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体調不良で退職した64歳男性→「失業保険を年金に上乗せできる」ハローワークに行くが…後日、届いた“通知”に「一体どうして…」

  • 2026.9.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。社会保険労務士の小泉です。

「退職したら、まずはハローワークへ行って失業保険(雇用保険の基本手当)を申請しよう」。そう考える方が多いと思います。

しかし、病気やケガを理由に退職した方の場合、ここで一度立ち止まる必要があります。今回は、60代の方が知っておきたい「傷病手当金・年金・雇用保険」の関係について解説します。

相談者に待っていた思わぬ落とし穴

64歳のDさんは、特別支給の老齢厚生年金を受給しながら、再雇用で働いていましたが、体調を崩して退職することになりました。

退職後、Dさんは「早く次の生活費を確保しなければ」と、会社から届いた離職票を手にハローワークへ向かいました。窓口で書類を提出し、そのまま求職の申込み(求職票の記入や手続き)を完了。「これで失業保険がもらえる。今の年金に上乗せできれば生活も安心だ」と胸をなでおろしていたDさんでしたが、その後、思わぬ通知が届くことになります。

なんと、それまで受給していた特別支給の老齢厚生年金が全額ストップしてしまったのです。困惑したDさんは、「年金をもらいながら失業保険も受け取れると思っていたのですが、一体どうして…」と、青ざめた様子で私の元へ相談に来られました。

雇用保険の基本手当は、退職したからといって必ず受け取れるわけではありません。就職する意思があり、いつでも就職できる状態で求職活動をしているにもかかわらず、仕事に就けないことが基本的な要件です。病気やケガですぐに働けない場合は、原則として「失業」の状態には該当しません。

さらに怖いのが「年金が止まる」可能性

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

さらに、60代前半で特別支給の老齢厚生年金など、65歳になるまでの老齢年金を受給している人は注意が必要です。ハローワークで求職の申込みをすると、原則として、求職の申込みをした月の翌月から、基本手当の受給期間が終了するまで、年金が全額支給停止されます。

「失業保険を年金に上乗せできる」と思っていたところ、実際には年金が停止される。ここが、60代前半の人が特に注意したいポイントです。

では、病気で働けない場合はどうすればよいのでしょうか。

まず確認したいのが、健康保険の「傷病手当金」です。

傷病手当金は、業務外の病気やケガのために仕事に就くことができず、連続3日間の待期期間を経た4日目以降も仕事を休んでいるなど、一定の要件を満たした場合に、健康保険から支給される生活保障です。

ここで、いくつか確認しておきたい点があります。

退職後も継続して受給するには、退職日まで、健康保険に1年以上継続して加入していること、資格喪失時に傷病手当金を受けているか、受けられる状態にあることなどの要件があります。また、退職日に出勤して労務に服した場合は、原則として退職後の継続給付を受けられません。なお、傷病手当金と雇用保険の基本手当は、それぞれ支給の前提となる状態が異なるため、病気で今すぐ働けない間に両方を受け取れるとは限りません。

退職後の傷病手当金を継続して受け取る場合、老齢退職年金などとの間で支給額が調整されることがあります。年金額によっては傷病手当金が支給されず、傷病手当金のほうが多い場合には差額のみが支給されます。

「今は働けない」なら、基本手当を急がない選択も

病気やケガなどで、すぐには働けない。

そんな場合には、基本手当の「受給期間延長」を検討できることがあります。

原則として、基本手当の受給期間は、離職日の翌日から1年間とされています。ただし、病気やケガなどにより、離職後に引き続き30日以上職業に就くことができない場合は、申請によって受給期間を延長できます。この場合、本来の1年間に働けない期間を加え、受給期間は最長4年間となります。

大切なのは、「退職したら、まず失業保険」と決めつけないことです。

  • 今すぐ働けるのか
  • 傷病手当金の継続給付の要件を満たしているのか
  • 年金との調整はどうなるのか
  • 基本手当の受給期間を延長する必要があるのか

退職前から、この4点を確認しておくことが重要です。

制度は、年齢や加入期間、退職時の状態によって取り扱いが変わります。「早く申請する」ことだけを考えるのではなく、自分の状況に合った制度を、正しいタイミングで利用すること。

病気による退職後の生活を守るために、これを忘れないようにしましょう。


執筆・監修:小泉@社労士ライター

20年以上の社労士経験を通じて、多くの相談者から「こんな制度があるとは知らなかった」「もっと早く相談しておけばよかった」という声を聞いてきた経験から、専門知識を、必要とする人に、正しく、わかりやすく届けることを大切にしている。社会保険・労働保険、公的年金をはじめ、暮らしや仕事に関わる制度について、専門家としての正確性と、生活者目線のわかりやすさを両立した情報を執筆・発信。保有資格は、社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士など。

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