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老人ホームでソワソワする高齢女性…他の利用者に“コッソリ手渡していたもの”→介護士が見逃さなかった“異変の正体”に「ハッとした」

  • 2026.8.13
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

有料老人ホームで働いていたある日、いつもと違う様子の女性利用者様。気になって見守っていると、ほかの利用者様へ「何か」をこっそりと手渡していました。

その正体は、お孫さんからもらった温泉まんじゅう。心温まる理由がある一方で、高齢者施設ならではの安全面への配慮も必要でした。利用者様の優しい気持ちを受け止めながら、安全との両立について考えさせられた出来事をご紹介します。

「何か様子がおかしい…」いつもと違う利用者様

これは、わたしが有料老人ホームで働いていた頃の出来事です。

ある日、リビングで過ごされていた女性利用者様の様子が、いつもと少し違って見えました。

テレビを観ながらコーヒーを飲んで一服されていましたが、どこか落ち着かないご様子。周囲を何度も見渡し、スタッフの動きや時刻を気にされているようでした。

「何か気になるな」と感じたわたしは、普段どおり業務を続けながら、さりげなく様子を見守ることにしました。

周囲を気にしながら、利用者様が手渡していたものとは?

午前の体操の時間になると、居室で過ごされていた利用者様もリビングへ集まり、一気ににぎやかになります。

その時わたしは、女性利用者様が周囲の利用者様へ耳打ちをしながら、「何か小さなもの」を手渡している姿を目撃しました。

しばらくすると、別の利用者様にも同じように何かを渡されていました。

「何を渡していたんだろう?」

体操が終わったあと、受け取られた利用者様へお話を伺うことにしました。

「捨てるのはもったいない」お孫さんからのお土産だった

「何か」の正体は、小さな温泉まんじゅうでした。

受け取られた利用者様は、「家族からたくさんもらったけれど、食べきれないから、もらってほしいって」と教えてくださいました。

その後、女性利用者様のお部屋を訪ね、お話を伺いました。

すると申し訳なさそうに、

「昨日、孫娘がお土産に温泉まんじゅうを持ってきてくれたの。でも食べきる前に傷んでしまうと思って。捨てるのももったいないから、お友達に食べてもらおうと思ったのよ」

と話してくださいました。

お孫さんが自分のために選んでくれたお土産を大切にしたい気持ちと、「もったいない」という思いからの行動だったことが伝わってきました。

優しさだけでは済まない、高齢者施設ならではの事情

しかし、高齢者施設では、利用者様同士で食品を渡し合うことは、思わぬ事故やトラブルにつながる可能性があります。

持病による食事制限やアレルギー、誤嚥(ごえん)のリスクなど、一人ひとり異なる身体の事情があるためです。また、衛生管理の観点から、食品の持ち込みや受け渡しにルールを設けている施設も少なくありません。

そのため女性利用者様へ事情をご説明し、「食べられる分だけをご自身で召し上がりましょう」とお声掛けしました。

また、おまんじゅうを受け取られた利用者様にも事情を説明し、お預かりすることになりました。

その後、「お孫さんは優しい方なんですね」と思い出話を伺うと、女性利用者様は少し照れながらも、とてもうれしそうな表情を見せてくださいました。大切なご家族であることが伝わってきました。

利用者様の思いと安全、その両方を守るために

介護士は、利用者様の「いつもと違う様子」に気付き、その理由を丁寧に探ることが大切です。

今回も、何気ない違和感に目を向けたことで、未然にトラブルを防ぐことができました。また、利用者様がお孫さんを思う優しい気持ちを知ることもできました。

しかし一方で、その優しさが思わぬ事故につながる可能性もあるため、安全への配慮も欠かせません。

利用者様の「家族を思う気持ち」も、ご家族の「喜んでほしい」という思いも、どちらも大切にしながら、安全と安心を守ること。

その両立を考えることも、介護士の大切な役割だと改めて実感した出来事でした。


文:しまむら けいこ/介護福祉士・Webライター 

介護福祉士として10年以上、デイサービスや入所施設などさまざまな介護現場で経験を積む。現在も介護職として働くかたわら、Webライターとして活動。介護や暮らし、働き方について発信している。二児を育てるワーキングマザー。


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