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【映画レビュー】『急に具合が悪くなる』魂が寄り添う、希望と可能性の物語

  • 2026.7.24

こんにちは!第4期オレペエディターNiwachicoです。

2026年7月、劇場で映画『急に具合が悪くなる』を鑑賞しました。

監督作品『ドライブ・マイ・カー』が米アカデミー賞・国際長編映画賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けている濱口竜介監督の最新作。主演の岡本多緒さんがカンヌ国際映画祭・コンペティション部門で最優秀女優賞を受賞したことで話題になり、ご存じの方も多いかもしれませんね。『ドライブ・マイ・カー』が面白かったことと題材への興味から、以前より公開を楽しみにしていた作品です。

物語の主人公の一人は、パリ郊外にある介護施設で施設長を務めるフランス人女性、マリー=ルー・フォンテーヌ。理想とする介護と、予算やスタッフとの摩擦など現実の狭間で揺れるマリーは、ふとしたきっかけから自閉症の孫、智樹と共に演劇活動をする俳優・清宮吾朗の一人芝居を鑑賞します。

その舞台の演出を手がけたのが、もう一人の主人公である日本人演出家・森崎真理でした。がん闘病中で余命を宣告されながらも懸命に活動を続ける真理の舞台に、勇気づけられるマリー。名前の響きが同じという偶然も重なり、二人の心は急速に通い合い、友情が育まれて行きます。

実は最初、ポスターやあらすじからシンプルな大人の女性同士の友情物語を想像していました。ですが実際に観てみると、それだけに留まらず、老いや病、社会構造、そして人生における希望や可能性といった多層的なテーマが丁寧に織り込まれた、とても奥行きのある内容でした。

オレぺ読者の皆様の年代であれば、自身の体の変化をはじめ、病気や仕事、介護、またこれまでの生き方の振り返りなど、自分や身近な人のことに重ねて観られる部分も多いのではないでしょうか。

まるでお互いこの出会いを予想していたかのように、物語の中で対話を重ねる毎に深い信頼で結ばれて行く真理とマリー。コミュニケーションや演劇など、様々な素材が重なり合いながらも、決して散漫にならない見せ方は本当に見事です。大きく心を揺さぶられるような衝撃的なシーンはなくとも、二人の会話や劇中劇を通じて、自然と温かい涙が溢れて来ました。

何かを形として残せないまま去ってしまうとしても、一緒に過ごした楽しさや温かい交流の思い出が誰かの心の中に確かに残り、残された人の世界をほんの少しずつでも、変えていくのかもしれない。夜や明け方、二人の魂が寄り添うようなシーンや、その周囲が穏やかに変化していく様子に、そんな希望と可能性を心底から感じました。

一方で、私は以前福祉の仕事に携わっていたこともあり、序盤ではマリーの理想論に真っ向から対立する看護スタッフの意見にも、つい共感してしまいました。経営側の理想を現場がそのまま受け止めるのは、とても難しいですよね。

夜明けまで語り明かした青春時代の思い出が懐かしく蘇ったり、これから先のことに思いを馳せたり、エンドロールまで誰かの優しい夢の中で過ごしたかのよう。実際、現実の介護やターミナルケアの現場では夢のような理想的すぎる展開かもしれません。ですが、物語が見せてくれる夢や本当の心の触れ合いには、不可能を可能にするかもしれない力が、確かにあると思わずにはいられませんでした。

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上映時間は3時間以上でしたが、本当に長さを感じませんでした。むしろ、鑑賞した人の後の人生にずっと長く寄り添いながら、必要な時に心の木の枝からそっと舞い降りて来てくれるような作品です。2026年は心に残る良い映画に出会えて、幸せな夏のはじまりになりました。

本日もブログを読んでいただき、ありがとうございました!

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