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“高血圧の薬”をもらいに薬局に来た60代男性→「お酒は控えてます」と話しているが…薬剤師が薬歴から見抜いた“リアルな生活”

  • 2026.8.12
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「お酒は控えてます」――投薬カウンターでよく耳にする言葉ですが、薬剤師は薬歴や検査値、そして患者さんの雰囲気からさまざまな情報を読み取っています。

今回は真夏の薬局で出会った60代・70代の男性患者さんとのエピソードを通じて、薬とお酒の関係、そして「正直に話す」ことの大切さを、中立的な視点でお届けします。

カウンター越しに見えてしまう“生活のリアル”

投薬カウンターは、患者さんと薬剤師が短い時間で向き合う場所。

でも、その数分間には多くの情報が詰まっています。

服用中の薬や併用薬はもちろん、患者さんの顔色、話し方、生活リズムのヒントまで、私たちは無意識に受け取っています。決して詮索するわけではなく、安全に薬を使っていただくための自然な観察です。

60代男性「お酒は控えてます」の真夏の日焼け

ある夏の午後、脂質異常症と高血圧の薬を長く続けている60代男性が来局されました。

日焼けした腕、手には保冷バッグ。「今日、釣りの帰りでね」と嬉しそうに話される一方で、「お酒は控えてますよ」との言葉。ですが、保冷バッグの隙間からは缶ビールがちらり…。

責める気持ちは一切なく、「暑い日はキンキンに冷えたビール、たまらないですよね」と自然に会話が弾みました。

薬歴を見ると、直近の肝機能の数値がわずかに変動している様子。

もちろん原因は一つではありませんが、こうした情報は服薬指導の重要なヒントになります。「控えている」というご本人の感覚と、実際の生活には少しズレがあることも珍しくありません。

70代男性「晩酌は週1回だけ」の一言

続けて、睡眠導入剤と血圧の薬を服用中の70代男性。「晩酌は週1回だけだよ」とにこやかに話されました。

一般に、睡眠薬や一部の降圧薬はアルコールとの併用で作用が強く出たり、ふらつきや転倒のリスクが高まったりすることが知られています。

ご高齢の方にとって転倒は骨折の引き金にもなり得るため、頻度や量を正確に把握することはとても大切です。「週1回、缶ビール1本ですか?それとも日本酒?」と具体的に伺うと、「そういえば2〜3日に1回はやってるかも」と笑って教えてくださいました。

お酒と薬、正直に話すことが自分を守る理由

お酒との付き合い方は、人それぞれ。だからこそ、事実を共有していただくことが安全な薬物治療の出発点になります。

私たちは決して生活を制限したいわけではありません。むしろ「どうすれば安全に、楽しみも大切にしながら薬を続けられるか」を一緒に考えたいと思っています。

「実はときどき飲んでいます」の一言があれば、飲むタイミングや量についてより具体的なアドバイスができます。薬剤師をぜひ“伴走者”として活用してみてください。


ライター:下田篤男

京都大学薬学部総合薬学科を卒業後、調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務してきました。総合病院の門前店舗では管理薬剤師を務め、たくさんの患者さんと向き合う日々の中で、「薬を渡す」だけではない、人と人との関わりの大切さを実感しています。現在は薬剤師として現場に立ちながら、医療記事の執筆・編集や薬局経営コンサルタントとしても活動中。読者の皆さまに、薬局がもっと身近で頼れる場所になるような情報をお届けしていきたいと思っています。


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