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シャチがマンボウを「こっぱ微塵」にする衝撃行動を発見

  • 2026.7.24
※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

海の頂点捕食者として知られるシャチは、獲物に応じて狩り方を変える知性派のハンターです。

流氷からアザラシを波で落としたり、巨大なクジラを群れで追い詰めたりと、その手口は驚くほど多彩。

そんなシャチの「新技」とみられる衝撃的な行動が、メキシコのカリフォルニア湾で撮影されました。

1頭が死んだマンボウをくわえて固定し、もう1頭が高速で激突して、水中へこっぱ微塵に飛び散らせたのです。

しかも、この体当たりは獲物を仕留めるためではなく、死骸を食べやすく処理するためだった可能性があります。

研究の詳細は、米国の海洋保全団体・Beneath The Wavesらにより、2026年7月23日付で学術誌『Frontiers in Ethology』に掲載されています。

目次

  • 1頭が固定し、もう1頭が「弾丸」になる
  • なぜ死んだマンボウをわざわざ粉砕するのか?

1頭が固定し、もう1頭が「弾丸」になる

研究チームが分析したのは、カリフォルニア湾南部で偶然撮影された2件の映像です。

最初の事例は2024年7月29日、メキシコのサン・ホセ・デル・カボ沖で記録されました。

そこには成体のメス3頭、成体のオス1頭、若い個体1頭の計5頭のシャチがいました。

1頭の成体メスは、すでに死んでいたヤリマンボウのヒレを口でくわえ、死骸を一定の位置に固定していました。

マンボウの胴体には大きな傷があり、内臓はすでに取り除かれていたとみられます。

すると成体オスが腹側を上にした姿勢で加速し、マンボウへ一直線に突進。

メスは衝突の直前に死骸を放し、オスはそのまま高速で体当たりしました。

実際の映像がこちら。

衝突時には大きな音が響き、マンボウの組織が細かな破片となって水中へ広がりました。

その直後、若いシャチは浮遊する小さな破片を食べ始めました。

一方、成体たちは裂けて残った大きな死骸を食べ、小さな破片には手をつけませんでした。

2025年9月7日に別の場所で撮影された事例でも、1頭がマンボウを固定し、別の1頭が高速で衝突する、ほぼ同じ手順が確認されました。

シャチが衝撃で肉を引き離す事例自体は過去にもありましたが、2頭が連携して死骸を大規模に砕く一連の行動は、これまで詳しく記載されていませんでした。

なぜ死んだマンボウをわざわざ粉砕するのか?

もう一つの映像はこちら

重要なのは、どちらの事例でもマンボウが衝突前にすでに死んでいたことです。

つまり、この体当たりは致命傷を与える攻撃ではなく、獲物を処理する工程だったと考えられます。

マンボウ類の体は、厚いゼラチン状のコラーゲン層に覆われており、その約90%は水分です。

この独特な組織を歯だけで引き裂くより、巨大な体をぶつけて一気に崩したほうが処理しやすいのかもしれません。

しかし、単なる解体作業だけでは説明できない点もあります。

2024年の事例では、小さく砕けた肉片を食べたのは若い個体で、成体は大きな部分を食べていました。

このためチームは、成体が若い個体でも食べやすい大きさに加工した「親による投資」だった可能性を挙げています。

若いシャチに獲物の扱い方を見せる学習機会や、群れの結びつきを強める社会的行動だった可能性もあります。

あるいは、高度に社会的で遊び好きなシャチが、純粋に獲物を使って遊んでいた可能性も否定できません。

今回の証拠は、わずか2件の映像記録です。

それでも、1頭が死骸を正確に支え、もう1頭が絶妙なタイミングで突進する姿は、シャチが力任せに獲物を襲うだけの捕食者ではないことを示しています。

食事の準備だったのか、子どものための手助けだったのか、それとも遊びだったのか。

その答えはまだ海の中ですが、今回の観察は、シャチの狩りと社会生活が私たちの想像以上に複雑であることを改めて教えてくれます。

参考文献

Orcas Keep Punching Giant Sunfish to Smithereens, And Scientists Are Mesmerized
https://www.sciencealert.com/orcas-keep-punching-giant-sunfish-to-smithereens-and-scientists-are-mesmerized

Orcas smash dead sunfish into bite-sized pieces
https://www.popsci.com/environment/orca-whales-smash-sunfish-explode/

元論文

Fragmentation of sharp-tail sunfish (Masturus lanceolatus) caused by high-impact ramming behavior in orcas (Orcinus orca)
https://doi.org/10.3389/fetho.2026.1835536

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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