和6年1月1日までさかのぼって確認することになり、加算される贈与の額が増えていた可能性があります。

なお、相続開始の日が令和9年1月2日以後の場合(1月1日の場合は、さかのぼる期間がちょうど3年となるため対象外です)、相続開始前3年を超える期間(4年目から7年前まで)に受けた贈与については、総額100万円まで相続財産に加算されません。

生前贈与は「110万円以内」だけで考えない

暦年贈与は、早くから始めるほど、相続財産への加算対象から外れる贈与を増やせる可能性があります。

ただし、いつ相続が発生するかは誰にも分かりません。「毎年110万円以内で贈与しておけば、相続税を減らせる」と考えるのは注意が必要です。

贈与の方法には、暦年課税のほかに「相続時精算課税」もあります。こちらは年110万円の基礎控除があり、その範囲内で贈与した財産は、贈与者が亡くなったときも相続財産に加算されません。一方で、一度選ぶと暦年課税には戻れないため、どちらが合っているかは慎重に判断する必要があります。

大切なのは、「毎年110万円までなら大丈夫」と金額だけで判断しないことです。贈与を始める前に、それぞれの制度の違いや相続への影響を確認し、ご家族に合った方法を税理士に相談しておきましょう。

生前贈与は、贈与するときだけでなく、その後の相続まで考えて進めることが大切です。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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