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Haruka Tazakiが華やかなメイクの仕事から一度離れて見つけた新たな喜び。循環していく社会貢献の輪 vol.2

  • 2026.7.28
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ファッションには、人の心を動かし、新たな一歩を踏み出す力がある。その力を生かし、環境保全や人権保護、社会福祉など、さまざまな社会課題に向き合う3名を取材。活動のきっかけから、その思いを持続可能な支援へとつないできた歩み、そして根底にある信念をひもとく。第2回は、メイクアップアーティストのHaruka Tazakiさん。世界を旅するなかで目の当たりにした現実をきっかけに、「楽しみながら支援を循環させる」という新たな社会貢献の形を実践している。

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メイクの仕事を一度離れ、自分と向き合う旅へ

メイクアップアーティストとして国内外で活躍するHaruka Tazakiさんは、パンデミックの後、自宅にあったもののほとんどを手放し、1年間仕事を離れて世界一周の旅に出た。その理由は、自分自身の価値観や生き方を見つめ直したいという思いと、コロナ禍を通して環境問題や貧困、ジェンダー平等といった社会課題に目を向けるようになったことだった。「私にとって旅の醍醐味は、現地の人と触れ合い、その土地のものを食べて、歩いて、風を感じること。体験は自分がそこにいなければできません。いろいろな情報があふれていてフェイクニュースも多いからこそ、社会課題についても自分の目で確かめたいと思いました」

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そこからインドやタンザニア、東南アジアなどさまざまな国を訪れ、現地の人々と同じ時間を過ごした。そのなかでHarukaさんが特に心に残ったのは、女性や子どもたちを取り巻く現実だった。教育を受けたくても受けられない子どもたちや、生理用品が手に入らず学校を休まざるを得ない少女たち。そして地域によっては、今なお女性器切除という慣習が残り、女性たちが身体的・精神的な負担を抱えながら生きている現実も知った。

Harukaさんは国際ボランティア団体「International Volunteer HQ(IVHQ)」に登録し、タンザニアでのボランティア活動にも参加。子どもたちへの性教育やナプキンの提供などさまざまな活動を行った。その経験は単に物資を届けるだけではなく、現地での支援を循環させる方法を考えるきっかけにもなっていく。

世界の女性や子どもを取り巻く想像を絶する現実

タンザニアでHarukaさんが特に課題を感じたのは、生理用品をめぐる現状だった。「タンザニア保健省が実施した保険調査によると、地域の差もありますが、タンザニアの使い捨てナプキンの普及率はわずか37%なんです。ナプキンの代わりに何を使うかというと、古布や古紙、草などです。なかには乾燥した牛糞を下着に入れ、経血を吸収させている地域もありました。衛生環境やインフラも十分に整っておらず、生理を理由に学校へ通えなくなる少女たちも多いんです」

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そこでHarukaさんは、現地の女性たちが製作した布ナプキンを購入し、子どもたちに性教育を行いながら、布ナプキンの使い方を伝える活動を始めた。昨年には個人で再びタンザニアを訪れ、現地での活動を続けている。「布ナプキンは現地の女性たちが作っているので、その中で循環していくことが必要だと思いました。ドネーションももちろん大切ですが、それ以上に女性たちがスキルを身につけ、自立して生きていける手段をつくることが大切。その術が次の世代へ受け継がれていくことが必要だと思っています」

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支援とは一方的に与えることではない。現地の人たちが自ら働き、学び、その土地のなかで循環していく仕組みをつくること。その考え方はHarukaさんが、帰国後に立ち上げる活動の根幹にもなった。

社会課題と向き合うプロジェクトを発足

帰国してからは、日本の生理を取り巻く環境について考えるようになった。20年前に暮らしていたアメリカでは、デリケートゾーン用のソープやオイルなどが店頭に当たり前のように並び、多くの人が日常的にセルフケアを取り入れていた。ヨーロッパでも同様に普及が進んでいる。一方、日本でこうした製品が広く知られるようになったのはここ数年のことだ。「なぜ日本人はここまで清潔好きなのに、デリケートゾーンのケアはしてこなかったんだろうと思っていました。少しずつ広まってきてはいますが、まだ話すこと自体がタブー視されることも多い。だからこそ、正しい知識を広めていく必要があると感じたんです」

そんな思いから立ち上げたのが、膣洗浄アイテムのフェメイト(hemmate)だ。膣内環境と同じ弱酸性のジェルでデリケートゾーンのpHバランスを整えることを目的に、天然由来成分を使用し、無着色・無香料にもこだわったセルフケアアイテムとして開発。管理医療機器認証を取得しており、容器製造から最終工程まで日本国内で行われている。

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フェメイトで膣ケアを取り入れることは、現代のライフスタイルによって揺らぎやすくなった身体を整える手助けにもなるとHarukaさんはいう。「膣にはもともと自浄作用があります。でも食生活やライフスタイルの変化によって、pHバランスは崩れやすくなっています。洗うというより、本来の状態へ整えるイメージです。必要な菌まで洗い流さず、肌に負担をかけないものを目指しました」

このブランド名には、性別や年齢、国籍を問わず、誰かの日常に寄り添う“mate(相棒)”でありたいという思いが込められている。Harukaさんが目指しているのは日本だけでなく、これまで訪れた国々にもこうした知識や製品を届けていくことだ。そしてその思いをさらに形にしたのが、社会課題と人をつなぐプロジェクトのピースエンド(PEACEND)だ。

ピースエンドは、環境保護や教育支援、女性の自立支援など、Harukaさんが旅を通して向き合ってきた社会課題に、仲間とともに取り組むためのプロジェクトだ。「ひとりで支援活動をしてきましたが、もっとみんなで広げていきたいと思ったんです。大事なのは強制ではなく、楽しみながらできること。私自身もなぜ続けられているかというと、その先にあるワクワクや笑顔を見ることが楽しいからなんです」。昨年には、友人たちとともに朝の時間を使ったごみ拾いを実施。

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無理のない時間で集まり、街をきれいにすることで、参加した人たちも「気持ちよかった」「リフレッシュできた」と笑顔になったという。今後はフリーマーケットやチャリティーマーケットの開催も計画しており、売上を現地支援へとつなげていく予定だ。

活動を通して再認識したメイクの仕事の喜び

Harukaさんの支援活動の原点には、幼い頃から見てきた母の姿がある。共働きで忙しい日々を送りながら、休日にはボランティア活動をしていた母。その姿を当時は理解できなかったという。「やっとの休みなのに、どうして自分のためではなく人のために時間を使うんだろうと思っていました。でも母は、『人は誰かが喜んでくれることをして生きていくことが一番幸せなんだよ』といつも言っていました。その時は全然わからなかったけれど、支援活動を始めてから、返ってくる幸せや喜びは何ものにも代えられないものだと感じるようになりました」

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またコロナ禍には、メイクアップアーティストとしての仕事の意味を見失いかけたこともあった。社会が大きく揺らぐなかで、自分が情熱を注いできたメイクは誰かの役に立てているのだろうか。そんな思いを抱えていたHarukaさんに、改めてメイクの力を教えてくれたのもまた、旅先で出会った女性たちだった。「現地の女の子たちはメイク用品を買うことも難しく、誰かにメイクをしてもらう機会もほとんどありません。でも実際にメイクをしてあげると、表情がぱっと変わるんです。写真を撮ったり、笑顔になったり、自信が生まれていくのがわかりました。その時、メイクの仕事をやめてはいけないと思えたんです」

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美しくなることは、ただ外見を変えることではない。自分を肯定し、新しい可能性へ踏み出す力になる。世界を旅し、社会課題と向き合った先で、Harukaさんはメイクの仕事が持つ意味にも、もう一度立ち返ることができた。誰かの笑顔がまた別の誰かの笑顔へとつながっていく。そんな循環をこれからも育んでいきたいと語った。

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Haruka Tazaki: メイクアップアーティスト。2014年にニューヨークから帰国後、国内外の雑誌や広告、セレブリティのメイクを手がける。2024年にフェムケアブランド、フェメイトを始動。Instagram @harukadebeau @peacend_official @hemmate_official

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