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乗客「ここじゃない!」「さっき通り過ぎただろ!」バスで降車場所をめぐり怒鳴る男性…運転士が気づいた“真相”に「今でも忘れられない」

  • 2026.9.28
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。送迎バスの運行管理やバス運転士の経験を持つVenus☆トラベルです。

私はさまざまな現場でバスに乗務していました。

担当先が数多くあるなか、楽しく乗務できたのが自治体が運営する福祉バスでした。しかし、そんな楽しい現場でも、運行中に乗客から激怒された経験があります。

今回は、私が乗務していたときに困った降車トラブルを紹介します。

初めて出会った乗客への対応は丁寧かつ親切に

運転士が休むと代わりに私が乗務していたこともあり、福祉バスでは顔見知りの乗客が多くいました。高齢者や体が不自由な方が乗車する市内循環バスであるため、乗車するメンバーも大半が決まっている状況だったからです。

しかし、たまには初めてお会いする方が乗車することもあります。乗務していた日も、初めて出会う乗客の男性が乗車されました。

とはいえ、慣れている人だから・初めての人だからなど、分け隔てなく対応しなければなりません。そのため、特に気に留めることなく運転に集中していました。

福祉バスは、役所を起点として運行ルートが決まっています。ふと気づいたのが、初めての方が乗車したが、ルートをほぼ1周する形で乗車していたことでした。

運転席のななめ後ろに座っていたこともあり、気になった私は「どちらで降車予定ですか?」と尋ねてみました。もしかすると、福祉バスに慣れておらず、降車場所に戸惑っているのかもしれないと思ったからです。

名称を聞くなら確実に!勘違いによって乗客が激怒

降車場所を訪ねたところ、乗客の男性は小声で「病院」と答えてくれました。

終着の1つ前に停車する市民病院だと判断し、「承知しました」と乗客へ伝えました。福祉バスを利用する方が病院という言葉を使うときは、全員と言っても過言ではないほど市民病院を指しています。だからこそ、すぐに降車場所を把握できたのです。

しかし、市民病院前に到着したところ、男性は降車しようとしません。そこで、「病院前に到着しましたよ」と伝えたところ「ここじゃない!」と乗客に怒鳴られました。

乗客の考えを一瞬で理解することができず、私は茫然としてしまいます。戸惑いながらも、バスを停車させたまま乗客に再度尋ねました。

「申し訳ございません。病院とお伺いして市民病院だと思ったんですが、どちらの病院だったのでしょうか。」

すると、男性は「さっき通り過ぎただろ!」と声を荒げました。

確かに、病院と聞いて市民病院だと勘違いした私も悪いと思いましたが、そもそも福祉バスには降車ボタンがあります。降車ボタンが点灯すれば、必ず停車していたことを考えると、男性がボタンを押さなかったのではという考えに至りました。

今から考えれば、言わずに我慢すれば良かったものを、当時の私はつい言葉を口にしてしまったのです。

「降車ボタンは押されましたか?」

この言葉に乗客は怒り心頭で、「お前がどこで降りるか聞いてきただろ!」と更に声を荒げました。男性の言葉から察したのは、私が降車場所を聞いたのだから、降車ボタンを押す必要はないと判断したということでした。

福祉バスのルールは降車ボタンだと言いたかったものの、私が問いかけたことで、余計な誤解を生んだのも事実です。そのため、すぐに「申し訳ございません。市民病院と思い込んでしまいました。」と謝罪しました。

相手がどんな状況でも最後まで丁寧な対応が大切

どんどんヒートアップされる男性に、車内で残っている他の乗客も萎縮してしまっていました。これは非常に良くない状況だと判断した私は、ただ謝罪するしかありません。

「どうやって病院へ行けばいいんだ!」と怒鳴られても、そもそも目的地である「病院」がなんという病院なのかも不明です。

そこで丁寧に病院名や場所を聞いてみると、私が乗務していた路線とは異なる場所であることが判明しました。

乗客が「通り過ぎた」と言った場所は、おそらく曲がりたかった交差点を指しているのだと思います。しかし、当時の私はそれ以上、何かを伝えるのは得策ではないと判断し、病院へ行く方法だけを案内することにしました。

「5分後に同じ色のバスがここに到着します。そのバスに乗車いただき、運転士に病院の名前を伝えていただけますでしょうか。運転士には、私からも連絡しておきます。」

そう伝えると、怒りが収まらない様子のまま、男性は無言でバスを降りていきました。すぐさま次に到着するバスの運転士へ連絡し、状況を伝えて対応をお願いしました。

やまびこ対応で認識のズレを修正

バス停を聞いておきながら、認識の違いに気づかず乗客を怒らせた私にも非があった経験でした。

「降車ボタンも押さず、そもそも乗るバスを間違っているのに怒るなんて」と感じてしまったのも事実です。しかし、不慣れな福祉バスで不安を抱えていた相手の気持ちを想像すれば、私のアプローチが不足していたのだと痛感しました。

こうした経験から、私は「やまびこ対応」と名付けて、相手の言葉を繰り返したり、自分の言葉に変えて確認したりするようになりました。

人は、誰しも言い間違いや聞き間違いがあるものです。しかし、仕事のなかで判断を間違うと、取り返しのつかないことになるケースもあります。

この身についたクセは、相手との認識のズレを修正できるため、今でも仕事に活かしています。また、どんなに腹立つことがあっても、可能な限り相手の意見も聞くことが分かり合うための一歩だと感じさせられた出来事でもありました。

だからこそ、今でも大切な思い出の1つとして忘れないようにしています。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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