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「俺が払う」と見下した男より先に会計した私

  • 2026.7.26
ハウコレ

彼が席を外したわずかな間に、私はこの食事の会計を先に済ませておきました。

戻ってきた彼が得意げに口にした申し出は、店員の一言であっけなく行き場を失います。料理の注文も済まないうちに、向かいの彼が笑顔で聞いてきたのは「最後に彼氏いたのいつ?」という一言でした。

文面では、こんな人だと思わなかった

マッチングアプリで知り合って、メッセージのやりとりは半月ほど続いていました。文面の彼は言葉を選ぶ人で、こちらの返信をきちんと待ってくれる印象でした。待ち合わせにも早めに来て、席へ案内してくれた気配りもあり、会う前の私はこの時間を楽しみにしていました。だから私が答えをはぐらかしたとき、彼が「そんなに前なんだ」と勝手に納得して笑ったその横顔と、思い描いていた人との落差が、頭の中で大きくなっていきました。

品定めするような言葉が、次々と続いた

どんどん皿が運ばれてくる中で、彼は私を見て「写真より顔タイプだったわ」と満足げに頷きました。褒めているつもりなのだと思います。取り分けようとすると「意外とよく食べるね」と続き、そのあとは貯金や老後の話にかこつけて、私の年齢をそれとなくいじってきているようでした。相づちを打ちながら、私はグラスに浮いた水滴を指先でなぞっていました。この人は私と話しているのではなく、私を採点しているのだと思ったからです。

彼が戻る前に、私は動いていた

彼がトイレに立ったのを見て、私は店員さんを呼び、会計を行いました。今日の分を手切れ金だと思えば、惜しくはありません。席に戻ると、ほどなく彼も戻ってきて「奢られたことなさそうだし、今日は俺が払ってあげるよ」と店員さんを呼び出しました。ところが彼に「お会計はもう頂いております」と告げます。得意げな表情が気まずげに変わっていく様子が痛快でした。会釈を1つ残して、私は席を立ちました。

そして...

店を出ると、来たときより足取りが軽くなっていました。文面だけでは見抜けない人がいることを、私はこの食事の代金で学びました。次に会う人とは、注文より先にお互いの名前を呼び合えたらいいと思います。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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