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「このタイミングで電話にでるの!?」焼香の最中に鳴った着信音。だが、男の対応に会場が凍りついてしまった瞬間

  • 2026.7.29
「このタイミングで電話にでるの!?」焼香の最中に鳴った着信音。だが、男の対応に会場が凍りついてしまった瞬間

祖父を見送る日

その日は、祖父の葬儀でした。

長く家族に囲まれて穏やかに旅立った祖父を、遠方の親族まで大勢が集まって見送る、静かな一日になるはずでした。

告別式が始まり、参列者が一人ずつ焼香に立ちます。

会場は水を打ったように静まりかえり、僧侶の低い読経だけが、ゆっくりと空気を満たしていました。

私も順番を待ちながら、祖父との思い出を胸の中で静かにたどっていました。

誰もが同じように、それぞれの別れを噛みしめて、その時間を大切に過ごしていたのだと思います。

静寂を破った着信音

焼香がなかばまで進んだ、そのときでした。

突然、陽気なポップソングの着信音が、大音量で会場に鳴り響いたのです。

音の主は、親族の男性でした。

慌てて切るのかと思いきや、その人はあろうことか、そのまま電話に出てしまったのです。

「もしもし。ああ、今ちょうどお葬式だから、あとでかけ直すね。そういえば、この前の」

あたりをはばかる様子もなく、大きな声で話し始めます。

厳かだった空気は一瞬で凍りつき、参列者は誰も言葉を発せられず、ただ絶句するばかりでした。

(このタイミングで電話にでるの!?)

あまりのことに、私は自分の目を疑いました。

低く続いていた読経の声もかき消され、進んでいた焼香の列が、ぴたりと止まってしまいます。

凍った空気を鎮めた一言

誰もが動けずにいたそのとき、見かねた年配の親戚が、静かに席を立ちました。

ゆっくりと男性のそばまで歩み寄り、その肩にそっと手を添えます。

「ここでは、いけないよ。切りなさい」

声を荒げるでもなく、けれど有無を言わせない、まっすぐな一言でした。

男性ははっと我に返り、ばつが悪そうに電話を切ります。

年配の親戚は正面の祭壇へ向き直り、深く一礼しました。

そして参列者のほうにも、詫びるように静かに頭を下げたのです。

その所作ひとつで、ざわめきかけた空気が、すっともとの静けさを取り戻していきました。

乱れかけた焼香の列も、何事もなかったように、また静かに動き始めます。

厳かな時間を、たった一人の毅然とした振る舞いが守ってくれました。場を乱す人がいても、それを静かに正そうとする人は必ずいる。私は祖父の遺影に手を合わせながら、その頼もしい背中に、心の中でそっと頭を下げていたのです。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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